第135話 公都セレニア防衛戦 2
ジローサイドーーーーーーーーーーー
俺達はセレニア城を出て、第二城壁の所まで来た。貴族街のところだ、そこでは人でごった返していた。一体何があったんだろうか、ちょっと聞いてみよう。
「すいません、何があったんですか」
「え? 聞いてないんですか? 西門が破壊されたのでその周辺に住んでいる人達が非難して来ているんですよ」
「ええ!? 西門が破られたのですか! それで今、どんな状況ですか」
「さあ、まだ衛兵の兵士達が戦っていると思いますけど・・・」
「・・・そうですか、どうも」
なんて事だ、街の西門が破壊されただなんて、これで何時モンスターが街の中に侵入してくるかわかったもんじゃないな。どうする、俺達も西門へ行ってみるか。
「スカーレットさん、西門の方でモンスター共に押されているみたいです」
「そうみたいね、どうするのジローさん」
「・・・俺達だけが行っても何かの役に立つとは思っていませんが、一応様子を見に行ってみませんか」
「わかったわ、それにしてもあの頑丈そうな城壁が破られただなんて、まだ信じられないわね、モンスター側に何か強力なヤツでもいるのかしら」
「わかりません、とにかく行ってみましょう」
俺達は貴族街を抜け、一般街のところまで来た、途中ですれ違った人達も殆ど貴族街へ非難しに移動しているみたいだった。街の広場は人で溢れていた。この人達は全員逃げてきた人達だろうか。兵士の1人が避難誘導していた、ちょっと聞いてみよう。
「すいません、お忙しいところ、西門は今どうなっていますか」
「あんた等も早く非難しなさい! 西門が破られて何時モンスターに侵入されるかわかったもんじゃないからな! とにかく急いで!」
避難誘導している兵士はとても忙しそうにしている、当たり前か、何時モンスターの侵入を許すかわからないからな。
「俺達は冒険者ですが、何か手伝える事はありますか」
「・・・冒険者か、それなら西門の所まで行ってモンスターの侵入を食い止めてもらえるとありがたいけどな、他の冒険者達もそっちに行っているみたいなんだ、頼むぞ! 兵の数が整うまでの間だけでいいから!」
「わかりました! 何とかやってみます」
「頼む!」
衛兵の人は街の人達の避難誘導に戻った、忙しそうだ、無理も無い、パラス・アテネ王国でモンスターのスタンピードが起こっているから、多分それの二の舞になるんじゃないかもしれないと思ってしまうんだろうな。気持ちばかりが焦ってしまうんだろう。とにかく自分達でやれる事をやってみよう。無理だけはしない様にして。
街の西門のところまで来た、そこでは門を守る様に冒険者風の人達がモンスターの侵入を食い止めていた。結構乱戦になっているみたいだ、俺達も助太刀しよう。
「冒険者です! バーミンカムから来ました! 助太刀します!」
「おう! わざわざバーミンカムから来なすったか! ようこそセレニアへ! っと言いたい所だが見ての状況だ! 手を貸してくれるのはありがたい!」
「状況は! どうなっていますか!」
「見ての通りさ! 一進一退ってところか! あんた等は抜けてきたモンスターを倒してくれりゃあいい!」
「わかりました!」
「すまんな! これが終わったら一杯奢るぜ!」
「それじゃあますます油断出来ませんね! とにかくやってみます!」
西門のところで冒険者達が布陣を敷いている、さすがにやるようだ、この国の冒険者達も腕が立つみたいだ。なんとか持ちこたえている。しかし、モンスターの数が圧倒的に多い。ゴブリンやオークで構成されてはいるが、この数は多すぎる。
西門を守る様に冒険者達が布陣を敷いて、この国の衛兵達が門の外で戦っているようだ。乱戦だな。敵味方入り乱れて激しく動いている。戦っている衛兵達の方にも冒険者の何人かが支援に回っているようだ。なんとか持ちこたえている。
その時、遠くの方から轟音が響いてきた。
ドゴーーーーーーーン!!
「カノントータスがまた撃ってきたぞ! 退避ーーー!」
な、何!? カノントータスまでいるのか! 大物だ、これだけの人数で対処できないかもしれない。
カノントータスが撃った砲撃は城壁に直撃し、城壁の一部が破壊されていた。なんつー威力だ。こんなのまともに喰らったらひとたまりも無い、しかし、カノントータスを何とかしないと何時まで経っても危険な状況に変わりは無い。どうする! 思い切って打って出るか!
