第7話 宇宙戦艦ヤマトト

 ドワーフ、ピクシー達の協力の基、スパナさんの改造作業が進みます。


 私? 私は現場監督です。


「お~い、大将チョッと邪魔!」「おっ! ゴメン」

 ドワーフ達が、宇宙船の装甲を透明で頑丈なオーハルコン鉱に置換しています。



 装甲は透明なオーハルコン板を張り付けます、透明化はオーハルコン分子を均一に揃える事で得られるそうで、縦向きのオーハルコン板で覆い強度を増す為、横向きオーハルコン板で覆う、更に縦向き横向きと10層に重ねた結果、透明で無くトキ色、濃い桃色に輝く船体になってしまいました。


 操縦席とコンテナ部2メートルと4メートルのデコボコはスッキリと流線型に、格好良く修正されました。

 トキ色の船体は、中から外が見えるピンクのマジックミラーになって居ます。



「大将! 言われた通りにやったら、こんなんに成っただが?」

「目立つけど此はこれで綺麗で良いよ」

「大将が気に入ったなら良いだが、これ戦艦だったよな?」



 制御配線は、スパナさんが黙々と作業してくれて居ます。

 妖精を見て、最初パニックに陥ってたけど流石技術屋スパナさん、ドワーフの作業を目の当たりにし負けず魂に火が着いたようです。


 戦艦の制御は、優秀なAIホヤをインストールしました。

 機関部ですが従来の物と完全に違う為、砂漠の砂を湛えた浴槽が機関部にデンと居座って居ます。

 スパナさんの勧めで、触媒式変換炉も取り付けては居ますが変換炉では熱核砲が試せません。



 熱、光、移動、転移、安定、全てのエネルギーをピクシー達は直接取り出す事が出来るそうです、取り出した各種エネルギーは安定って良く分からない物のシャボン玉の中に保存させるって? 見えないので、どうなってるか分かりません。


 蹴飛ばし走行の運航はリンが担当、蹴飛ばしバリアはミンが担当、攻撃はメイが担当する事になりました。



「リン、ミン、メイ、初めての試みだから面倒と思うが宜しく頼むよ!!」

「命の恩人、大将の為なら何だってするよ!!」

「「タイショウ! 私達自由に使って!!」」


 意気込みは有り難いが、妖精は説明が下手で本当に安全なのか? でも自信満々なので、爆発はしないだろうと、駄目元で任せます。



 直径20センチ全長100センチの魚雷10基、直径30センチ全長150センチの魚雷10基、直径50センチ全長200センチの魚雷30基、これをどうするか迷った末、1センチの結晶均一オーハルコン板で装甲やり直し、更に横向き縦向きと重ねて補強、お揃いのトキ色の船体です。


 全方向、蹴飛ばし防御バリア装備の、マイクロ宇宙船、超小型宇宙船に改造、妖精が搭乗する戦闘機の出来上がりです。

 機関部は単純に触媒式エネルギー変換装置を搭載しました。

 触媒式の良い所は、同時に変換された光は機内照明に、熱も機内暖房に使える所です。



 透明だから、前後左右に上下全て見通せ操縦は簡単、操縦菅とアクセルブレーキだけ、試験走行では妖精達楽々こなしていました。

 連続外向き蹴飛ばし飛行も、妖精達の身体に負担をかけていません。

 オーコッツ人より、小さな妖精達の方が、頑丈な身体をしています。



 改造艦は元々輸送船です、広い格納庫に3種類の戦闘機、A型機10機、B型機10機、C型機30機、計50機全て格納しています。




 試験飛行発進当日、新型宇宙戦艦を一目見ようと大勢の人達が空港に押し掛けて来ました。


 オーコッツ国王、マリーペキ王女、上級下級貴族がい並ぶ中、形式的に発進の許可を頂きます。

「オーコッツ国王様、これより試験飛行を始めたいと思います」

「堀川侯爵、今までの常識を覆す、星間飛行船の試験飛行とか、良い結果を期待しておるぞ、よし! 許可する」

「有り難う御座います」


「戦艦の命名は?」

「ヤマトと命名」

「ブホ~~ッ、ヤマトト? ブフッ」

(ヤマトと、が、ヤマトトと聞こえたようだな、ヤマトトの何処が笑える?)


(そうか!ヤマトは性的未経験な美しい乙女って意味で、ヤマトトは美少女……宇宙戦艦美少女……ふぅ、ピンクの船体美少女号か……今更訂正出来んぞ)



 私は堂々と搭乗しました。

 妖精達は既に総員配置で待ち構えています。

「ヤマトト発進!! AIホヤが復唱『ヤマトト発進します!!』」

 宇宙に飛び立つヤマトト。


 自分の頭には荘厳なメロディーが流れて居ます。



 見学者達は。

「ヤマトト? ぷっ」「ヤマトト? ブフッ」「ヤマトト? あっはは」

 賑やかな見送りになりました。

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