第36話 バーベキュー

麻衣子達は二実達が帰ってくるのを待っていた。


するとそこに二実の車が神社に敷地に戻ってきた。


車から降りてきた二実が三緒に言った。


「三緒?戻ったわよ?」


晴南もすぐに車から降りてきた。


「みんな帰ったわよ?」


すると美咲が晴南に言った。


「ちょっと晴南?神社を見て回ろうって言い出したのは晴南でしょ?勝手にいなくなって?探したのよ?」


晴南が美咲に言った。


「ごめんごめん、いい事を思いついたのよ?」


美咲が晴南に言った。


「いい事?」


三緒が二実に尋ねた。


「それで二実、一体どこに行ってたの?」


二実が三緒に言った。


「町の中をグルグル回ってみんなを拾ってたのよ?」


三緒が二実に聞き返した。


「みんな?」


そう言って二実の車を見つめるとまだ車の中に人が乗っている事に気がついた。


車の中から何人かが降りてきた。


その人物を見て麻衣子がその人物に言った。


「拓也君?慎吾君?なんで二実さんの車に乗ってるの?まさか晴南に無理矢理連れてこられたの?」


拓也が麻衣子に言った。


「いや、それは大丈夫だ。晴南が家にやって来て部活をやるから来て欲しいって言われたんだ。ちょうど今日は予定を入れて無かったから了承して車に乗せてもらっただけだ。」


慎吾が麻衣子に言った。


「おいもほとんど同じばい!」


更に車から長孝、晃太そして優斗も降りてきた。


麻衣子が晃太に尋ねた。


「優斗君達も?」


優斗が麻衣子に言った。


「うん、僕も大体同じかな。」


長孝が麻衣子に言った。


「俺も同じっすね!」


晃太が晴南に言った。


「なあ晴南?いつも思うんだが、もう少し前もって予定を決めてくれないか?」


晴南が晃太に聞き返した。


「えっ?なんで?」


晃太が晴南に言った。


「何の連絡もなく突然やって来て、今から来てちょうだい!はこれで何回目だ?」


晴南が晃太に言った。


「えっ?今回が初めてじゃないかしら?」


晃太が晴南に言った。


「いや、これで17回目だ。」


晴南が晃太に言った。


「あれっ?そうだっけ?」


晃太が晴南に言った。


「誘ってくれるのはもちろん嬉しい。だがいつも予定を空けられる訳じゃない?みんなだってしょっちゅうこんな事があるんじゃ予定も入れられないだろう?」


晴南が晃太に言った。


「晃太?分かってないわね?先が分からないから楽しいのよ!私は敷かれたレールの上をただ進んでいくのは嫌なの。」


晃太が晴南に言った。


「いや晴南の場合はもっとレールの上を進んだ方がいいと思うぞ。」


すると麻衣子が晴南に尋ねた。


「ところで晴南?どうして拓也君達を連れてきたの?」


晴南が麻衣子に言った。


「バーベキューをやるからよ?」


麻衣子が訝しげに晴南に聞き返した。


「えっ?晴南?ごめん今なんて言った?もう一回言ってくれない?」


晴南が麻衣子に言った。


「だからバーベキューよ!バーベキューをやろうと思って!バーベキューやるんだったら力仕事になるでしょ?男子がいれば大助かりでしょ?」


晃太が驚いた様子で晴南に聞き返した。


「晴南?バーベキューするつもりなのか?」


晴南が晃太に言った。


「だからさっきからそう言ってるでしょ?」


優斗が晴南に言った。


「ごめん、もう帰っていい?」


晴南が優斗に言った。


「ダメに決まってるでしょ?」


美咲が晴南に言った。


「晴南、お願い!思い留まって!!」


晴南がみんなに言った。


「もう?みんな何よ?その反応は?」


晴南以外のメンバーは困惑した様子だった。


すると麻衣子が晴南に言った。


「いや当然の反応だと思うわ。」


晴南が麻衣子に言った。


「もう麻衣子まで何よ?」


麻衣子が晴南に言った。


「だってバーベキューするつもりなんでしょ?」


晴南が麻衣子に言った。


「そうよ、ここでバーベキューをしたら楽しいなって思ったのよ。それで二実さんにバーベキューの道具はありますかって聞いたら、ここにあるって言ってくれたの。それじゃもうバーベキューをするしかないじゃない。」


