第9話 サラミスの街
俺たちはサリー王女を伴ってサラミスの街の門前までやって来た。
「ここがサラミスの街か、城壁が高いな」
モンスターの侵入を防ぐ為だろう、5メートル位の高さでぐるりと街を囲んでいる。
騎士グレンがサリー王女の身を案じて進言した。
「王女様、このサラミスの街でしばらく休みましょう、まずは御身を休ませませんと」
「そうですね、そうして頂ければ助かります」
「さっそく参りましょう」
俺以外みんな門衛に挨拶して通り過ぎる、よし、俺も。
街の門衛に軽く挨拶して通り過ぎようとして、止められた。
「お前は見ない顔だな」
「あ、旅の者です」
「身分を証明するものは?」
「無いです」
「入市税として200G貰うが」
「すみません、無一文なんですが」
どうしよう、困ったぞ。
「まあ待ちなさい、そういう事ならワシが立替えよう」
「よろしいのですか、騎士グレンさん」
「なに、ジロー殿が手伝ってくれたでの、それくらい出すわい」
「ありがとうございます、助かります」
騎士グレンが銅貨の様な貨幣を門衛に渡した。
「これは騎士グレン様、グレン様のお連れの方でしたか」
「うむ、遺跡探索を手伝ってもらっての」
「確かに受け取りました、よし、通っていいぞ」
ほ、よかった、これで街の中に入る事ができるぞ。騎士グレンさんに感謝だな。
街の壁門を通ってサラミスの街へ入る。
街の中は賑わっている、いろんな人がいるみたいだ。エルフにドワーフ、ケモ耳の獣人もいるみたいだ。まさにファンタジー、て感じだ、建物も石造りで頑丈そうな中世西洋風の感じだ。いい匂いがしてきた、露店だろうか、朝から何も食べてないからな。
俺達は街の広場までやって来た。そこで騎士グレンさんがルビーさん達に向いて懐から何かの袋を取り出した。
「さて、ルビー嬢達に依頼料を払わんとな」
「え、あっしにもですかい、大して役にも立ってないのにですかい」
「あたい等はパーティーだからね、別に良いって事さ」
「すいやせん、ルビーの姐御」
「それでは、ほい、18000Gじゃ」
騎士グレンはルビーさんにお金みたいな硬貨を渡していた。
「確かに受け取ったよ、・・・あ~これで旨い物にありつける」
「今まで安いモンしか食ってないっすからねえ」
ルビーさん達は喜んでいるみたいだ。
「それからジロー殿」
「何でしょうか」
「すまんが今手持ちが無くての、後ほど報酬は払うでの」
「そうですか、分かりました」
報酬は後か、いくらくらいだろうか、楽しみだなー。
「すまんの、サリー王女様をこの街の代官であるメンデル子爵の屋敷まで連れていかねばならんのでの」
「構いません、そちらの方が優先です」
「それではサリー様、参りましょう」
「ええ、それでは皆様、助けて頂き本当にありがとうございました。失礼致します」
騎士グレンとサリー王女は、歩いて行ってしまった。
ルビーさんが俺に向け、声を掛けた。
「さてと、あたい等は冒険者ギルドに報告だね、ジローさんはどうするんだい」
「そうですね・・・お腹が空いたんですけど、お金が無くて」
「あははっ、それじゃあ一緒に来な、何か奢ってやるよ」
「よろしいのですか」
「懐もあったまったからね、いいだろゲイル」
「へい、あっしは構いやせん」
「それじゃあ冒険者ギルドに行こうかね」
俺達3人は歩き出した、っと思ったらすぐに到着した。
「ここが冒険者ギルドだよ」
「へ~、立派な建物ですねぇ」
冒険者ギルドは3階建ての大きな建物だった、人の出入りも結構ある。
建物の中に入ると、武装した冒険者らしい人の声が喧噪となって聞こえる。扉を開けて左に冒険者ギルドの受付カウンターみたいなのがあり、右側には酒場の様な感じになっている。
「まずはカウンターに行って報告だね」
「じゃああっしは酒場の席を確保しやす、ジローさん、こっちです」
「はい」
ゲイルさんと一緒に酒場の席に行く。
ルビーさんは冒険者ギルドのカウンターで職員の人と何か話している。
「ゲイルさん、足の方は大丈夫ですか」
「な~に、これくらい大丈夫でさ」
「ゲイルさんとルビーさんってお二人でパーティーを組んでいるんですよね」
「そうでさ、あっしがまだまだ駆け出しだった頃に組んでもらってやす」
「長いのですか」
「そうですねえ、かれこれ5年くらいでやすかね」
「5年ですか、ベテランですね」
「いや~まだまだでやすよ」
ゲイルさんと色々話しているとルビーさんがやって来た。
「報告終わったよ、何か食べようじゃないかい」
「いいっすね、腹が減ったっすよ」
「私もお腹が空いてきました」
「っとその前に・・・はいよ、ゲイルに報酬の9000Gだよ」
「へい、有難くいただきやす」
ルビーさんはゲイルさんに銀貨を9枚渡した、どうやら銀貨1枚1000Gらしい。
ルビーさんは、忙しそうにしているギルド内にある酒場で働いているウエイトレスさんに声を掛けた。
「ウエイトレスさん、注文いいかい、Aセット3つ」
「は~い、少々お待ちください」
しばらくして料理が3つ出てきた、旨そうな匂いだ。何の肉かわからんが・・・
「ご馳走になります、ルビーさん」
「遠慮しないでタ~ンと食べな」
手を合わせて食事を始める。
「頂きます」
料理を口に運ぶ。
「うまいっ、空腹に染み渡る」
そのままガツガツと食事をする、他の二人ももしゃもしゃと料理を食べている。
異世界でも食事が美味しいと心が安らぐ。
おじさんお腹がいっぱいだよ
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