第145話 弁明の横でレベルアップ
今、この場はピリピリとした空気に包まれている。とても気まずい、あまりこういう場にはいたくない。何故なら今、フレデリック王子の男としての運命が試されているからだ。この国、セレニア公国の公女ジョアンナ公女とザンジバル王国の王子フレデリック王子は昨夜、ベットで、裸で、二人で寝ていた所を王子の恋人、エミリエルお嬢様とその護衛、カスミさんが目撃してしまった。
言い逃れできない状況である、待ったなしである。王子がどの様に言い訳するのか、同じ男としてしっかり援護しないとな。
しばらく沈黙が流れ、最初に口を開いたのが王子だった。
「まず、・・・僕は公女には指一本触れていないよ、そこは信じてほしい・・・」
「・・・・・・」
エミリエルお嬢様は黙って王子の説明を聞いている、むしろ無言なのがかえって不気味なのだが。ジョアンナ公女も口を出さない、ここは王子とお嬢様の問題として黙っているのかもしれないな。
さらに王子が語りだす。
「順を追って説明させてくれ、」
「・・・どうぞ」
「・・・昨日の夜、ジョアンナ公女が部屋にやって来て、ザンジバル王国の話を聞きたいと申されてね、その時ワインとグラスを二つ持って来てくれていたんだ」
「・・・ワイン?」
「ああ、お酒のね、それで僕は公女に僕の生まれ故郷、ザンジバルの事を話したのさ、何も無い長閑な国だけど、ジョアンナ公女は面白がって聞いてくれたよ、それが嬉しくてね、」
「・・・ふーん、それで」
「うん、ワインもすすみ、話も僕がザンジバル王国を離れていた頃の話になり、マゼランの都での潜伏生活の話になり、そしてエミリエル達との冒険話になったんだ、ほら、ラッセルの偽者の時の・・・」
「・・・そう」
「話は冒険話で盛り上がってね、ジョアンナ公女は色々聞いてくるものだから、僕もつい話に夢中になってね、気付いたらワインを相当飲んでいたみたいなんだ、」
「・・・お酒を飲みすぎていたって訳ね」
「そうなんだ、そして夜も遅いという事になって、冒険話はここまで、っと言う事になり、寝る事になったんだ、・・・だけど、・・・何故そうなったのか自分でもわからないんだけど、・・・ジョアンナ公女と一緒に寝る事になってね、・・・」
「ちょっと待って!どうして一緒に寝る事になったのよ!」
「・・・それが、・・・自分でもわからないんだ、何故こうなったのか・・・」
よし、ここで俺の援護だ。
「お嬢様、お酒というのは時に、人を実に不可解な行動に走らせる事があるものなのですよ」
そこでカスミさんも言い放つ。
「お嬢様、確かにお酒は人を変える事があると思います、だからと言って服まで脱いでというのはさすがに行き過ぎだと思いますけど」
「カスミさんの仰る通りだと思います、けど、自分でも何故そうしたのかわからないんですよ、そして、朝までジョアンナ公女と寝ていた、と言う次第なんだよ、さっきも言ったけど、僕は公女に指一本触れていない、信じてくれ、エミリエル」
「・・・・・・」
「幾らお酒が入っていたとしても、女性を抱いたかどうかなんて、幾ら酔っていても気付く物さ、僕は何もしていないよ、頼む、信じてくれ」
「・・・・・・」
ふむ、これは王子はセーフなんじゃないかな、本人は公女を抱いていないと言っている訳だし、後はお嬢様次第というところかな、ふ~う、やれやれ、どうやら取越し苦労だったみたいだな、王子はセーフだ。これで援護の必要は無さそうだな。セーフ、セーフ。
「・・・浮気?」
「浮気じゃないよ」
後はもう、お互いの何処までがセーフラインかって事の話になってきていた。やれやれ、何とかなりそうだぞ。・・・しかし、こうなってくると俺のやる事は無いな、どうしたもんか、・・・あ、そうだ、確か経験点が溜まっていたんだっけ、どうせ暇だし、ここらで一丁レベルアップでもしておこうかな。
まずは今のステータスを見てみよう、メニューコマンドのステータスの所を指でタッチする。
LV 22 バトルマスター
HP66 MP12
力 21 +5
体力 18 +5
すばやさ 10 +15
器用さ 10
魔力 4
幸運 3
ユニークスキル メニューコマンド
マジックスキル ファイア
スキル 異世界言語・文字 ストレングス タフネス 盾熟練 指揮官
