第87話 ご挨拶しましょう




さてと、まずは何から始めましょうか。


そうだわ、まだマクレーンさんとリッキー君に自己紹介していなかったわね。


「さてと、それじゃあ俺はそろそろ王都に戻らにゃならん。お前達、お嬢様をしっかり護衛しろよ」


「は! 将軍」


「お気を付けて!」


「カスミ嬢も頼むな」


「はい」


「ランフォード将軍、相談にいらしていただき有難うございました、それではお二人をお借りいたします」


「ああ、ミレーヌ伯爵もあまりご無理をなさらない様に、エミリエルお嬢様もお転婆もほどほどにな」


「あら、私は淑女たらんと努力していますわ、ランフォード将軍もお母様に色目を使わないように」


「はっはっはっ、伯爵はまだ若いからな、それでは俺はこれで失礼する」


ランフォード将軍は席を立ち挨拶した後、応接室を退出した。


私は自己紹介をする。


「それでは、改めまして、私の名はカスミと申します、宜しくお願いします」


「よろしくカスミさん、私の名はマクレーン、王国軍魔法兵団所属の魔法使いでクラスはソーサラーです。よろしく」


マクレーンさんは見た目は20代のインテリ系の美男子って感じね、きっとモテるんでしょうね。


「初めまして、騎士見習いのリッキーと申します、クラスは戦士です。よろしくお願いいたします」


リッキー君は見た目、16歳ぐらいかしら、若い男の子って感じよ、私が若い頃持っていて年齢と共に忘れてしまった何かを持っているって感じね。青春ってヤツよ。


二人ともイイ男って感じかしら、お知り合いになれて良かったって所ね。


「それでカスミさん、あなたのクラスは何ですか」


「え? クラス?」


何かしら? 学校のクラスって事じゃないことは確かよね。


ここでお嬢様から助け舟が出た。


「カスミ、職業の事よ」


「ああ、職業ですか、一応オフィスレディーをやっていました」


「おふぃすれでぃー?、聞いた事ないですけど、マクレーン知ってるか」


「いや、私も初めて聞きました、それはどう言った戦闘スタイルでしょうか」


「へ?、いえいえ、戦闘なんてとんでもない、ただの民間人です」


「民間人? 平民と言う事でしょうか」


「あ、はい、たぶんそれです」


「え? カスミさん戦えないの、何でお嬢様の専属護衛になったの」


「あ、それは・・・」


「うふふ、カスミはね、素手でオークを倒したのよ」


「「 素手で!? 」」


私がモンスターを素手で吹っ飛ばした事を、お嬢様が話した事で、二人共驚いている様だわ。


「お恥ずかしい限りです」


マクレーンさんが聞いて来た。


「と、言う事はカスミさんはグラップラーなのですか」


「グラップラー? いえ、そんな厳ついのではなくて・・・」


「まあ、素手でオークを倒せるぐらいならば戦力としては十分ですね」


「そうだな、しかしオークを素手でか、大したもんだ」


リッキー君も感心しているみたいね。


「いえ、そんな事は・・・」


「何はともあれ、まずは情報を集めないといけませんね」


「そうだな、手紙を送り付けてきた奴を探さないとな」


そうだったわ、手紙の送り主を見つけなきゃ。

でも、どうやって? 私人探しとかあんまり知らないわよ。


「さし当たって思いつくのは、手紙を誰が受け取ったか、でしょうか」


「なるほど、カスミさんの言う事も一理ありますね」


「じゃあそこから調べるか」


「エミリエルお嬢様、心当たりは無いんですよね」


「え、ええ、そうね・・・」


この反応、何か隠しているわね。


「お嬢様、正直に仰って下さい」


「わかったわよ、実はね、スラム街に出かけていた時にね、ちょっとね」


「スラム街?!、何でそんな危険な場所に出かけるんですか」


「いや~、つい、羽を伸ばしに」


「つい、じゃありませんよ、ごろつきの連中の中にいるかもしれないじゃないですか」


「わ、悪かったわよ、そんなに言わないでよ、私だっていろいろあるのよ」


なんて事、この子間違いなくお転婆だわ。


どうしましょう、大事にならなければいいのだけど。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る