3話 そして雨模様へ

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 夕暮れ間近の通勤電車。

 帰宅ラッシュ前の時間だからか、まだ空席が目立つ。

 にも関わらず、彼は立ったまま、窓の外の流れ行く景色を眺めていた。

 民家ばかり建ち並ぶ住宅街。ポツリポツリと点き始めた街灯や部屋の明かりが、ぼやけた光の線となって流れていく。


 乗ったときより、窓ガラスに自分の顔がハッキリと映っていることに気づいた。

 腫れぼったい瞼の下の瞳は、光を失い、眉間には皺が残っている。

 朝からの出勤で疲れが色濃く出た自身の顔をじっくり眺めた後、彼は再び外の景色へと意識を戻す。

 明るい車内が見えないように…。目を瞑るように、窓の外へと焦点を合わせた。


 沈んでいく夕日を追うように、空が白から藍色へと移ろいゆく。

 夜はもうすぐだ。

 空が赤く染まる直前、列車は轟音を響かせて、トンネルへと入っていった。


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 あの日以来、ユウはアキラ達と時間を共にすることが増えた。

 みな優しく、ユウにとっても居心地の良い関係だったのだ。

 特にアキラとは同じ学部ということもあり、より親密になっていた。


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 お昼下がり。大学の食堂。

 暦の上では春でも、まだまだ寒い2月中旬。


「あ〜…そろそろ就活のことも考えなきゃダメかな~」


「え、アキは院行くんじゃねーの?」


 携帯を片手にのんびりとコーヒーを飲むアキラの前で、学期末のレポート課題にいそしんでいたユウは目をショボつかせながら、頭をあげた。


「ん~~。

 最近、昔のこと…小学生の頃をよく思い出すんよ」


「あー。ナオちゃん達と再会したから?」


「んー…。そうなのかな?

 何か、人の役に立つことしなあかんしないといけないかなぁって思うんやんなぁ…」


 空は薄汚れた羊毛のような雲に覆われ、薄暗い。

 日が隠れているので、余計に寒さを感じる。

 それでも、食堂は暖かく、定食や麺類の香りが漂う。


 しかし、そこへ走り込んできたナオコの言葉に空気は凍りついた。


「なぁ!どういうことなん!?」


 アキラに押し倒さん勢いで迫るナオコの声は、泣いているような、捻り出すような声だった。


「アヒルが死んだってホンマなん?!」


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