ハイスピード
8BP 2SP 経験点3060点
こんな感じだ、うーむ、まだまだの様な気がするな。だけどレベルが22にもなると、やっぱりいよいよ俺も中々見れるステータスになってきたって感じがするな。いや、慢心は良くないな。これからこれから。
まずはレベルを上げよう、一つレベルを上げるのに必要な経験点は1000点だったよな、よーし、3000点あるから、3レベル上昇だ。
・・・・・・よしよし、LV25になったぞ、最大HPも75になった、これでかなり打たれ強くなったと思うのだが、・・・スキル「ハイスピード」を取ってからはモンスターの攻撃を避けまくっていたからな、さすが上級スキルといったところか。
お次はBPの振り分けだ、8ポイントあるからな、悩みどころだな、うーむ、俺は戦士だからここはやはり力に能力値を振り分けるべきか。・・・よし、力に4ポイント使おう、・・・よしよし、これで力の値が25になったぞ、ストレングスのスキルと合わせて力が30になった。これでより攻撃力が底上げされただろう。
残りのBPは4ポイントか、・・・うーむ、どうしようかな、戦士の基本はやはり体力か、・・・よし、体力に残りの4ポイントを使ってしまおう、・・・・・・よしよし、これで体力の値が22になったぞ。これでより一層防御に磨きがかかったはずだ。おまけに疲れにくくなったかもしれない。戦士はやはり体力か。これでBPは使い切ったな。
後はSPなのだが、2SPか、・・・確か上級スキル習得に必要なスキルポイントは3ポイントだったな、うーん、どうしようかな。上級スキルはかなり使えるスキルばかりだったはずだからな、ゲーム「ラングサーガ」では上級スキルがモノをいうゲームだったしな、・・・よし、上級スキル習得の為に2SPっはこのままにしておいて、取って置こう。
よーし、レベルアップもしたし、今のステータスを確認してみよう。
LV25 バトルマスター
HP75 MP12
力 25 +5
体力 22 +5
すばやさ 10 +15
器用さ 10
魔力 4
幸運 3
ユニークスキル メニューコマンド
マジックスキル ファイア
スキル 異世界言語・文字 ストレングス タフネス 盾熟練 指揮官
ハイスピード
0BP 2SP 経験点60点
こんな感じになった。うーむ、まずまずなんじゃないかな、いや、まだまだだな。体力も20ポイント超えたし、タフネスのスキルと合わせて27だ。これは中々いい感じなんじゃないかな。疲れにくくなったって言うのは、40代の初老のおっさんにとっては夢みたいな事だからな、ホント、異世界の能力値補正って大したもんだな。だけど気を付けて行動しないと、体力が普通の人より高いみたいだからな、この世界の人々にとって、今の俺の体力はずば抜けているみたいだからな。慎重に行動しないと。
こんなもんかな、さて、レベル上げも終わった事だし、王子とお嬢様の話はどうなったかな?
「許しておくれよ、エミリエル」
「・・・私にとって、異性と
「だから、何もしてないって」
「例え何もしていなくても、私の中では立派にアウトよ」
「そこをなんとか、許しておくれ、この通り」
王子は平謝りしている、まだお嬢様は許してはくれないようだ。ここらできつく言っておこうと言う事なのかもしれないな。
「・・・・・・一度だけ・・・」
「え?」
「浮気は一度だけよ、これ以上は私知らないから・・・」
「エミリエル、許してくれるのかい」
「一度だけよ! いいわね!」
「ああ、ああ! もうこんな事はしないから、許してくれてありがとう、エミリエル」
「よかったですね、お嬢様」
「カスミもありがとうね、色々励ましてくれて」
やれやれ、ようやく元の鞘に収まったか、これでもう安心だな、この二人ならきっと大丈夫だろう。さあ、いよいよパラス・アテネへ向けて出発の時がきたのかな、王子とお嬢様の問題も解決したし、一事はどうなる事かと思ったけど、なんとかなってよかった、よかった。
「おっさん、確か棒姉妹がどうのとか言ってなかった?」
「・・・気のせいですよ、お嬢様」
おじさん、やっぱりこの手の話は興味無いよ
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