「ジローさん! アレを見て! 援軍よ!」
「え?!、援軍? どこですかスカーレットさん!」
「ほら! あそこ!」
スカーレットさんが指を刺した方向を見てみると、確かにどこかの軍隊が救援に駆けつけて来てくれている所だった。
ん?・・・あの旗はどこの国の旗かな?
兵士の一人が援軍の旗を見て、声を上げた。
「あ! あれは、う、う、ウルフのマーク! あ、あ、あいつは!」
「どうしましたか?」
「ぶ、ブライガー伯爵だ! みんな! ブライガー伯爵の軍が助けに来てくれたぞ!」
「え! ブライガー伯爵様ですか!」
よく見ると、援軍の人達はどいつもこいつもみんなモヒカンかスキンヘッドばかりだった。モヒカンとスキンヘッドの人達が助けに来てくれた様だ。ちょっとこわい。世紀末みたいな絵面だ。
その時、上空から赤熱した大岩が炎を上げながら勢いよく落ちてきた。あれはメテオストライクの魔法だな、おそらくフランクさんが魔法を唱えたんだろう。
メテオストライクの魔法はそのままカノントータスに直撃し、辺りは轟音に包まれた。
ドカーーーーーーーン!!
爆風が頬をかすめる、結構距離があるにも関わらずここまで爆風が届いてきた、さすがの威力だ。魔法使い最強の攻撃呪文は伊達ではないな。
カノントータスは吹き飛んで跡形も無い。一番懸念していた大物モンスターをたった一撃で倒してしまった。さすがフランクさん。
そして、ブライガー伯爵がこちらにやって来て、皆に挨拶をした。
「皆の者、無事かね」
「ブライガー伯爵様! おかげで助かりました! どうもありがとうございます!」
「なに、気にする必要はない、ん?・・・そこにいるのはジロー君達じゃないかね」
「はい、その節はお世話になりました」
「・・・おいおい、ジロー君、君、あの旗はどうした?」
「え?、あの旗?」
「俺様がジロー君にあげたやつだよ」
「ああ、義勇軍の旗ですか、勿論ちゃんと持っていますよ」
「そうではなく、義勇軍の旗を掲げていないではないか、困るなあそんなんじゃ」
「え? 義勇軍の旗をですか、」
「そうだよ、ここは乱戦になっているからね、義勇軍の旗を掲げていないと何処にジロー君がいるかわからないじゃないか、今すぐ旗を掲げたまえ」
「は、はあ、わかりました」
俺はバックパックから義勇軍のレプリカの旗を出して広げた、それをその辺に落ちている木の棒で固定して旗を作った。それを背中に背負い旗を掲げた。
「うむうむ、やはりこうでなくては」
「そ、そうですか?」
「ジロー君、この戦いが終わるまでその旗を掲げ続けたまえよ」
「わ、わかりました」
目立ってしょうがない。みんなこっちを見ている。恥ずかしい。
「さあ! 皆の者! もうひとふん張りだ! 残った敵の数! 決して多くは無いぞ! 俺様に続けー!」
「「「「「 おおーーーーーーーーー!! 」」」」」
セレニア公国近郊ーーーーーーーーーーー
「あ! 見て王子! セレニアで何かあったみたい!」
「どうしたんだい、エミリエル」
「どうやらセレニアがモンスターの攻撃を受けているみたいね、どうするフレデリック?」
「エミリーはどうしたいんだい」
「勿論助けたいわ! だけど私の連れてきた私兵だけじゃ数が足りないわ」
「そう言う事なら、私の連れてきたザンジバル軍150人の兵と合わせて200人の兵力で何とかならないかな」
「う~ん、でも私達の連れてきた兵ってパラス・アテネの救援の為に預かってきた兵力だから、・・・」
「このまま見過ごすのかい?」
「いやよ! なんだか助けたい気持ちなのよ」
「じゃあ助けようよ、エミリー」
「・・・ありがとう・・・フレデリック王子・・・っと言う訳で頼むわよカスミ!」
「え? ええ! 私ですか、お嬢様の護衛だけじゃないんですか」
「西門と東門が攻撃されているみたいだね、西門にはどうやら援軍が駆けつけてきたみたいだから、私達は東門の救援に向かおう」
「カスミ! 大物のオーガは任せたわよ!」
「えええ~~~~!?」
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