十ページ目:サークルについて話した日
今までこの小説を通して様々な活動を紹介してきたが、実はまだ話していないことがある。それがサークル。
これでも9年間、小説を書いていた身だ。やはり、どんな形でもいいので本を作る、ということに憧れていた。しかし、俺は小説しか書けない。本を作るにあたって挿絵や表紙にその小説に登場するキャラの絵を使いたかったのでなかなか行動に出ることができなかったのである。
もちろん、お金を払って絵師に注文するという方法もあった。だが、具体的な方法もわからず、他にもやることがあったので先延ばしにしていたのだ。
そんな時、試しにニコ生で声をかけたところ、なんと数人の人がサークルに参加したいと声をあげてくれたのである。
「じゃあ、定期会議を始めまーす」
この日も月一で行われている定期会議の日だった。メンバーは自分の他に絵師が三人、マネージャー的な立ち位置の一人。計5人で構成されているサークルだ。因みに絵師の一人が俺のアバターを書いてくれたママである。
「まぁ、今回も進捗状況の確認なんだけど、どう?」
まだ結成してから一冊も本を出していないが、準備は少しずつ進んでいる。特に俺の場合、小説は完成しているので後は細かい修正だけであり、今は挿絵や合わせて販売するつもりのラミカ用のSD絵待ちだった。
だが、正直、本が完成しても最近はイベント自体、延期になることが多い。そのせいで作業がずるずると先延ばしになっていたのは事実だ。
そして、今日はいつもと違い、俺は少しばかり緊張していた。皆の進捗状況を確認し、それを話す時が来る。
「あのー、実は他にも報告があって」
元々、俺のサークルは生放送のリスナーさんで構成されているため、知っている人もいるだろうけど、報告はきちんとするべきだと思い、自分がVTuberになることを話した。
メンバーの反応は至って普通だった。『まぁ、いいんじゃない?』といった反応である。
「それでそのVTuber活動を小説にして書いてるんだけどこのサークルのことも書いていい? ついでに宣伝すれば来てくれる人もいるかなって」
「別に俺は大丈夫だけど」
「こっちも大丈夫でーす」
「あ、こっちも」
すでに俺のVTuber活動に参加しているママを除いた全員が頷いてくれたのでホッと一安心した。これで俺の活動全てを小説に書くことができる。まだ本を出していないサークルだが、いずれは同人誌を作るつもりなので今のうちに宣伝したかったのだ。
「因みにもしイベントに参加することになったら顔を隠して参加するわ。アバターのマスク作る」
「え、会場の中だけだよな? 外でも付けてたら不審者だぞ」
「当たり前でしょうが!」
さすがにマスクを被るのは会場だけだ。そんな会話をしながら会議を終えようと次回の開催日を決める。
「じゃあ、次回は……えっと、何回だ?」
そう言いながらディスコードのチャットを確認すると今回の会議が第十四回と書かれていた。
「……ねぇ、今思ったんだけどこのサークル、結成して一年経ってるんだけど」
「まぁ、そうだな」
「そうですね」
「うん、そうだね」
「……これからもよろしくお願いしまーす」
そんなグダグダなまま、会議は終了。
これが俺の所属するサークル――『衛星兵』。もし、同人誌を出すことになったらライブ配信で宣伝することになるだろう。
そして、年が明け、とうとうチャンネルに一つの動画を投稿した。自己紹介動画、のようなものである。
また、デビュー配信の日も決まった。2021年1月10日の21時からだ。
だが、それと同時にニコニコ生放送での配信を休止するということでもある。そのため、最終回放送をデビュー配信前日の9日の20時から6時間放送をするつもりだ。
次回はその最終回放送の様子を書くつもりである。これを投稿した時点ではまだ配信していないのでどうなるかわからないが、小説にできるほどの取れ高があることを願うばかりだ。
それでは、皆様、また、次のお話でお会いしましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます