第44話 馬車の荷台でレベルアップ




 馬車の旅は順調だった、ついウトウトしてしまう程だ。


本当にこの国の街道警備隊は優秀だな、モンスターに一度も出くわさない。街道から外れるとどうなるかはわからないけど、草原のモンスターはさほど強くないけどね。


のんびりするのもいいけど折角なのでレベルアップしとくか、経験点もあるし。まずは今のステータスの確認だ。(ステータス)



 LV12 ウォーリア


 HP36  MP0

 力 7+5

 体力 6+5

 すばやさ 3

 器用さ 5

 魔力 0

 幸運 2


 ユニークスキル メニューコマンド

 スキル 異世界言語・文字 ストレングス タフネス 盾熟練


 BP3  SP1  経験点2060点



こんなもんかな、まだまだ戦士としては低い数値だなぁ。


よし、レベルアップするか。まずは成長コマンドを選択してっと。経験点が2060点あるけどレベルを1つ上げるのに500点使うんだよな、中級職だからだよな、きっと。まずレベルを16まで上げてっと、よしよし上がった。


次はBP(ボーナスポイント)だよな、何に使おうかな、戦士だからやっぱり力かな。この前のバルト要塞奪還作戦の時のオークロード戦では苦戦したからな。もう少し攻撃力が欲しいところだ、いい加減武器を買い替えるか、だけどまだショートアックスは使えるしな。予備のハンドアックスもあるし。


・・・よ~し力に3ポイント使っちゃえ。これで力は10になった、ストレングスのスキルと合わせて15だ。


後はSP(スキルポイント)が1ポイントあるけどどうしようか。う~む、悩みどころだな、俺は戦士としてはステータスが低い。かと言ってここで斧熟練なんかのスキルを習得するのもなぁ。まだ剣への憧れがあるんだよなぁ。だけど今は斧を装備しているし、どうしたもんか。


そう言えばオークロードの時はルビーさんに助けられたんだよな。サーシャも強い弓使いだし、ファンナは魔法少女になると一段と強くなる。


なんだろう、俺だけ強くない感じだな。悔しいって訳じゃないけど。なんて言うか、もっとこう、みんなを守れるくらい強くありたいなぁ。


みんな、みんなか・・・みんな強いからな、・・・そうだ!


俺は強くないけどみんなは強い。だったらみんなが強くなるスキルを取ればいいんだ。だったらこれしかない。周りの味方に勇気を与えて士気が上がるスキルだ。


・・・え~とあるかな~、ゲーム、「ラングサーガ」と同じって事はある筈だ。


・・・あった。スキル「指揮官」。このスキルならみんなの助けになる筈だ。さっそく習得する、・・・よし、「指揮官」を習得したぞ。これでみんなの戦闘力が少しは良くなってみんなの助けになるはずだ。


よし、確認してみよう。(ステータス)



 LV16 ウォーリア


 HP48  MP0

 力 10+5

 体力 6+5

 すばやさ 3

 器用さ 5

 魔力 0

 幸運 2


 ユニークスキル メニューコマンド

 スキル 異世界言語・文字 ストレングス タフネス 盾熟練 指揮官


 BP0 SP0 経験点60点



よし、こんなもんかな、これでみんなの役に立てるかな。どうなるかは解らないけど、とにかくこれでよしとしとこう。


不意にルビーさんに話し掛けられた。


「どうしたんだいジローさん、黙っちゃって、馬車に揺られて酔ったのかい」


「いえ、そういう訳ではありませんよ、ただ」


「なんだい」


「俺って、みんなの役に立ててるのかなって、そう思っただけです」


俺が殊勝な事を言うと、サーシャもファンナもこちらを向いて答えてくれた。


「ジローは役に立ってるよ、今更何言ってんの」


「そうですよジローさん、私、ジローさんが居たからここまで生き残ってこれたと思っていますから」


俺を心配してか、優しい言葉で返してくれる。


「それは大袈裟だよ、ファンナ」


「だけどあたい等を助けに来てくれただろ、バルト要塞の時、あたい本当に嬉しかったんだよ」


「サリー王女に連れられてですけどね」


「それでもだよ、聞いたよ、ジローさんの作戦が上手くいってバルト要塞を取り戻せたって」


「作戦と呼べるかどうかわかりませんけどね、上手くいってよかったと今でも思いますよ」


「自信持ちなよジローさん」


「そうよジロー、何悩んでるか知らないけど」


「そうですよジローさん」


「みなさん・・・ありがとうございます、おかげで元気が出てきました」


みんな優しいな、ありがたい。・・・仲間っていいな、こういう時。


その後は何の取り留めのない話で時間が過ぎて行った。


目的地であるマゼランの都までもう少しだそうだ。




おじさん、いい仲間に出会ったな











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