第14話 ボア星系に向け発進!

10日では無理だと思われた作業、スパナさん率いる工兵隊と、ドワーフ巨匠陣の協力のもと、僅か5日で100メートル巨大戦艦(トマトと命名)が仕上がりました。



ヤマトトで行けば良いと、思って居ましたが嬉しいが誤算です。

キールにフレーム、装甲を全てオーハルコンで作り直し、しかも機関部はシンプルなロケット噴射だった為、旧機関部を全て取り外し、大型触媒炉を搭載と言う、大仕事なのに良く頑張って暮れました。


別動隊による、小型戦艦改造も30隻仕上がりました、程度の良いスクラップを厳選したのですが、想像以上に良好な仕上がりです。


小型戦艦は、待ち構えていた正式搭乗員、妖精達によって試験飛行が行われ、問題なく何時でも実戦に使える状態です。

全艦、戦闘機と共に、巨大戦艦トマトの格納庫に納まって居ます。


そんな慌ただしく、出撃を控えた私の基に、ピクシーに連れられた天使がやって来ました。

「タイチョ、エンギル連れて来た」「タイチョ、デンギル連れて来た」



「間に合いました、私達をボア星系に連れて行って下さい」

白髪白い翼のエンギルと、黒髪黒い翼のデンギルが言います。



「構わないが、星間走行に耐えられる?」

「「私達は、星系の精霊」」


(続の説明は無いのか!!星系の精霊だからどうなのよ?)

(訳の分からん精霊とかよりも、一緒に来た数十名の妖精達の参加の方が嬉しい)



明朝出発する事に決定しました。


同行は、ツーコ副将の20メートル級の戦艦、5メートル小型戦艦10隻です。

格納庫のヤマトトの隣に格納しました。


夜、国王とペキが訪ねてきました。

ペキは何かの書類を渡します。


「え?」

「読んで下さい」

「え~~と、診断書?「マリーペキ王女、右の者、体力は軍人並に強靭であり、完全な健康体である事を証明する」ですか」


「迅様は慎重過ぎます、私は妖精と同じ位頑丈で、星間飛行に充分耐えられます、医者が証明してくれました」

「はい·····」


「ボア星系に同行します!!」

「オーコ国王、良いのですか?」

「おっ、そ、それは·····」

「お父様は関係有りません、私の問題です!!!」


「堀川帝王、連れて行って貰えぬか?5日間、ずっと同行すると言い続けて居るのじゃ」

「ペキが良いのなら、私はペキと一緒は嬉しい」

「迅様ぁ!!!」


ペキの身体は柔らかい!!父親である国王の、目前で抱き付かれた私は·····複雑です。



「迅様は旗艦トマトの艦長でしょ?私はヤマトトの艦長しますね!!」

「·····はい、お願いします」

「堀川帝王、ペキを宜しく頼む」



「トマト発進!!目標ボア星系」「ボア星系に向かい、発進します」

トマトは、優雅にふわり浮かび上がり、ボア星系に向けて発進しました。


AIホヤには、ボア星系、テラ星系、ヒタ星系、シダ星系、ローダ星系の星図と航路を入力しています。

私の艦隊には全艦、全機にAIホヤをインストールしています。

AIホヤは個でも在り、全体でも有ります。



トマトの現搭乗員は私にペキ、ツーコ副将にツーコッツ将兵30名、スパナ親方に弟子2名、ツーコッツ工兵隊30名、ドワーフ115名、ピクシー163名にエンギル、デンギルです。


妖精達は小さいし、将兵も66名が各自配置に着いて居て、100メートルの巨大な艦内は寂しい位人が居ません。


広い操舵室、ペキと二人だけです。

いや、精霊2人とピクシー20人が隅に固まってる、何か話し込んで居る様子、存在感希薄で気付かなかった。



「ペキって確かに、オーコッツ人にしては、頑丈だな」

「迅様、女性にそれは、誉め言葉に成らないわ」


「ゴメン、コーコッツやツーコッツの人に比べ、オーコッツの人達は余りにもひ弱で、長距離星間飛行に耐えられ無いでしょう、なのにペキだけ特別なのは何故か?不思議なんだ」


「おそらくですが、私がデブだから」

「それは無い·····以前私が住んでいた、地球の日本では、ペキは細過ぎる位スリムなんだけど」

「そうなんですか?初めて聞きます、私、異世界地球は、迅様の様な人ばかりだと思って居ました」


「若い女性、いや、女性全員が、ペキのような身体に憧れて、ご飯を食べないようダイエットと言う努力をしてた世界、でも殆どの女性が達成出来ない程の理想な体型なんだ、ペキは」


「わぁ!!!恥ずかしくなる位の誉め言葉ですわ!!!」




ペキと二人マッタリとした、幸福感一杯の時間です。

生涯独身で過ごす事が確実と、諦めの日々詰まらない生活を送っていた自分が、この世界に来る事が出来た奇蹟を、噛み締める堀川でした。


「迅様!艦名のトマトって、どう言う意味なんですか?」

「赤と言えば、トマトかリンゴでしょ?」


「リンゴは知ってます、美味しい果物ですね、でもトマトは知らないわ」

「え~~ぇ?赤い野菜のトマト、大好きなんだけど·····言われてみると、オーコッツに来てから食べて居ないな」


「赤い野菜?どんな物なんですか」

「マヨネーズはあるのにケチャップが無い·····そうか!!地球でもイタリア人が料理して食べるまでは、観賞用植物であって、毒があるので食用に適さないと言われてたとか」


「赤い観賞植物?あっ!!見た事有ります、コーコッツの農園で、綺麗な赤い実がなってる、これ位の」

ペキが指で丸を作って、サイズを教えてくれます。

「プチトマト?トマト原生種かも、今度一緒に見に行こう」

「はい!!楽しみにしてます」





「ボア星系に入りました」AIホヤの報告です。


見ても良く分かりません、ボア星の太陽でも、大きく見えたなら気付くのですが、星々に紛れ其らしき星が見つけられません。

今更ながら、宇宙空間の壮大さに気付く堀川でした。


「自動走行継続!」「手動に切り替えると、何処に行けば良いのか、さっぱり分からん」


艦長は、緊急時に適格な指示が出来れば良いんだよ、細かい事はAIと搭乗員がやる事。

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