第109話 グラスを傾けながらレベルアップ
たまには趣向を変えて冒険者ギルドじゃなく、別の酒場で飲むのもいいだろう。俺は酒場が軒を連ねる場所まで来た。さて、どの店に入ろうかな。その中の一件の店に入る事にした、酒場兼宿屋みたいな店だ。
ドアを開けて店の中へ入る、静かで落ち着いた感じの店だ、吟遊詩人の奏でるリュートの音色が静かな雰囲気をだしている。俺はブレイブリングを見せながら店のマスターに声を掛ける。
「部屋は空いていますか」
「ああ、空いてるよ、ご注文は」
「ウイスキー、水割りで」
「銅貨5枚でつまみも付くが」
俺はテーブルカウンターの上に銅貨5枚を置いた。マスターはそれを仕舞いグラスを取り出す。グラスにウイスキーを注ぎ水を足して氷を入れる。そして俺の目の前のカウンターテーブルに置いた。
「ごゆっくり」
「ありがとう」
ウイスキーの入ったグラスを傾けて一口くちの中に入れる、うまい、いい酒だ。グラスの中の氷がカランッと転がる音が耳に心地いい。
「ウチで採れた枝豆だ」
「ありがとう、マスター」
枝豆をつまみながらグラスを傾ける。もう酔いが回ってきた。それにしてもいい酒だ。氷をカランッと回しながら一口飲む。
・・・決まった、ダンディーに決まってしまった。・・・惜しむらくは近くに女性客がいないと言う事だ、ウエイトレスの女性は他の常連客っぽい人と談笑している。俺の周りには野郎ばっかりだ。
・・・仕方ない、経験点があるからレベルアップでもするか。まずはステータスの確認だ。俺はメニューコマンドのステータスを指でタッチする。
LV21 バトルマスター
HP63 MP12
力 20 +5
体力 16 +5
すばやさ 10
器用さ 10
魔力 4
幸運 3
ユニークスキル メニューコマンド
マジックスキル ファイア
スキル 異世界言語・文字 ストレングス タフネス 盾熟練 指揮官
3BP 3SP 経験点1060点
こんな感じだ、戦士としてはまずまずなんじゃないかなと思うんだが、まだまだのような気もするし、さすがにLV20を超えるとなかなか見れるステータスになってきた気がした。
さて、まずはレベルアップからだ、成長コマンドで経験点1000点使って1レベル上げる。・・・よし、LV22になったぞ、HPも66になった。
お次はBPの振り分けだ、3ポイントあるからな、まず力に1ポイント使って、力を21にする。ストレングスのスキルと合わせて26になった。あとは・・・そうだな、体力に2ポイント使うか、・・・よし、これで体力18になった、タフネスのスキルと合わせて23だ。これで戦士としてはまずまず。
さあ、いよいよSPを使うぞ、3SP(スキルポイント)あるからな、確かゲーム「ラングサーガ」だと上級スキルに必要なポイントは3ポイントだったはずだ。メニューコマンドのスキルを指でタッチする、・・・よしよし、上級スキルの部分が明るく表示されているぞ。これで上級スキルが習得できるようになった。
さて、何を習得しようかな、命中率と回避率が30%上昇する「見切り」にするか、物理、魔法ダメージを50%カットする「バリアガード」なんてものもある。う~む、どうしたものか。悩むな~。
・・・そう言えばジャイアントフロストバットとの戦いの時、冷気のブレス攻撃をことごとく喰らってたな、後ろに守るべき対象がいる時は盾でガードしながら受けていたけど、それ以外は別に避けてもいいんじゃなかったのだろうかと今更ながら思うんだよね。
うーむ、敵の攻撃の回避か・・・回避能力を上げるならやっぱり「すばやさ」の能力値だよなあ。今の俺のすばやさは丁度10ある。ブレス攻撃を避けようと思えば避けられたはずなんだけどな、もう少しすばやさが欲しいところだな、・・・あ、そうだ、すばやさを劇的に上昇させるスキルがあったな、・・・え~と、どこだったかな、・・・・・・あ、あったあった、「ハイスピード」。このスキルならば今よりももっと早く動ける様になるぞ、・・・うーむ、どうしようかな、・・・いいや、このスキルを習得しよう。
・・・よし、「ハイスピード」を習得したぞ。これですばやさの値に+15されるはずだ。ここまで上がれば大概の攻撃は避けられるだろう。いざとなれば盾のベルシーダもあるからな。
こんなところかな、もう一度ステータスを確認してみよう。
LV22 バトルマスター
HP66 MP12
力 21 +5
体力 18 +5
すばやさ 10 +15
器用さ 10
魔力 4
幸運 3
ユニークスキル メニューコマンド
マジックスキル ファイア
スキル 異世界言語・文字 ストレングス タフネス 盾熟練 指揮官
ハイスピード
0BP 0SP 経験点60点
こんな感じだ、うむ、いいんじゃないかな。いや、まだまだか。何はともあれ、これですばやさの値は合計25になった、これだけあれば大丈夫だろう。俺はウイスキーのグラスを傾ける、うまい、流石に酔いが回ってきたかもしれない。つまみの枝豆を食べる。うん、これもうまい。こういう店は静かに飲むのがいいんだよな。
ふいに、隣の席のカウンターで飲んでいた男二人の会話が聞こえてきた。
「なあ、そういえば知ってっか、王国の噂」
「んあ、バーミンカムがなんだって」
「ちがうちがう、この国じゃねえよ、西にあるパラス・アテネ王国の話だよ」
「ああ、それなら知ってるぞ、魔物の大進行(スタンピード)でクレオネス大王が戦死しちまったんだろ、え~と、確かゴー平原の戦いだっけか」
「ああ、そうだが、その情報もう古いぜ、新しい情報はな、その大王の娘、グラドリエル姫が女王に即位したってことだ」
「へ~、よく知ってるな」
「俺っちの知り合いに行商人をしてるヤツがいてな、それで情報が入ってくる訳よ」
「そうか、それじゃあグラドリエル様も大変だろうな、魔物の攻撃ってまだ終わっていないんだろう、大王が戦死して今が一番大変な時じゃねえか」
「それがよ、どうも大陸中にある各国に兵を出して貰おうと手紙を送っているらしいぞ、おそらくバーミンカムも兵隊を出すんじゃないかって噂になってっからなあ」
「魔物の大進行(スタンピード)か、パラス・アテネ王国も大変だなあ」
「クレオネス大王と」
「グラドリエル女王に」
「「 乾杯 」」
二人の男達は互いにグラスを軽く打ち鳴らし酒を飲んだ。
・・・そうか、そう言えばボルボ教官もパラス・アテネ王国に赴いているってギルマスが言っていたな。このミニッツ大陸の中心国家であるパラス・アテネ王国で魔物の大進行ね、色々大変なようだ。
グラスを傾けながらほろ酔い気分で店を後にした。冒険者ギルドに行ってピピと合流して、この酒場兼宿屋の宿で眠った。
おじさん酒はあまり飲めないんだった
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