近くて遠い

インドカレー味のドラえもん

二人は

 日曜日。

 久しぶりに彼女に会えると、両親が揃って出かけるこの日を僕は待ち望んでいた。


 僕の部屋で行われる密会。

 この日のため、僕のためにと用意された可愛い洋服で君を着飾って、覚えたての化粧で精一杯のおめかしを。


 恥ずかしがり屋の君は、その笑顔を僕には見せてくれないけど。

 姿見の前、君はくるりと回ってはにかんだ。


 そんな所も愛しくて、笑った僕の前で君も笑う。


 ああ、でもそんな幸せな時間はすぐに過ぎ去り。

 僕が悲しくなると、彼女も悲しそうに。


 魔法が解ける時間。


 最後に、僕と私は鏡越しのキスをした。

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近くて遠い インドカレー味のドラえもん @katsuki3

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