第4話 衝撃的な事実

 私は、公爵家の次男であるロクス・ヴァンデイン様と対面していた。

 そこで、私が亡くなった公爵家の人間であるラグド・ヴァンデインの娘であると判明したのだ。


「私が、公爵家の人間……ということなのですね?」

「ええ、そういうことになります。私とあなたは、いとこの関係ですね」

「い、いとこ……?」


 私の質問に、ロクス様はそう答えてくれた。

 私の父親が、ロクス様の父親と兄弟ということは、私達はいとこということなるのだろう。理屈としてはわかるが、まだ頭の中が整理できないため、まったく実感が湧かない。


「えっと、それで……私は、どうなるんですか?」

「これから、あなたは公爵家の人間となります。そのため、公爵家の人間として扱わせていただきます」


 これから私は、公爵家の人間として扱われることになるようだ。

 公爵家は、貴族の中でも高い地位である。そのため、その扱われ方はかなり特別だ。

 私も、そのように扱われるのだろうか。その堅苦しい扱い方は、少し嫌である。


「あ、聖女の仕事は……?」

「それは、続けてもらいます。元々、貴族が就くこともある役職ですから、問題ありません」

「あ、そうなんですね……」


 聖女の仕事については、続けてもいいようだ。

 よく考えてみれば、聖女は平民も貴族もなることがある役職である。そのため、例え公爵家の人間であると判明しても、問題ないだろう。


「所で、一つ問題があるのですが、その話をしてもいいですか?」

「え? 問題ですか?」

「ええ、実はあなたの婚約関係について話したいのです。正直、あまりいい婚約ではないので、なんとかしたいと思っているのです」

「婚約関係……」


 そこで、ロクス様は私の婚約関係について話したいと言ってきた。

 恐らく、私が婚約していたドルバル・オルデニア様との婚約を考え直して欲しいと思っているのだろう。

 貴族同士の関係は、中々複雑なものである。公爵家の人間となった私が、伯爵家のドルバル様と婚約を結んでいるのは、ヴァンデイン家にとってよくないことなのだろう。


「えっと、恐らくロクス様は知らないと思うのですが……私の婚約は、先程破棄されましたよ?」

「え?」

「えっと、ドルバル様から破棄したいと言われて、私はそれを受け入れました。だから、その婚約はもうありません」

「そ、そうなのですね……」


 私の言葉に、ロクス様は驚いていた。

 だが、これはロクス様にとってもいいことだろう。あまりいい婚約ではなかったというなら、破棄しても問題なかったはずである。


「それなら、何も問題ありません……」

「そうですか……」


 やはり、何も問題なかったようだ。

 ドルバル様が婚約破棄してくれて、よかったということだろう。

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