第8話 王女救出





 ドム遺跡の2階の奥、大広間の隠し部屋に女性が一人倒れていた。騎士グレンさんが女性に駆け寄り、女性の事を調べながら声を掛けている。


「王女様、サリー王女、・・・いかん、衰弱しておられる。回復薬を出してくれ!」


「わ、わかりました」


道具袋を開けて回復薬を取りだす。


騎士グレンの慌て様から察するに、どうやら本当に王女様らしい。


「回復薬です」


騎士グレンが手を伸ばして回復薬を受け取ろうとして、動きが止まる。


「どうしました」


「すまんがルビー嬢、一つ頼めんかの」


「なんだい」


「回復薬を口移しでサリー王女に飲ませてもらえんかの」


「あ、あたいがかい!」


「頼む」


ルビーさんは少し考えて、即決した。


「・・・しょうがないね、女のあたいなら変な噂も立たないか」


「すまんが急いでくれ」


「わかったよ、やるよ」


俺の持つ回復薬をルビーさんに渡して、ルビーさんが回復薬を口に含む。


ルビーさんはサリー王女と呼ばれた女性に近づき、口移しで回復薬を飲ませる。


「・・・んン・・・」


どうやら回復薬を飲んだ様だ、サリー王女の体が一瞬光って肌の色がみるみるうちに良くなっていく。


「・・・んん、ここは?」


サリー王女が目を覚ました、よかった、どうやら無事だったようだ。


「王女様、ご無事ですか、どこかお怪我をしておられませんか」


「まあ、あなたは騎士グレンではないですか」


「サリー王女様、よくご無事で・・・」


どうやら無事みたいだ、それにしても何故こんな所に王女様が?・・・


「騎士グレンさん、どういう事ですか」


「うむ、遺跡調査とは表向きの話での、実は行方不明のサリー王女様を捜索せよ、と言うのがワシら騎士達に課せられた勅命での」


「道理で依頼料が良かったわけだよ」


「黙ってて悪かったのう」


「まあ、王女様が行方不明じゃ、王国内も慌てるだろうねえ」


「うむ、余計な混乱を避ける為でもあったでの」


なるほど、そういう事だったのか、もうこの辺りには用は無いな。王女様も見つかった事だし。


「あの~、とりあえずここを出ませんか」


「おお、そうじゃな」


「まあ、わたくしは助かったのですね、お礼を申し上げます」


サリー王女は俺達に優雅に一礼した。


「これはどうも、ご丁寧に、ご無事で何よりです」


「さあ、サリー王女様、外へ出ましょう」


「はい」


そこで、ルビーさんは騎士グレンさんに隠し部屋にある宝箱を指差し、聞いた。


「グレンさんや、宝箱を調べてもいいかい」


「好きにせい、おぬし等は冒険者じゃ」


「あ、私は旅の者ですけどね」


宝箱か、トラップとかないよな、隠し部屋にあったし。


慎重に宝箱を開けると金貨が一枚入っていた。


「金貨かい? 見た事のない絵柄だねえ」


「ちょっと持たせてもらってもいいですか」


「いいよ、ほれ、」


ルビーさんから金貨を受け取る。


メニューコマンドのアイテム一覧を見る、やはり説明文が表示される。


「これは・・・アトラス金貨ですね、古代文明時代の」


「アトラス金貨だって! コレクターに売れば高く売れるよ」


ルビーさんとはしゃいでいると、騎士グレンさんから声を掛けられた。


「二人とも、ええかの」


「あ、はい、行きましょう」


サリー王女を伴って、俺達はドム遺跡を出た。


「う~ん、空気がいいですね」


サリー王女は伸びをして遺跡を見渡した。


「まあ、わたくし本当に遺跡にいたのですね」


騎士グレンさんが王女に尋ねる。


「サリー王女様、ここまで連れてこられた事に心当たりは・・・」


「いいえ、気が付いたらここに居ました」


「ふうむ、何者がサリー様をここまで・・・ともかくここは移動して一番近い街まで行きましょう」


「そうですね、みなさんに心配を掛けました、参りましょう」


ドム遺跡を後にして俺達は街道を目指す。そういえばゲイルさんが街道で待っててくれてたんだっけ。


足を怪我した盗賊シーフのゲイルさんの所までやって来た。


「お帰りなさい、おや? その人は誰でやすか」


「これ、口を慎まんか、この方はバーミンカム王国のサリー王女殿下で在らせられるぞ」


「ええ~! 王女様ですかい」


「よろしくお願いしますね」


「へ、へい、よろしくお願いしやす」


ゲイルさんは怪我を押さえながら、ゆっくりと立ち上がる。


騎士グレンさんが辺りを警戒しながらサリー王女に声を掛ける。


「さあ、サリー様、サラミスの街まで参りましょう」


「あっしの足もだいぶマシになってきやした、もう歩けやす」


「それじゃあ行くかい、サラミスの街へ」


ドム遺跡を攻略し、俺達はサリー王女を伴ってサラミスの街を目指す。なんとか無事に事を運べたな、残りのHP1だけど。


道を行く途中モンスターに遭遇したが、騎士グレンとルビーさんが張り切って倒していた。


ようやくサラミスの街か、結構疲れたな。




おじさん休みたいよ










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