二実が相づちをうちながらみんなに言った。


「ええバーベキュー用の道具なら社務所の倉庫にあるから、使ってもらって構わないわ。」


三緒がみんなに尋ねた。


「みんなそんなにバーベキューが嫌いなの?」


すると麻衣子が三緒に言った。


「いえ、バーベキューが嫌いな訳じゃないんです?普通のバーベキューはもちろん好きです。晴南のやるバーベキューが嫌なんです。」


晴南が麻衣子に言った。


「ちょっとひどいわよ麻衣子?私のバーベキューがそんなに嫌なの?」


麻衣子が晴南に言った。


「だって晴南、普通のバーベキューやらないじゃない?」


二実が麻衣子に尋ねた。


「晴南ちゃんのバーベキューって、どんなのバーベキューなの?」


麻衣子が二実に言った。


「ゲテモノバーベキューです!」


二実が麻衣子に聞き返した。


「ゲテモノバーベキュー??何それ?」


麻衣子が二実に言った。


「前回のバーベキューの時はカエルの丸焼きでした!」


二実が麻衣子に言った。


「カエルの丸焼き?」


麻衣子が二実に言った。


「その前は、イナゴとバッタのスープでした!!」


美咲が二実に言った。


「セミのステーキなんてのもあったわね!!」


麻衣子が二実に言った。


「晴南のやるバーベキューは昆虫とか捕まえてきて、料理するんですよ!!」


麻衣子が晴南に言った。


「ねっ?晴南?」


晴南が二実に言った。


「はい!今日はザリガニを捕まえてきて食べるつもりです!!」


三緒が驚いた様子で言った。


「ザ?ザリガニ???」


麻衣子が晴南に言った。


「晴南?お願いだからゲテモノ焼くの止めてよ。」


晴南が麻衣子に言った。


「えー、なんで?麻衣子もさっきバーベキューは好きって言ってたじゃない。」


麻衣子が晴南に言った。


「普通のバーベキューは好きよ?」


晴南が麻衣子に言った。


「えっ?私のは普通のバーベキューでしょ?」


麻衣子が晴南に言った。


「あのね!!普通のバーベキューでカエルの丸焼きなんて食べないでしょうが!!」


美咲が晴南に言った。


「晴南!お願いだから、ゲテモノバーベキューだけは勘弁して!!」


晴南が麻衣子に言った。


「それじゃこんなんはどう?普通のエビも買ってきて、ザリガニと一緒に混ぜるの?名付けて闇バーベキューよ?」


麻衣子が晴南に言った。


「だから変なバーベキューは止めてって言ってるでしょ!」


晴南がみんなに言った。


「もうみんな好き嫌いが激しいわよ?そんじゃ立派な大人になれないわよ?」


麻衣子が晴南に言った。


「好き嫌いとかそういう問題じゃないでしょ?」


美咲が晴南に言った。


「私達がだだ捏ねてるみたいな言い方やめて!」


二実が晴南に言った。


「私からもお願い、ゲテモノバーベキュだけは勘弁して

!」


結局晴南は反対が多かったゲテモノバーベキューを断念して、夕飯はカレーをする事になった。


そしてすぐに二実が車でグルグルマートに材料の買い出しに行った。


一方の晴南達は、二実の帰りを第二社務所の建物の前で待っていた。


晴南が不満そうに言った。


「カレーなんて平凡すぎてつまらないわ!」


麻衣子が晴南に言った。


「その代わり夕飯の後は晴南の好きなスケジュールでいいって言ってるでしょ?」


晴南が麻衣子に言った。


「ええ、分かってるわ、それで手を打つわ。」


晃太が晴南に尋ねた。


「それで晴南?何をするつもりなんだ?」


晴南が晃太に言った。


「まだ決めてないのよね?とりあえずキャンプファイアーと花火と九木礼踊りと肝試しと枕投げはするつもり?」


晃太が晴南に尋ねた。


「それ全部やるつもりなのか?」


晴南が晃太に言った。


「当たり前でしょ?バーベキュー譲ったんだから、これくらいやらせて貰うわよ!言っとくけど全部終わるまで帰ったらダメよ?」


すると二実の車が神社の境内に入ってきた。


そして二実が車から降りてきた。


手に袋をぶら下げて晴南の所にやって来た。


二実がみんなに言った。


「カレーの材料買ってきたわよ?」



麻衣子が二実に言った。


「はい、じゃあもらいますね。」


二実が麻衣子達に材料が入った袋を渡した。


すると三緒が美咲に尋ねた。


「ねえ美咲ちゃん?ベリエのマドレーヌ食べたくない?」


美咲が三緒に言った。


「えっ?食べたいですけど?」


三緒が美咲に言った。


「それじゃあ用意しとくわ、楽しみに待ってて?」


美咲が三緒に言った。


「本当ですか?ありがとうございます。」


三緒が二実に言った。


「という訳で二実?!ベリエでマドレーヌを買ってきて、あと晴南ちゃんが花火やりたいって言うから花火も買ってきて!」


二実が三緒に言った。


「ベリエのマドレーヌと花火ね。分かった。」


三緒が二実に言った。


「あっ!ついでに薪木(まきぎ)も買ってきて?晴南ちゃんがキャンプファイヤーしたいって。」


二実が三緒に言った。


「えっ?薪木なんてグルグルマートでも売ってないわよ?」


三緒が二実に言った。


「それなら、明井田のホームセンターまで買いにいけばいいでしょう!」


二実が三緒に言った。


「今から明井田のまで行けっていうの?こき使ってくれるじゃない三緒?」


三緒が二実に言った。


「このお泊まり会の責任者は二実でしょう?料理しないんだからその分は働いてもらわうわよ?」


二実が三緒に言った。


「分かったわ、買ってこればいいんでしょう?」


拓也が二実に言った。


「二実さん?薪木を買いに行くのなら俺も行きますよ?薪木を運ぶのを手伝います。」


拓也が二実に言った。


「おっ!拓也君気が利くね?お願いするわ!」


すると晴南が二実に言った。


「なら私も行くわ!」


晴南が慎吾に言った。


「慎吾も来てよ?」


慎吾が晴南に言った。


「よかばい!」


拓也と慎吾と晴南は二実についていく事になった。


そして二実達が車で出かけて行った。


一方の麻衣子達はカレーを作る為に第二社務所の中にあるキッチンへ向かった。

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