第4話 砂漠の砂イルカ
全治1ヶ月とか大袈裟な診断されたが、3日で普通に歩けるようになりました。
中央病院の主治医、ノーマック先生が首を傾げ、「有り得ない回復力だ!!!」と不思議がるなか、とっとと退院します。
有り得ない超人を、医学的に研究したいと、目をギラギラさせて迫ってくる様子、モルモット扱いは御免被る。
私が普通で、オーコッツ人がひ弱過ぎなんだよ。
退院後、前にも増してペキが私にべったりです。
嬉しいが、骨皮でも男盛りの私、30にして立つ·····色々困った現象が·····。
オーコッツ国王は、ペキと私の婚姻後、正式に私を次期国王とすべく、教育を始める様子です。
一寸待って、国王って聞く所によると38歳、私は36歳2歳年上の義父なんて。
なんとペキは16歳!!20歳の年の差、これで良いのだろうか。
優秀な事務官達が、政治経済を運営していて、王は関わって居ない。
オーコッツは政治・経済の星と言うのにです。
だから私も、気になる事好きな事に取り組みます。
例えば、星ごとに役割分担していて、本当に大丈夫なのか?ツーコッツ軍治衛星が、軍事行動を起こし、武力革命が勃発するって事が絶対無いとは言えない。
農業工業全てを担当する、コーコッツだって、輸出量、料金が言いなり状態、ちょっとした不満が元で食糧輸出をもしも止められると、大変な事になる。
オーコッツを見学調査した所、防衛設備一切無い状態です。
蹴飛ばし走行の乗用車が100台程、バスが10台に星間連絡船1台、以上。
戦闘車も戦闘艦も無い、何故か、製産しているのはコーコッツ星だから。
格納庫に古い輸送船が2台に宇宙魚雷が50本有るが、この魚雷、敵艦に当たっても爆発しない、頑丈な宇宙槍と思えば良い、戦闘後魚雷を回収し再度使用する、馬鹿げた不良品を押し付けられた物みたい、格納庫に転がって居るのが良い証拠です。
何処に飛んだか分からない魚雷を、探す余裕が有るか?銃弾や薬莢を、戦場で回収するような行為だよな。
威力の乏しい、高価な使い捨て兵器って訳。
何故こうなって居るか、兵器に関する事はツーコッツ星だから。
両衛星は、早急に視察が必要と思われる、身に染み付いた職業病だね。
コーコッツ星からの、出張修理工のスパナさんとの話が面白かった。
蹴飛ばしエナジーを置かずに、外向きに連続蹴飛ばしすれば宇宙船のスピードアップになるのでは?の答がパイロットが加速に耐えられず死んでしまう、との事でした。
修理工スパナさんに、堀川閣下位頑丈なら、問題なく搭乗できるでしょう、とも言われました。
「ペキ、残骸みたいな輸送船に、転がってる魚雷、改造する許可は、誰に聞けば良い?」
「堀川様、不要なスクラップですから、使い途が有るならご自由に」
「えっ?良いの?有り難う!!」
「何が出来ますの?」
「上手く出来るか解りませんが、新型戦艦に改造してみます」
「すっごい!!完成が待ち遠しいですわ!!!」
「出来るかは、分かりませんよ」
ペキが予想以上に、興味を持ったようです。
私専用艦にする為、古い輸送船の改造を実行します。
と言っても、私の構想を修理工スパナさんに話すだけですが。
ボロい輸送船2台の良い所取りで1台を組み立てると、操縦席部が高さ2メートルコンテナ部が4メートル、幅は6メートルで全長15メートルの小型輸送船になる、装甲は問題無し、だが肝心のオーハルコンのエネルギー変換触媒が無いので、動かないと言われ、100円硬貨を渡します。
「こんな大量必要ない」と、1枚受取り後は返して来ました。
「これ1枚で50台の変換器が出来ます」
触媒が白金とかで無くて良かった。
明日エネルギー変換の、構造を教えて貰う約束をして、スパナさんと別れました。
形は出来ても、飛ぶ訳でも無い、ぼろっちい船体です。
格好良くないし、2時間程改造に夢中で、相手をしなかった、いい加減ペキが飽きて来た様子です。
「堀川様」
「ペキ、いい加減堀川様は辞めてくれないか?」
「え?·····どうお呼びすれば?」
「迅で良いよ」
「はい!!ジン様」
様も要らないんだけど。
「ジン様と一緒なら、妖精の島に行く事が出来ます」
「妖精が居るの?」
「はい!騒がしい妖精、意味不明の叫び声を発する妖精達が居ます」
「面白そう、直ぐに妖精に会いに行こう」
「この移動車で砂漠走行出来る?」
「はい!!クジラ殺しの英雄ならば簡単です」
「へっ?」
移動車は砂漠を走行中です。
エナジーが車体を蹴飛ばし走行している為、砂塵が舞う事も無く、静かに進みます。
ペキの意味不明の言葉は、直後に意味を成しました。
前方に巨大な砂鯨、その前をイルカが3頭逃げているようです。
何をも通さない、頑丈な砂鯨の頭蓋骨と言われて居ますが、石膏細工の様な物、私の両腕が貫いたのは当然の結果でした。
砂鯨の死骸を、あの後何度か殴ってみた所、簡単に頭蓋骨を打ち砕く事が出来るのを確認しています。
手首を捻らないようにさえ気を付ければ余裕です。
イルカの前方に移動車を停め、私はイルカに向けて走ります。
イルカは、私を避けて左右に分かれ逃げて行きます。
迫る砂鯨、ペキが見て居る、少し格好付けるか。
「か弱いイルカを襲う不埒者!成敗!!トウッ!!!」
飛び上がり、砂鯨の頭を殴ります。
ボコッと腕がめり込みました。
あっけなく終了です。
振り返ると、ペキがキラキラした瞳で見ています。
「ペキ、このクジラどうしよう?」
「尻尾のお肉、尾の身が凄く美味しいそうですよ」
尻尾に向かい両尾の身、抱えられるだけムシリ取り、トランクに押し込みます。
ペキは乗用車に乗り込みました。
私も乗り込もうとすると、人懐っこくイルカがすり寄って来ます。
「お前達、このクジラ喰うか?」
「大将食っても良いだか?」
「あれ?イルカって喋るの?」
「気を許せる者にだけ話すだ」
「そうか、腹一杯喰え!!」
「「「ぴーーーぃ」」」
3頭のイルカが合図の様な鳴き声を響かせます。
無数のイルカが押し寄せて来て、砂鯨に食い付きます。
「凄まじい光景だね·····」
「気の済むまでしっかり喰え、私は行くぞ」
「「「大将に感謝!!!」」」
私が乗車すると、ペキが静かに発車させます。
「ペキ、イルカって言葉話すんだな」
「ジン様、ぴー、とかキューって鳴き声は出すわ」
「いや、私の事大将って言ってた」
「ジン様って凄くロマンチックな方なんですね」
「良いよ、私も夢を見ていたように思うよ」
「あっ!見えて来ました」
「島って言うより、砂漠のオアシスだな」
「上陸します、準備は良いですか?」
「準備って、何?」
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