第9話 新しい治療法と副産物

アイによる説得が功を奏したのか、二つのボゾン生命体が病院へ戻って来たので、さっそく新しい治療法を試すことになったのだが、温泉の川のそばに陣取る患者の体を移動するのに少し手間取ってから、ラプラスの導体球の様な物をつくり、ボゾン生命体を収納した。導体球を川に接続してから、老師が最初に試みたデジタルフィルタ方式のプロトコルにより、ボゾン生命体達をマスター波動に戻し、川に導通させた。途端に川が光りだしたかと思うと、火山の火口から、二つの色を持った光が、絡み合い蛇の様に立ち上り上空で一体の球となった。

この様子を見ていたアイが

「あれぇー、妊娠してるわ!」と言ったので

「えー。妊娠?」

「うん、赤ちゃんが出来たのよ。二人のマスター波動がコヒーレンートして、完全にマッチングしたのよ。」

「うむ、其れじゃ、これからどうなるんですか?」

「そうね、お互いのマスター波動の合成波動が、赤ちゃんのマスター波動になるの。しばらくは、親と一緒に過ごしながら、そのマスター波動から自分の体を作って成長していくのよ。」

「と言うことは、治療が成功したんですね。」

「そう、ボゾン生命体は100年に一度ぐらいしか子供が出来ないし、完全な健康体でないと子供が作れないのよ。でも、私も初めて見たわ!セックスシーンを!」

「はあ、セックスシーン?」

「ヒューマノイドだって、セックスしなきゃ子供は出来ないでしょ?」

「ええー・・・て事は、公衆の目前でする行為ではないと言う事ですか。」

「そうだわね、普通は、誰にも探知されない、暗黒星雲の中とかでするらしいけど、私もよく知らないのよ。」とアイが恥ずかしそうに説明してくれた。

ともかく、めでたい副産物があったにせよ、治療が成功した事で、後の話となるが、この地はボゾン生命体の救世主の様な場所になり同時に、子宝に恵まれる場所として栄える事に成って行くのである。

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