第5話 衝撃は冷めず
私が公爵家の人間であると判明してから、三日が経っていた。
この事実は、既に王国中に知れ渡っている。聖女が、公爵家の人間だった。それは衝撃的な事実であるため、王国は大いに騒いでいるのだ。
その当事者である私は、ロクス様以外のヴァンデイン家の人間と会ってすらいなかった。私が話すのは、一週間後になっているからだ。
私も公爵家の人間も、基本的に忙しい身である。そのため、一週間後でなければ、予定が空いていなかったのだ。
「それにしても、セレンティナ様が公爵家の人間だったなんて、驚きです」
「ラカニア、ずっとその話だね……」
「すみません、でも、なんだか未だに衝撃的で……」
私は、今日も変わらず聖女の仕事をしていた。
そんな中、ラカニアがそのように話を振ってきたのだ。
ラカニアは、この三日間、ずっとそのように言ってくる。未だに、私が公爵家の人間であることの衝撃が、止んでいないようなのだ。
「まあ、衝撃的なのはそうだよね。私も、まだ頭の片隅にそのことがあって、変な感じがするし……」
「そうなのですか?」
「うん……」
最も、衝撃が止んでいないのは私も同じだった。
ロクス様に言われてから、私の頭の片隅からそのことが離れないのだ。
公爵家の人々に会う日が迫って来るということも、私の心を揺さぶってきていた。どんな反応をされるのかなど、気掛かりで仕方ないのだ。
「私、どうなるんだろう……」
「わ、悪いようにはならないと思いますよ?」
不安になっている私に、ラカニアはそのように言ってくれた。
悪いようにはならない。本当にそうなのだろうか。
「そ、そういえば、今日はロクス様が訪ねてくるのですよね?」
「え? ええ、そうだね。もうすぐ、こちらに来るはずだよ」
「それじゃあ、そろそろ行かないと駄目ですよね」
「あ、うん……」
そこで、ラカニアはそのように言ってきた。
確かに、もうすぐロクス様が王城に来るはずだ。私は、そろそろ仕事を抜けて、ロクス様を待たなければならない。
「というか、ロクス様はなんの用なんですか?」
「何か、私に話があるらしいよ。でも、なんの話かは全然知らないんだ」
「そうなのですね。でも、今話すことって、なんなんでしょうか?」
「そうだよね……」
ロクス様が、どんな用があるのか私は知らなかった。
公爵家の人間と会うまでは時間があるため、今話すようなことはないはずである。
それなのに、ロクス様は王城にやって来る。その目的は、一体なんなのだろうか。
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