五話、勇者の猛攻は…続かない。
勇者パーティはその日、飛竜の洞窟へと向かっていた。
攻略済みの個所であり、彼らからすればレベル上げの予定だったのだ……しかし。
「くそっ! どうなってんだこりゃ」
エルバルドは不機嫌そうに石を蹴り飛ばす。
小指を傷める仕草でうなじが見えた。
「お前ら! なんで今回は上手くいかねえんだよ!」
回復役と魔剣士は沈黙する。
「そ、そういえばこの前は……飛竜とは、地面で戦っていました、ね」
「う、うん。そういえばそうだった……確か変な石を投げて、それで……あっ」
剣は何かに気付いたのか口を塞ぐ。
「あっ、てなんだよ。あって。言えよ」
「……この前、は。デュークが、その石を渡してきた……」
「は……? あのカスが?」
デュークの渡した石を投げたら飛竜が何故か地面に降りて戦闘を始めたのだ。
苦戦する理由があるならばそれしかないのだが……
「そんなわけ、ねぇだろーーーー!」
「バルドさま、おちついて!」
聖剣を力任せに掴み飛竜の群れへと突進!
彼は認めない! デュークが有能な奴だったなど! 自分の判断が間違っていたなど認めたくなかった!
「うおおおおおおおお!」
曲がりなりにも勇者! エルバルドは空中の飛竜へ剣を振る!
すると延長線上にいる飛竜は真っ二つになった!
「す、すごい……」
「これが、勇者の力……!」
「あたりまえだ! こんなカス相手にオレが負けるわけねえだろう!(消費した魔力は全体の三割か……)」
飛竜だろうがぶった切る! 勇者の猛攻とは止まらない!
一体、更にもう一体と聖剣ビームでやっつける!
「はっははははーー! オレに敵なんざいねーんだよ!」
「あ!! 中ボスが! 勇者様、うしろーーーーー!」
続く。
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