第3話 状況説明
『脳が混乱しているのかもしれないな。だが、少しずつ思い出していくだろう』
俺の身体、マナ=フィルドーの父親マルダン=フィルドーはそう言った。
少し残念だが、息子と話せて嬉しそうだ。
『どうして俺は寝たきりだったの?』
『それは…』
マルダンに、とりあえず無難な質問をする。マルダンは少し困った顔をしたが話してくれた。
内容としては、両親が家を留守にしていた間、前に住んでいた村の子供たちと、遊んでいたはずの俺と村の子供の1人が川から帰ってきていないと村の大人たちからマルダンは伝えられた。
すぐに現場に向かったが息子の姿はなく、川と向こうの森の間に大量の血だけが続いていた。
自警団で捜索隊を編成したが見つからず、周りから諦めの空気が流れ始めたところで村から狼煙が上がったそうだ。
走って村に向かうと、目の焦点が合わず、頭や右腕から血が出ている息子の姿と、泣いている村の子供の姿があった。
息子の怪我に驚いたが、生きていたことに安心したのも束の間、息子が頭から倒れてたそうだ。
直ぐに医者に見てもらったが傷口から魔法的な痕跡が見つかり、村の医者では治すことができないと言われ、ならば!と、隣の街まで見せに行く間に病状が悪化してしまったらしい。
なんとか病状が悪化するのを食い止め、傷も消えていっぺんして見ると大丈夫であったが、身体より心が傷を負っていたらしい。
そこから2年間寝たきりになったみたいだ。
少しでも回復するために元の村に戻らず、街の近くで空気のきれいなこの森林地帯に引っ越したのだと。
『それで、目が覚めたらこの状態か……』
『お前は、気にすることはない』
『でも、なんで目が覚めたんだろう?』
『あ~。多分、あれだな』
『あれ?』
『【成人の儀】をしたんだ』
『ーーー【成人の儀】?』
時は、1週間前に遡る。
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