恥ずかしがらされる

 今日は、十四時半に子供が生まれるということで、ベビー服などを買いに、光命と燿との三人で出掛けた。


 燿はどうしても、クマの着ぐるみを着せたいのだと言う。まあ、三人の子供なのでね、要望は聞きましょう。ということで、クマの服を買うが、私はいる世界が違うので、売り場をのんびり見て回っていた。


 買い物を終えたぐらいで、意識を向こうの世界へ傾けると、大きな紙袋を持って、燿が立っていた。


「あれ? サイズ小さくしてもらわなかったの?」

「幸せの重み」


 それを彼は感じたいがために、そのままのサイズで袋詰めしてもらったらしい。親バカだ。


 結婚するまでは、子供のことなど気にかけたこともなかったが、子供ができてからというもの、よく目につくようになったのだそうだ。クマの着ぐるみが可愛くて仕方なかったらしい。親とはそういう生き物なのかもしれない。


 帰り道。守護神らしく、私の背後から、光命と燿はついてきていたが、ふと見ると、


「あーん」


 燿が口を開けて、光命が一口大のスナックを口へ入れている。


 ラブラブで歩いている、夫ふたり。


「それ、もらったんですか?」

「ええ、おまけでつけていただいたのです」


 光命が答える。


「私にもひとつください」


 というと、彼はお菓子を私の口へ近づけた。妻はキッパリと拒絶する。


「いえ、自分で食べます」

「ええ」


 と言いつつ、光命は口元へまたお菓子を差し出した。燿がじっとこっちを見ている。思わず、周りに乗せられ口を開けるか開けないかとモゴモゴやっていると、二人は少しだけ笑った。妻は顔を赤くして、


「いやいや、恥ずかしがらせるのはやめてください!」


 夫ふたりに悪戯された、妻っだった。


 2021年2月24日、水曜日

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