第11話 異星からの侵略

野生の米と芋、米は刈り入れしても、脱穀とヨウス(乾燥)しないと食べられない、八十八の手間の居る食べ物。


大量の芋、(根の部分だから、薩摩芋系、因に馬鈴薯系は茎に養分が貯まった物)を大鍋で湯がし、塩をふって炊き出しにします。

「ジン様、大勢の人達と、直に触れ合え嬉しそうなお顔見られて、生き甲斐を感じますわ」


こんな事をするのは、初めてのペキが、楽しそうに芋を配っていました。

衛生兵の協力も得て、50ヶ所で一斉に炊き出ししましたが、全員に行き渡ったか心配です。



涙を流しながら、芋を頬張る人達、飢えは深刻なようです。

芋は、試食して旨かった、自信を持って皆に配れた、だが、ミニ豚(尻尾無しのネズミかも)と、お米が間に合わなかったのは残念でした。

豚ネズミは兎も角、お米が·····指の爪位のデッカイ米粒本当に米か?

日本人の常識に反する微妙な物、どちらも、試食は勇気がいる·····。



小麦粉と大豆、炭水化物と蛋白質の、緊急備蓄はできました。

(『原油の微蓄を調整』備蓄を微蓄と子供の頃は、思っていた作者です)



翌日届いた服の支給が行われました。

出来る限り、寸法の合う物を支給しましたが、子供服は実寸より成長を見す越してか、大きめが喜ばれて居るようです。


全員に2着ずつ支給しましたが、コーコッツの大臣イノコさん、随分サービスしてくれたようで、余った数万着を在庫に出来ました。



衣食が改善され、ツーコッツ住民に、笑顔が見られるように成りました。


「堀川帝王、住民に代わって感謝します」

「堀川帝王を、最上級司令官とし、絶対服従を誓います」

「間違った指示する事もあります、絶対服従じゃ無く、疑問に思う事は意見して下さい」


軍人気質、力が正義的考え、自信の新兵器自走アーマーを、素手の一撃で粉砕した私を崇めるような所が、見受けられます。

軍人は、頑固で扱い難い半面、上官には絶対服従するきらいが有り、余程無能で無い限り、命令には素早い対応が行き届きます。



軍隊として、命令系統のトップに任命された事が、末端兵士まで徹底されたようです。

皆が嬉々として、指示に従ってくれるようになりました。



自転車操業の野生食料品も、徐々に備蓄に回せるようになって居ます。

しかし、食料自給率0は酷過ぎです。

取り合えず、無駄に広大な練兵場の、数ヶ所を芋畑にします。

サツマイモ系統は、肥沃で無い畑の方が、美味しく育つ芋、素人が育て安い作物です。


男女軍人の、大多数を屯田兵として、教育しました。



「済まないが、諸君達にこの場を耕せて、芋の栽培に従事して貰いたい、不満もあると思うが、ツーコッツ住民の為、我慢して作業に取り掛かってくれ!!」

「帝王様!!芋の栽培生産任務、我らにとって上級職を与えて下さった事、喜ばしく感謝の念に耐えません!!!」


(へっ?嬉しいの?)

「その意気で、任務を全うし、豊かな食生活を皆で送ろう!!」

「「「「「「「「「「お~~~う!!!!!」」」」」」」」」」


農作業従事に、腹を立てるかと思いましたが、意外な事に、全員生産に携わる事を喜んで居ます。

軍人は、何も産み出さない最下層との、根強い差別意識から来る物で、中産階級の生産者に代われる喜びのようです。



ペキは、海を間近に見るのが、初めてのようで、

「ジン様こんな多くのお水、恐いです」

「海のお水、海水は舐めると、塩辛いんだよ」

「ジン様って、また私をからかう、これだけ沢山のお水、塩味にするには山程お塩入れないと·····キャッ!!!ペっペっ」


ペキは海水を手ですくって飲み、吐き出しました。


「本当にキツイ塩味でしたわ!!」

「海水が塩辛いって不思議でしょう?だけどお陰で、あのようにお塩が取れるんです」

「まぁ!!お塩ってあのようにして作ってるの?」

「本当は、乾かすだけでなく、煮詰めたりしていたと」

塩の精製なんて、覚えて居ない。



海水から粗塩を作る事は、海岸の近くに住んでいる兵の仕事だそうで、貝を拾うだけでなく、漁業を何故やらないか不思議ですが、軍治教育とはそう言う物ですね。

余計な作業より体を鍛える方が良しとしていたようです、兵糧と兵器が順調に確保できたなら、其が軍人の仕事ですから。


それに、ツーコッツ星もコーコッツ星も、オーコッツ惑星から移民するまでは、無人の衛星だったそうで、海なんて、移民するまで見たことも無い物です、従って海産物の利用など、思いもよらない事だったのでしょう。



