そこらへんで寝る

 二十時を過ぎると、三歳以上の子供たちはそろそろ寝始める。今日一緒に眠る、実価みかは、独健が布団にすでに運んだ。もう一人は、優艶ゆーえん。彼女は、パパと一緒に遊ぶと言って、また部屋へ戻っていった。


 その時、去ってゆく彼女に言った言葉が、


「眠くなったら、きちんとこっちにきて眠るように。そのへんで寝ないでね」

「は〜い」


 返事が返ってくると、私は思い出した。今頃の時間になると起こる、大変な我が家の現象を。


 我が家は地球一個分の広さがある。五歳の子供たちは、あちこちに散らばって寝るまで全力で遊んでいる。子供だから、配分を間違えて、そこらへんで眠ってしまうことが起きる。


 だが、我が家の子供は0歳児を含めて、二百二十人以上いる。一斉に、そこらへんに寝られたら、回収作業が大変なのである。瞬間移動で探しにいかなくてはいけないのだ。


 というわけで、親としては、できるだけ自力で布団に来て、寝て欲しいのである。それでも、そこらへんで眠ってしまうわけで、回収に毎日追われているのだった。


 2021年5月13日、水曜日

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