第10話 酒場でレベルアップ
食事も終わってまったりしていると辺りが暗くなってきた、夕方近くになり、冒険者ギルドに続々と冒険者風の武装した人達が入って来た。ギルド職員っぽい人がランプに明かりを付けはじめた。
ルビーさんが俺達にこう言った。
「さてと、酒でも飲もうかね」
この言葉に、ゲイルさんが気分をよくしたのか、声を上げてウエイトレスさんに注文した。
「まってやした、すいやせ~ん、エールを3つお願いしやす」
「は~い、ただいま~」
ゲイルさんがお酒を3つ注文した、俺の分もいいのかな。
「私も飲んでいいのですか」
「エールだけど飲めるんだろ?」
「酒ですか、一応は・・・」
「じゃあ飲もうじゃないか」
「ありがとうございます、いただきます」
少しして木で出来たジョッキが3つ、テーブルに置かれた、これがエールか。見た目はビールみたいだが、冷えてはいないようだ。まあ異世界だし冷蔵庫とかないんだろうな。
「じゃあ、カンパ~イ」
「「カンパ~イ」」
エールを一口飲む、やっぱりぬるいが麦酒って感じだ。おいしいくて甘いな、これがエールか。
すると突然頭の中に女性の声が聞こえた、まただ。
{メニューコマンドに成長コマンドが追加されました}
なんだ? メニューコマンドに追加だって、早速やってみよう。
エールをチビチビ飲みながらメニューコマンドと念じる。
お、出てきた、アイテム、スキル、ステータスの他に新たに成長が追加されていた。
成長と念じてみる、すると3つの項目が表示された。レベルアップとクラスチェンジ、それとBP(ボーナスポイント)振り分けの3つだ。
順番にレベルアップから試してみるか、レベルアップと念じてみる。
{経験点100点につき1レベル上昇します}
なるほど、経験点100点で1レベルアップか、それなら今200点あるから2つレベルを上げてみよう。2レベルアップと念じてみる。
{レベルアップしました}
よし、やったぞ。ステータスを確認する、よしLVが3になっている、HPも9になっている。
・・・HP9か、まだまだこれからだな。
次はクラスチェンジだ、念じてみる。すると現在転職可能な職業が表示された。このへんはゲームと同じだな、戦士に盗賊、魔法使いなどの初級職しか選択できないみたいだ。
・・・しかしいずれのクラスも暗く表示されている、おそらく能力値が足りないのだろう。先にBP振り分けをしないとな、ボーナスポイントと念じてみる。
{1BPにつきいずれかの能力値を1ポイント上昇出来ます}
よし、ひとつやってみますか、まず俺は体力が低い、1しかないからな。だから疲れやすいのか、歳はとりたくないもんだ。
BPは確か2ポイントあったよな、よーし、体力に2ポイント振り分けよう。
よし、出来たぞ、これで体力は3になった。力は既に3あるのでこれでゲームと同じなら戦士になれるはずだ。
もう一度クラスチェンジと念じる、やっぱりか、戦士の部分だけ明るく表示されている。
魔力0だから魔法使い職は向いてないみたいだ、戦士にクラスチェンジする。
大体こんなもんか、ステータスを確認する。
LV3 戦士(ファイター)
力 3
体力 3
すばやさ 1
器用さ 5
魔力 0
幸運 2
ユニークスキル メニューコマンド
スキル 異世界言語
BP0 SP1 経験点0
なるほど、やっぱり低いな俺のステータス。
「どうしたんだい、さっきから目をつぶって」
不意に、ルビーさんが話し掛けてきた、メニューコマンドの事は秘密にしておいた方がいいような気がするな。
「いや、大した事ではありません」
「ウエイトレスさ~ん、エールおかわりくだせい」
「は~い、」
「それでジローさん、文無しで泊まるとこはあるのかい」
「あ、そういえば」
「それじゃああっしの泊まっている馬小屋に一緒に行きやしょう」
「いいんですか、ゲイルさん」
「構いやせん、ルビーの姐御は宿屋ですけど、あっしは馬小屋の方が合ってやすんで」
「ありがとうございます、お世話になります」
よーし、今夜の寝床は何とかなりそうだぞ。
「そういや、あの金貨はどうしようかねえ」
「金貨ってなんでやすか?」
「ドム遺跡で見つけたんだよ、ほら、これ」
そう言いながら、ルビーさんは鞄からドム遺跡で見つけた金貨を取り出し、ゲイルさんに見せた。
「アトラス金貨なんです」
「ええ!?、アトラス金貨っていやあ貴族が欲しがっているヤツじゃないですかい」
「そうなんだよ、こいつを売ってみんなで山分けだよ」
「え、あっしもいいんですかい、特に何もしてないっすよ」
「パーティーだろ、遠慮すんじゃないよ。いいよねジローさん」
「ええ、構いませんよ」
「すいやせん、ありがてえです」
色々話していると夜も更けてきた。お酒も入りほろ酔い気分になり、今夜はここまでと言う事になった。
俺達はそれぞれ寝床に向かう、今日一日色々な事があったな。さすがに疲れた。
おじさんもう寝るよ
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