番外章 異世界転移したある女性のお話
第81話 始動、女主人公
はあ~、疲れた~。何で私ばっか仕事してんのよ。
もう外は暗い、夜の帳ってやつね。まあいっか、明日は休みだわ。
会社帰りにいつものようにコンビニへ行く。
ところが・・・
「あら? コンビニは?・・・まさかつぶれちゃったのかしら」
いつも行くコンビニは、どういう訳か別の建物になっていた。
「なにかしら? 喫茶店?・・・コーヒーでも飲んでいこうかしら」
看板もなにも出ていないお店だけど、妙に清潔感があるお店だわ。
試しにお店に入ってみる。
カランコロン
どうやら喫茶店のようだけど、営業してるのかしら。
「いらっしゃいませ~」
「すみません、初めてこの店に入りましたけど、ここって喫茶店でしょうか」
「いえ、ここは異世界斡旋所ですけど」
・・・・・・はい?
「え? 異世界・・・斡旋所?」
「はい、そうです」
「すみません、よくわからないですけど、喫茶店ではないのですね」
「あ、喫茶店に見えますか、まあそう見えるようにしたんですけどね」
異世界ってあれよね、小説とかライトノベルとかでよく見かける。私も少し読んだ事があるわ。
「お客様、異世界転移に興味ありませんか」
「・・・いえ、とくには」
「またまた、ここは適性がある人じゃないと見る事も入る事も出来ないのですよ」
「え? そんな事言われてもどうしたらいいのやら・・・」
「試しに異世界、行ってみませんか」
「・・・試しに、ですか・・・」
「お客様、ロールプレイングゲームとかやった事ありませんか」
「あ、私、落ち物パズルゲームしかやったことなくて」
「あ、そうなんですか、う~ん、こちらでご用意できるのは剣と魔法のファンタジー世界なんですけど」
剣と魔法のファンタジー・・・か・・・子供の頃魔法少女とか憧れてたっけ。
懐かしいわね、・・・ちょっとだけやってみようかしら。
「異世界ってどうやって行くんですか」
「あ、興味あります、コホン、では、質問します、お答え下さい」
な、なにかしら。急に真面目な雰囲気になったけど。
「お名前は」
「森野カスミです」
「お幾つですか」
「・・・40代・・・とだけ言っておきます」
「ご結婚は」
「・・・独り身です」
「男性に幸せにしてもらったことは」
「・・・ありません」
「特技は」
「昔テニスを嗜んでいました」
「・・・なるほど・・・もう結構です」
「あの~、何か意味があるのですか」
「気にしないで下さい、ただの聖女適性 聖女診断?ですから」
「はあ、そうなんですか」
「あなたの場合ですけど、ズバリ、イージーな感じでやっていただきます」
「あ、簡単なのは有難いです」
「それと若返っています」
「え? 今なんて?」
「それではいきますよ、私が指をパチンとやったらもう異世界です」
「え? え? もうですか、私心の準備がまだ・・・」
「それではいきますよ、えい!パチン」
気が付くと、私は草原のような場所に立っていた。
すっぽんぽんで。
「きゃああああ」
そして、目の前に豚の顔をした二足歩行の生き物がいた。モンスターだ。
「きゃああああああああ」
思わずビンタした。
ばちこーん!
豚さんは物凄く遠くまで飛んでいった。
な、何なのよ、この力。私ここまで筋肉付いてないわよ。
どういうことなの。
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