第2話 どうやらホットスタートらしい
ここはどこだ? そしてこの状況はいったい・・・
気がついた時には既に喫茶店の店内ではなかった、一瞬で屋外に移動したとは思えない。
まさか? 本当に異世界転移したのか!? 改めて周囲を見渡す。
ここは草原と言っていいだろう、見渡す限り草や葉っぱ、花なんかも咲いている、そして・・・
「グギャギャ」
左を見ると緑色の体色をした、人間の子供ぐらいの大きさのモンスターっぽいのが、20匹ぐらいいる。その手には石斧だったり、すぐに壊れそうな弓なんかを持っている。今にも襲ってきそうで怖い。
「???」
右を見ると身長150センチぐらいの筋肉質でずんぐりむっくりした体形の髭もじゃの人達。多分、ドワーフってやつだと思う。
そして俺はその真ん中にいる、ドワーフもゴブリンも戦闘態勢になっている。怖い、っていうか戦場のど真ん中にいたんじゃ巻き込まれる、すぐに逃げねば。
TRPG用語でホットスタートと言うのがある、いきなり牢屋に入っている所からスタートだったり、ダンジョンの中からスタートとか、いきなり戦闘からスタートとかそんな始まり方だ。今まさにそんな状況だな。
しかし、逃げると言ってもどこへ逃げるべきか・・・ゴブリンに向かって逃げるのはアウトなのは俺でも分かる。
後ろに向かって逃げるか? いや、俺の足では無理だ、運動不足だからすぐ追いつかれる。
ここはやはりドワーフのいる所に逃げるか、そうと決まれば行動開始だ。まずは挨拶から。
「こんにちは~」
ドワーフ達に向かって挨拶をする、そして早歩きで近づく、決して走ってはいけない。こういう時慌ててはいけないのだ。
何故なら俺がゴブリンを率いているように見えては駄目なのだ。
「????」
お、ドワーフ達が何か言っているぞ、うまく聞き取れないけど・・・なんだ?ドワーフの一人がこっちに向かって走って来る。
「???」
なにか叫んでいるみたいだけど、やっぱり聞き取れない。と言うより何言っているのか解らない、どういう事だ?
ボーっと突っ立っていたら背中に痛みが走った。
「痛! なんだっ」
振り向くとゴブリンアーチャーっぽいのが弓を構えていた後だった、攻撃されたという事か!?
マジか! って事は俺の背中に矢が刺さっているのか、すごく痛い、どうすりゃいい。
するとドワーフの一人が俺の元まで駆け寄って来た。相変わらず何言っているのか解らない、けど来てくれた。
「????」
「すみません、何を言っているのか解りません」
痛みを堪えて喋ってはみたけど、言葉が通じないみたいだ。
「???」
俺の所に来たドワーフが俺の手を引っ張る、ものすごい力だ。
ぐいぐい引っ張られてドワーフ達のいる方へ連れて行かれる。
「すいません、助かります」
「???」
「??」
「????」
ドワーフ達が何事かを喋っている、俺には聞き取れない。
何にしても助かった、ドワーフが味方でよかった。
しかしドワーフ達はゴブリンに向かって突撃していった。
え? 守ってくれないのか? すると、俺の手を引いてくれたドワーフが、自分の腰にある手斧を取り出して俺に渡してきた。
「??」
「えっ、何ですか、これは? 」
「?」
どうやら「使え」と言う事らしい、どうやら守るのではなく戦えという事らしい。
マジか、背中に矢を受けてんだけど。
手斧をよく見ると使い込まれた感じだった、ハンドアックスって戦闘用のやつだ。
どうやら楽はできないらしい。
戦場を見ると、数で勝るゴブリンがドワーフの戦士達にボコボコにされている。
ドワーフ強い! 6人ぐらいで20匹のゴブリンに圧勝している。
戦いは終わろうとしていた。
あっと言う間だ、しかし2匹ほどこちらに向かって襲い掛かってきた。
俺にハンドアックスを渡したドワーフがバトルハンマーをフルスイングして1匹を倒した。
もう1匹が俺の方に向かってきた、咄嗟に身構える。
「ギギギッ」
ゴブリンが石斧を振りかぶった、俺もハンドアックスを振りかぶる。
「えいっ」
ゴブリンの攻撃は届かず、俺のハンドアックスはゴブリンの頭に食い込んだ。
「はあ、はあ・・・」
恐ろしい、これが戦いか・・・こんなのは御免だ、俺には向いていない。
とにかくゴブリンはこれで全滅した、やれやれ助かったか。
「いてて、そういえば背中に矢を受けてたんだった」
我ながらよく耐えられたな、異世界補正ってやつか?
すると突然頭の中でファンファーレみたいなのが聞こえた。
{シークレットシナリオをクリアしました}
{1BP獲得 1SP獲得}
何だ? 女性の声が聞こえたけど、何がどういう事だ。
おじさんついていけないよ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます