第115話 スカーレットさんと行動開始




 朝、マゼランの冒険者ギルドの宿屋で目を覚ました、ピピとファンナはまだ眠っているので起こさないようにそっと部屋を出る。顔を洗いに1階に降りてギルドの裏手にある井戸で顔を洗う。水が冷たくて目が覚める。


ギルドホールで、コーヒーを注文する。出て来たコーヒーを啜りながら朝のまったりした時間を過ごす。早い時間帯でも来ている冒険者は結構いる。都会にある冒険者ギルドだけあって、冒険者の人数も結構いるみたいだ。俺と同じ様にコーヒーを飲んでいる者もいる。


しばらくして、ピピとファンナが起きて来た、ピピはまだ眠そうだ。


「おはようございます、ジローさん」


「・・・おはよ」


「おはよう、ファンナ、ピピ、早速朝食にするかい」


「はい、そうします」


「・・・かおをあらってくる」


「あ、私も」


二人ともギルドの裏手にある井戸へ行った。先に朝飯を注文しとこうかな。


「すいませ~ん、サンドイッチ2つとミルクとお茶をくださ~い」


「は~い、ただいま~」


朝食が来るまでには二人とも顔を洗い終わるだろう、コーヒーを少しづつ飲む。しばらくして二人は戻って来た、丁度サンドイッチも届いた。


「「「 いただきます 」」」


ピピの為にサンドイッチを食べやすい大きさに千切ってピピに渡す。ファンナはミルクを飲みながら食べている、俺はお茶を啜りながら食べる。うまいな、このサンドイッチ。胡椒が利いている。


朝食を食べ終わる頃、スカーレットさんが冒険者ギルドへやって来て、俺達の所まで来た。


「おはよう、みなさん」


「「「 おはようございます 」」」


「私の方はもう準備出来ているわ、それじゃあ今後の事を詳しく聞かせて頂戴」


「はい、まず俺達の目的はシスターマリー、またはマリアンデールと呼ばれている女性を捜す事、事前に集めた情報によると、どうやらシスターマリーは王都バーミンカムに居るかパラス・アテネ方面にあるセレニア公国に居る可能性が高いという事です」


「バーミンカムかセレニアかって事ね」


「はい、俺達はまず二手に別れてファンナにはバーミンカムへ行って貰い、サリー王女にシスターマリーの事を聞きに行って貰います」


「はい、やってみます」


「そして、俺とピピ、スカーレットさんはセレニア公国へ向かい、シスターマリーの情報を集めます」


「なるほど、それで私を雇ったのね、情報収集なら任せて頂戴、これでもいっぱしのシーフよ」


「よろしくお願いします」


「二手に分かれるって言ったわね、それじゃあこれを渡しておくわ」


スカーレットさんは何か手のひらサイズの石版の様な物を取り出した。


「何ですか? この石は」


「うふふ、これはね、伝意の石っていうマジックアイテムよ、2つ1組になっていて、どんなに離れていてもお互いの声が聞こえるっていう盗賊ギルドご用達のアイテムよ」


「え、マジックアイテムですか、何だか便利そうですね」


「実際便利なんだけど、一日一回しか使えないのよ、だから使いどころが肝心ね」


「一日一回ですか」


なんかトランシーバーみたいだな、便利そうじゃないか、一日一回でも情報のやり取りが出来る訳だからな。


「それじゃあ、一つをファンナに渡して、もう一つを俺達が持っていればいいわけですね」


「そうね、はい、お嬢ちゃん、これ」


ファンナは伝意の石を一つ受け取った、もう一つを俺が持つ事になった。


「ファンナ、一日一回、お昼ぐらいの時間になったらこの伝意の石を使おう」


「はい、わかりました」


「使い方は簡単よ、手で石を握って語りかけるだけでいいの」


「わかりました」


「それじゃあ、そろそろ動きますか、俺達はまず食料を調達しに行きます、セレニア公国まではかなりの距離がありますから、少し多めに食料を買っておかないと」


「わかったわ」


こうして、俺達は商店街に行き、食料を買い込む。ざっと二週間分だ、これだけあればいいだろう。


「よし、食料も買ったし、後は馬をどうするか、・・・そう言えばスカーレットさんは馬に乗れますか」


「ええ、乗れるわ」


「それは助かります、実は俺、馬に乗れなくて、・・・スカーレットさんと二人乗りでいいですか」


「構わないわよ、・・・意外ね、馬に乗れないなんて」


「すいません、慣れてなくて」


「ふ~ん、まあいいわ、それじゃあ行きましょうか」


「はい」


俺達は馬屋へ行き、サラミスの街から乗ってきた馬を俺とスカーレットさんが、新しく馬を借りるのはファンナにして、それぞれ馬を用意した。


マゼランの都の門の所まで来て、俺達は別々に行動する。


「それじゃあジローさん、私は王都バーミンカムへ行ってきます」


「はい、ファンナ、気をつけて」


「お嬢ちゃん、伝意の石を無くさない様にね」


「はい、それでは」


ファンナは東にある王都バーミンカムへ向けて馬で駆けていった。俺達も一度西にあるサラミスへ向けて馬を走らせる。まずは一度サラミスの街へ行って、そこからパラス・アテネ方面へ向かう事になる。


「ジローさん、しっかり捕まっててね」


「はい、よろしくお願いします、スカーレットさん」


ピピは俺の服のポケットの中だ。


俺達もサラミスへ向けて馬を走らせた。シスターマリーが連れて行かれて四日経った、そろそろシスターマリーを追わないと。




おじさんちょっと急ぐよ








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