第15話 次期当主夫妻

 私は、ロクス様に連れられて、ヴァンデイン家の屋敷に来ていた。

 当主であるログド様との話が終わり、私はロクス様と屋敷の中を歩いていた。まだまだ、私の紹介は終わらない。これから、色々な人と会わなければならないのだ。


「次に会ってもらうのは、僕の兄でありラウド・ヴァンデインとその妻ファルティ様です」

「確か……ヴァンデイン家の次期当主夫妻ですよね?」

「ええ、そうですよ」


 私が次に会うのは、ロクス様の兄であるラウド様とその妻ファルティ様であるらしい。

 二人は、このヴァンデイン家の次期当主夫妻だ。また、緊張するような相手である。


「緊張しますか?」

「は、はい……」

「そうですよね。それも、当然です」


 私の緊張は、ロクス様に見抜かれていた。

 いや、緊張していることなど、誰にでも見抜けるようなことだろう。別に、特別なことではない。

 ログド様は、向こうが歓迎してくれていたことや緊張していたことがあったため、安心することができた。だが、今回が同じようになるとは限らないのである。


「ですが、安心してください。二人とも、優しい人ですから。それに、父上程ではありませんが、セレンティナ様と会えることを楽しみにしていました。だから、きっと大丈夫ですよ」

「そ、そうなのですね……」


 そんな私に、ロクス様は安心するように言ってくれた。

 どうやら、二人も私のことを歓迎してくれているようだ。そのことは、少しだけ安心できる要素であった。歓迎されているなら、それ程悪いことにはならないだろう。


「さて、ここですね」

「あ、はい……」


 そこで、ロクス様はある一つの部屋を示しながら立ち止まった。

 色々と話している内に、目的地に着いたようだ。


「まずは、深呼吸しましょうか?」

「そ、そうですね……」


 ロクス様に言われて、私はゆっくりと深呼吸をした。

 これで、少しだけ落ち着ける。きっと、大丈夫なはずだ。


「それでは、行きますよ?」

「はい……」

「失礼します」

「入ってくれ」


 ロクス様が戸を叩くと、中から男性の声が聞こえてきた。

 その言葉を受けて、ロクス様はゆっくりと戸を開いていく。

 すると、中にいる男女二人が、私の目の中に入ってくる。長髪の男性と、綺麗な女性が中にはいたのだ。


「セレンティナ・ウォズエ……歓迎しよう。私がヴァンデイン家の長男であるラウド・ヴァンデインだ」

「その妻のファルティです」

「あ、セレンティナ・ウォズエです……」


 部屋に入ってすぐに、二人は自己紹介してくれた。

 当然のことではあるが、二人がラウド様とファルティ様であるようだ。

 こうして、私は二人と会うのだった。

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