1軍、2軍
「白河さん近い……」
「いいじゃないですか。友達ですよ」
「友達か」
「はいっ!」
白河さんはずっとニコニコしている。その可愛い笑顔はどこから来ているのか。自然と出ているのか、作っているのか。愛嬌のある笑顔は思わずキュンとしそうだ。
だが、姫乃さんたちと話せない。学校ではあまり僕から話しかけないため、こういうときに姫乃さんとかといろいろ話をしたい。
しかし、白河さんがずっと僕の隣にいるため動くことができないのである。
それに姫乃さんや井早坂さんも僕のことを見ているのに近づこうともしない。
その視線はまるで、僕たちの様子を窺っているような目をしていた。
「ご飯ってどこに行くんだろう」
「どうでしょう、サイゼリアとかじゃないですか?」
この辺にありますし、と理由をつけて言った。
それなら井早坂さんにもあまり大金を借りなくても済みそうだ。
そんなことを考えていると、白河さんは不安そうな顔を僕に向けた。さっきまでの笑顔は消えている。
「あの……迷惑じゃないですよね……?」
不安すぎたのか、確認を取りたそうにそう言った。
ここで迷惑なんて言う男はどこにもいないだろう。天堂みたいにカッコイイ言葉はかけられないが、素直に答えることにした。
「別に迷惑じゃないよ」
「そ、そうですか。良かったぁ……」
白河さんは少し無理をしていたのかもしれない。安堵している。
そうして話している間に、自転車置き場に来た。
「どうすっか。ニケツするしかない感じか?」
自転車で来ているのは、天堂、姫乃さん、神崎さん、そして僕。徒歩の人は井早坂さんと白河さんだ。
「あたし結愛の自転車で後ろに結愛乗せるわ」
そういえば姫乃さんは2人乗りをできない。なので、井早坂さんが前に乗って行くそうだ。
「じゃあわたしは瑠翔くんの後ろに乗りますね」
神崎ではなく、僕を選んだ。
が、生憎と2人乗りは僕はできない。
「ごめん。僕2人乗りできないんだ……」
「あっ、そうなんですね。じゃあ流星くんの乗ることにしまーす」
そしてテンポよく神崎の元へ向かい、スムーズに後ろに乗った。
こしょこしょと前にいる神崎の横っ腹をくすぐっている。あの2人も仲が良いようだ。
クラスでも一緒にいる時間が長いのを良く見る。2軍のメンバーだからずっと一緒にいるのだろう。
「じゃあ行くか」
そうして僕は、放課後飯行くという会話だけでどこの店に行くか分かる長年の付き合いの陽キャラたちの後ろを着いていくことになった。
一体屋上の物音や影はなんだったんだろう。
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