海洋資源の利用法、大筋だけの指導に留めて置きます。

何が食用に適し、何に毒が有るか、私にも分からない、資源の調査は軍医達、衛生兵達の仕事になりました。


食べられる物を見つけ、美味しく調理する、彼等彼女達は各々生き甲斐を感じ出せたようです。



順調に事が進んで居る中、コッツ将軍から深刻な相談を受けました。

「堀川帝王、折り入って相談ですが、現在ツーコッツ軍には、輸送艦3隻、戦艦が2隻しか無いのです!!」


巨大な格納庫を視察した所、自走アーマー破壊した物を含め3機、戦艦5隻内破損3隻、輸送艦4隻1隻破損、魚雷100センチが40基、150センチ10基、200センチ30基、これだけでした。



軍港に並んだ廃品は、流石にゴミです、修理するとか不可能、部品取りに使えるかどうかの、もと無人攻撃艦のような物です、使える物はあの30機だけか。

(すまん!主戦力の無人攻撃艦全滅させてしまって)


「コッツ将軍、ツーコ副将、これは酷い、軍隊とは言えない装備ですね!!」

「何度も、オーコッツに装備強化要請しては居るのですが、「必要ない」の返答しか貰えません」


「コッツ将軍、仮想敵に対する防御、どれくらいの装備が必要か、具体的要請しましたか?」

罪の意識から、請求の仕方を提案してみます。

「仮想敵?ですか?」

「星間侵略して来そうな者です」

「オーハルコンを輸出している、ボア星系とテラ星系位しか情報入って来ませんが、攻め込まれるとは思えないです」


「軍隊として、其で良いのですか?常に相手が何をして来ても、対応出来るよう備える·····そんな顔して聞かれると、私が酷い悪者みたいじゃないですか」

「すまん堀川帝王、考えた事も無かった!!」


(駄目だ!!防衛理念から再教育が必要だ!)


「取り合えず、艦隊が組めるよう何とかしてみます」



ホットラインをオーコッツ国王に繋げます。

「おーっ、堀川帝王、ペキから活躍は聞いておる、いつ帰って来るか?」


「国王、修理工3名至急ツーコッツ星まで寄越して、其からオーハルコンを取り合えず1トン送ってください」

「良く分からんが、急ぐのか?」

「大至急お願いします!!」

「··········これから手配して、明日夕方に届けるそうじゃ」

「待ってます、其からコーコッツに私の口座から、2億コッツ振込み願います、作業が済みしだい、ペキと帰ります、以上!!」


「経費は財務担当から支払う、帝王が自腹切る事はない、2億コッツは送金させる、心配せず早くペキと帰って来てくれ、以上!」


(何の送金か分かってるのかな?ま、今回の報酬と思えば良いか)





「ドーフ隊長、ピシー隊長、全機総出でスクラップになった、無人攻撃艦をバリアー牽引して、回収して来て!!」

「「艦長了解!!」」


「トン、テン、カン3人は、魚雷80基の装甲をオーハルコンに換えてくれ」

「「「分かっただ、大将」」」

妖精達は遊び感覚でしょうが、良く働いてくれます。


何か凄く不安です、品質で重大クレームが来る前に感じる、胸騒ぎのようです。


軍港に特別便が到着したとの報せを受けました。

暫く待つと、女性下士官が、スパナさんを案内してやって来ました。

「堀川帝王様、修理工スパナ殿をお連れ致しました」

「ご苦労!」

同行の兵士達が、大荷物の台車を引いて待機しています。


「堀川閣下、お急ぎみたいなので、私だけですがやって来ました」

「スパナさん、有り難う!!助かります」

「オーハルコンも200キロ持って来ました」

「凄く助かります!!」

「修理品が山程有るんです!!こっちです」


格納庫前に来てもらいます。

「ひえぇ~~凄い量ですね!」


スパナさんに、魚雷80基を、妖精搭乗戦闘機に改造してもらいます。

3種類とも、以前改造していたので、100円硬貨2枚渡すと、改造の速いこと、見る間に仕上げてくれました。


スパナさんに、無人攻撃艦残骸の、改造構想を説明している最中、警報が鳴り響きました。

「スパナさん、2人乗り戦闘艦化の、改造進めてて下さい」

言い残し、軍本部に駆け込みます。




「警報は?何が起こりました?」


「堀川帝王、大変です!!正体不明の戦闘艦隊約100隻がオーコッツ星系に接近して居ります!!!」

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