第68話 ルート会議




 俺達は今、アレキ・サンドリア伯爵の屋敷で今後の事を話し合っている。


フレデリック王子を王都まで護衛する事になったのだが、問題は王都までの道のりだ。王子は今まで通り顔を隠して名前もランディウスのままでいけばいい。


旅の護衛としてバンガード殿が付いて来てくれる事になった。他にもアレキ伯爵のところから、何人か護衛の兵士を出してくれる事になったのだが、あまり大人数だとかえって目を引くかもしれない。


そこで王都までの距離と道順を相談しているのだが。


地図を見て、アレキ伯が唸る。


「うーむ、やはりドコス領を通らねばならんか」


「そうですね、地図を見ると、どうしても最短ルートを通るならドコス領を通らないと・・・」


エミリーも地図を見て悩んでいる。


「結婚式が3日後ってのがキツイわね」


「一応中立を宣言しとるクエイド侯爵領を通るというのはどうじゃ」


「地図を見ると結構大回りになりますからねえ」


「やはり難しいかのう」


ルビーさんも何か思案しながら発言する。


「アレキ伯爵から兵を出してもらうってのは別にいいんだけど、あまり多いとかえって目立つよ」


「しかし、そうは言ってものう、ルビー嬢、おぬし等だけじゃとどうしても不安じゃ」


「伯爵、俺がいるじゃねえか」


「バンガードじゃから不安なんじゃ」


「ひでえな、これでも騎士だぜ」


「いずれにしても、あと3日で王都まで行かなくてはならない訳ですから、ここは最短ルートのドコス領を通るルートで行くしかないですよ」


「・・・うーむ、検問がキツイと思うがのう」


「え? 国内を旅するのにですか」


「わしとドコスは互いに仲が悪いんじゃ、わしの兵が護衛として付いて来た場合、間違いなくいろいろ聞かれるじゃろうな」


「そうなると、ますます護衛の兵は最小限にとどめて頂かないと」


「わかっておるわい、・・・それなら三人までにしとくかのう・・・」


「まあ、それぐらいなら」


「怪しまれないわよね」


「左様でございますな。ルクード家の馬車の護衛として付いて頂けるならば妥当な人数でございます」


「そうよね!今私達が使っている馬車ってルクード家の紋章があるものね、私の護衛って事でドコス領を通っちゃえばいいのよ」


「うむ、バーミンカムから結婚式に招待されとるっちゅう事にしておけばよいか」


「それでは、伯爵の兵が三人、バンガード殿も馬車の護衛として来て頂けるとして、ルートはドコス領を通るルートで決まりですかね」


「うむ、そうと決まれば早速行動開始じゃ」


俺達は早速それぞれ準備に取り掛かった。


っと言ってもただ馬車の用意をするだけなのだが、バンガード殿は既に馬に跨っている。俺達も馬車に乗り込んだ。伯爵の配下の護衛兵三名も馬に跨ってやって来た。


「道中の護衛を仰せつかりました、これから宜しくお願いします」


「はい、護衛の方、よろしくお願い致します」


「まあ、俺がいれば大丈夫だって」


「バンガード殿、わかっていると思いますが、王子の件は秘密ですからね」


「わかってらあ、任しとけって」


ほんとに大丈夫だろうか、まあ騎士なんだから王族の事は第一に考えているだろう。


「皆様、準備は宜しいでしょうか」


「準備いいわよ、ギャリソン」


「それでは、出発致します」


俺達を乗せた馬車は、ゆっくりと進みだした。馬車の左右にはバンガード殿と伯爵の兵がしっかりと護衛として付いている。馬車はそのままムサイの街を出て街道へ出た、ここから東に向かって進むとドコス領だ。


そこから先は王都ザンジバルだ。フレデリック王子をしっかり護衛しないとな。あと、エミリエルお嬢様も護衛しないと、ギャリソンさんに無理を言ってここまで付いて来て貰っているからな。この馬車はルクード家の紋章があるから変な輩に襲われる事はまず無いと思うが。


ドコス領に入る時にうまく検問に引っかからない様にしなければ。俺達を乗せた馬車と護衛の人達は街道を東へと向かって進んで行く。


さて、次はドコス領を通る訳か、何事もなければいいんだけど。




おじさんはゆっくり行くよ






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