再び
それからしばらく穏やかな日々を過ごした、相変わらず担任はうるさいが笑
そんなある日に雷九は調べものがあり図書館に行くことにした
『わぁ~!広いな』
初めてきた図書館は吹き抜けで4階分のスペースがある、キョロキョロしながら辺りを見回す
しばらく歩き回り3階部分に上ってきた
『パンケーキの本、パンケーキ本、あっこれだ』目的の本を見つけイスに座ろうと周りを見渡すと、窓際の席に見覚えのある子が座っていた
『あの子はいつかの、塔にいた子だ!』
目的の本を持ち席につく、その子とは向かいで2~3m離れている
ちょうど光が差し込んで髪がキラキラしている、横目で何の本を見ているのか探ってみる
『あれは!!』
そこにあったのはこの学園特製の濃厚チョコクリームのスーパーパンケーキの作り方が載っている本だった!
しばらく、自分の手元の本を読みながらどうするか考え、意を決して動く
『あ~今日はいい日差しだな~』
と言いながら窓際の方に移動する、それに気付いた少女がこちらを見る
『あっ!それ』
と声がした、その声は人工音声ではなく、小型端末がその人の声を日々の学校生活で学習し即座に翻訳して、その人の声でほぼ誤差なく発声してくれる、最初の頃はみな、端末が翻訳した人工音声で会話をしていた
『君の持ってる本、貸してくれない?』
それが初めてちゃんと彼女の声を聞いた、可憐でとても通る声だった
彼女の方を向き、青い瞳に吸い込まれそうだった、席につき自己紹介をする
『俺は日本からきた雷九よろしくね!』『私はロシア出身のニャーニャよ、よろしく』
あの時のことを聞いてみる
『あのさ、ちょっと前なんだけど中央のタワーの踊り場に居なかった?』
しばし、考えはっとした顔をした
『あっ!あの時の連行されていった子!』
なんだか恥ずかしい気分になりながら話す
『何で授業中にあんな所にいたの?』
『ん~トイレの帰りに迷って、いい眺めだから外を眺めてた』『あっそうなんだ、ちゃんと帰れた』『うん、きた道を戻ったら先生が探してるのが見えて帰れたよ』
(心の中で俺と一緒じゃん!!)と思いながらパンケーキの話に戻る
『そういえば、この本を何とかっていってたけど?』
『うん、前にそれ読んだことがあって、もう1回みたいなと思って』
『そうなんだ』と言って手渡す
『あっ俺にもそれ貸してよ』『いいよ』
と渡すときに手が触れてしまう、一瞬ドキッとしたがそのまま受けとる
『ありがとう!』
お互いに読みたいところを読み出す
『あったこれだミラクルナッツの学園長特製パンケーキ!』
何でもこれは学園長がどこからか持ってきたナッツの実を使ったパンケーキで、そのナッツは学校の近くの森に生えているらしい
『これ作ってみたいんだ!』『へぇ~それも美味しそう♪』
『でもこのナッツを手に入れるのが難しいみたい、上級生でも危なくて殆ど採りに行く人は少ないみたい』
『そんなに危ない森なんだ』
『うん、学園長の庭って言われていて色々なものが集められているんだって』相づちを打つ雷九、続けて喋るニャーニャ
『卒業の時に何か欲しいものをくれるときまで我慢かな』『あっそうらしいね、卒業の時に自分が欲しいものを貰えるらしいよね』
その後しばしパンケーキ話に花を咲かせ教室に戻った、自分では気付かなかったのだが知らず知らずのうちにスキップをしていたらしくスーマに指摘され分かったのだった。
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