人間じゃなくて人

 今日は穏やかな日で、公園でのどかに日向ぼっこをした。


 いつもの通り、燿を召喚して、ベンチの一つの端に私が座り、光命が膝枕をして、燿が私の方の頭を乗せる。なんともアクロバティックな光景。


 燿がのんびりと口を開く。


「いい日和だねー」

「今日も昼休み、会社近くの公園で日向ぼっこしたの?」

「そう、鳥が飛んでてのどかだった」


 この世界と同じようにスルーしそうになって慌てて突っ込んだ。


「いやいや、それ人でしょ?」

「そう」

「家族連れで、公園に普通に遊びに来てたんじゃん」

「そう」


 鑑賞対象の鳥ではなく、言葉を話して生活をしている人の鳥であった。


 2021年3月24日、水曜日

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る