第16話 賠償はココ惑星

私の演説は、ボア独裁政権に疲弊していた住人達に、称賛を持って受け入れられました。

某国の憲法前文のパクリですが、細かい事は良いんだよ民主主義思想では、実現不可能な美文って解ってるよ!!

誰だって、どの国家、どの星系でも、自分が破滅してでも他を遺すなんて考える訳が無い!!自分、自国、自星系が一番大切なんだよ。


10人居れば10通り、100人居れば100通りの考え方が有ります。

何十億の人々を、全員同じ方向に向かせるには、良い意味のカリスマ性を持った独裁者が必要なんです。

乗り掛かった船です、やりますよ!!!

私に能力なんて全く無いですが、優秀な妖精達が何故か全面的に助けてくれるから、何とかなるでしょう。


臨時政党は18人の艦長達が立ち上げ、政党党首はベクトさん、ベガ政権が発足し私の統治理念に基ずく復興政策が実行されて居ます。

星系は、戦禍に見舞われた訳では有りませんが、殆どの住民は貧困にあえいでいます。

国家予算の殆どを使い、軍需特価型の産業体制を続け、兵器や軍艦を作り続けていたからです。

住民全てが、平和で文化的な豊かな生活を送れる、そんな産業体制に変える事が先決です。

巨大戦艦1隻の製作費物資で、殆どの家庭に移動車両が行き渡るだけの、物資予算が賄える位です。


軍隊とは、とてつもない金食い虫なのです。

そこで、100メートル級戦艦は買取りの名目で、星間連合軍所有に成りました。

ベガ星系には、軍隊を持たせない、戦艦、兵器を所持させない方針です。

まともな生活が出来るよう、復興が先です、と言う建前です。


何処かの進駐軍が執った方法、悪はA級B級の戦犯であって、住民はむしろ独裁者達による被害者であり罪が無い、と言う考えを浸透させ、本音である、新な侵略思想の芽を摘みます。


身の危険を感じる事無く、街中を歩く事が出来るようになりました。

機内食にも飽きたので、100センチのA型戦闘機を護衛に、ペキと食事に出かける事になりました。

高級レストランよりも、大衆食堂の方が隠れた名店が有るものです。

視察半分で、街中を見て回り、裏町の食堂を見つけました。

近所のオジチャンオバチャンで賑わう店内、テーブル席が運良く一つ空いてる。

護衛隊員も機から降りて、一緒に食べるよう勧め、ピシー隊長にピク、リン、ミン、メイも店内に入ります。

「大将!お奨めを3人前!!」

「あいよ!!と言われても、うちはパンとシチューしか出せんが」

乏しい素材で、丁寧に作られたシチューは非常に旨かった。

特別ご馳走では無いが、ペキも私も満足です、ピクシー達もテーブルの上で一つのスープ皿を皆で囲み、マイスプーンで掬い綺麗に食べ尽くして居ました。


ふと窓の外に目が行き、A型戦闘機を担いで逃げる子供が居ることに気付きました。

盗まれたのは、隊長機である1番機、ピクシー達は戦闘機に飛び乗り後を追います。

支払いを済ませ、ペキと追いかけます。

自力で飛んだピシー隊長が、担いで逃げる子供の肩にある、戦闘機に入り込みバリアを発動し、子供を押さえつけ捕らえて居ました。


「ゴメンよぅ!!!これに乗ったら、俺でも空を飛べるって思ったんだ!!!」

「少年、飛びたいか?」

「飛びたい!!!!!」

「親の許しを貰い、星間連合軍の帝王を訪ねて来い」

「元奴隷で、親は居ねえ」

話を聞くと、新政権がボア時代の奴隷を開放し、大人は仕事に着き、幼児は保護されたが、10歳前後の子供は仕事にも着けず保護もされず、残飯漁りやかっぱらいで生きて居るそう。

「仲間は何人居る?」

「9才から12才の俺全部で12人居る!!」

「私が雇ってやる、全員さっきの食堂に連れて来い」

「良いのか?女の子も居るけど·····変な仕事させないか?」

「各自希望を聞いて、適材配置してやる、私はボア総統を殺し星間連合の帝王になった男だ」

「へっ?えっ!!!皆呼んでくる!!居なく成らないで!!!」

「皆に腹一杯食わせてやる、話はその後だ」

暫くして、ゼイゼイ息を切らせた子供達が駆けって来ました。

約束通り、飯を食わせ話を聞き、何か放って置けなくて、子供達全員を、研修生として雇う事にしました。





オーコッツ星系に対する賠償は、旧ボア星系所有のココ惑星に決定しました。

エンギル、デンギルが「「ココ惑星に決めて」」と五月蝿いのです、理由はノームとフェアリーが居るとのこと、ドワーフとピクシーで充分と思われますが、精霊の言う事は聞いて置きます、真剣に勧めるからには、何か深い意味が在るのでしょう。

ココ惑星は資源の乏しい、居住する意味の無い惑星とされていて、オーコッツに委譲する事になっても、この程度で賠償が済むのはベガ新政権にとって、喜ばしい事のようです。

妖精は人の前には現れないので、妖精の惑星とは気付いて居ない事もあります。



ペキが艦長になったヤマトトで、ココ惑星調査に向かいます。

「ヤマトト発進!!」「ヤマトト発進します!!」

ペキの初航海、張り切り過ぎです。

「目標惑星ココ!!」「進路をココ惑星に取ります」


ココ惑星はベガの隣の太陽系第3惑星、海水の海は惑星全体の10分の1しか無く、海と見違う巨大な淡水胡と森林の、変な惑星だそうです。


ココ惑星が見えて来ました、薄い水色の惑星です。

高度を下げ惑星上空から着艦場所を探しますが、湖の回りには着艦出来そうな場所が見当たりません。

小型輸送船を改造したヤマトト、海岸の砂浜に何とか着陸しました。


「「人間が居ると作業が遣りにくい、私達を残して立ち去って」」

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