第4話 里の秘密

 粗末な草の帽子だけど角は隠れてる事を再確認、無事里村にたどり着いた。

「おっ!ムーン鹿を狩ったのか、儂がさばいてやろうか?」

「ムスカさんお願い!私は股肉片側で良い、後は皆に分けてあげて」

「おぅ!後で片股肉届ける」

 二人の不振人物には触れないでくれたのか、鹿に気を取られ気付いてないのか、面倒事にならず良かった。


 ムスカに鹿を預け村の奥に進む、少し大きい家が里長さとおさカイルの家だ。

 扉を勝手に開けて「里長居る?」

「ん?ムーンか、今手が離せん、勝手に入ってくれ」

 応接室に勝手に入って、ソファーに座り里長を待つ。


「ムーンちゃん、鹿を狩ったそうね」

 奥さんがお茶を出してくれた。

「この子達が狩ったの」

「あら、見掛けない子ね」

 奥さんのエレンさんが座り込んで、詮索するように聞いてきた。

「この子達に起こった事、私に起こった事を里長に相談に来たの」

「もうすぐ手が離せるわ、ムーンちゃん部屋では帽子を取った方が良いよ?」

「私も帽子取りたいけど、エレンさん大騒ぎしそうで」


「髪の毛、散髪失敗したの?笑わないから、私に散髪させて」


「取るけど、驚かないで、騒がないでね」

 帽子を取った。

「あらあら…右片角って…王鬼の印!…ムーンちゃんが王鬼になった?凄いわ!!貴方ぁ!!」

 訳が分からん!!驚かなかったけど結局騒がれた。

「ムーンちゃん!と言う事は、その二人は前鬼と後鬼?」

「いえ、戦鬼と走鬼です」


 エレンさんが大騒ぎするもんだから、里長さとおさが顔を覗かせた。

「ムーンが王鬼になった?昨夜月夜の虹が出たのか?」

「里長、さっきから意味不明で騒がれて、ちゃんと分かる様に話て!」


「そうだね、まず認識を新にして貰う!鬼の里に住む儂ら全員薄れて居るが鬼の血筋だ!実際の鬼なら問題無いが、その薄れた血筋の為儂らは満月の月光で低俗鬼、餓鬼に変貌する」

 里長カイルの口から嘘でしょって話が続く、私は無言で聞き入ってた。

 カイルの話では、餓鬼に変貌を唯一逃れる方法は、満月の月の出寸前に雨が上がると極希に月夜の虹が現れる、その虹ムーンボウを見る事でのみ餓鬼で無く鬼になれるとか。


「私が見た月夜の虹だ」


「現れるかどうか分からんムーンボウを見るなど、危ない賭けをする者は居なかったが、1000年程昔ムーンみたいに片角の王が存在していた。その王鬼が月夜の虹を見て鬼になったと言っていたそうだ」


 意外な事実、戦鬼と走鬼について、王鬼である私の身体を餓鬼に与えると、能力の有る鬼に変える事が出来るそうだ、痛いの嫌だし私二度とやらない!!


 迷ったけど、里長に相談して良かった。

 私は旅立たなければならない。


「今夜は、王鬼ムーンを送り出す宴にする!済まんがムーンが狩った鹿も食材にさせて貰う」

「諸国を漫遊して見聞を広めて、里村の皆が安心して暮らせる国を作るのよ」

 鬼になった私は今まで通り里には住めない、カイルさんの送り出すって意味は分かる、けどエレンさんの皆の国を作るで、余計に混乱して来た。

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