回転寿司

 今日は病院の帰りに、回転寿司へ行った。


 午前中、燿は会議があるとかで、分身しておらず、家にはいなかった。そばにいたのは夕霧命だった。病院に行く前には分身してくるという。


 待っていると、やってきて、一緒に電車に乗っていった。病院はすぐに終わった。田舎は電車の間隔が長くて、一時間に一本しかない。待ち時間に回転寿司屋へ行った。


 さて、座って食べようとすると、なぜか燿の膝の上に乗せられた。


「何ですか? この二人羽織ににんばおりみたいな座り方は……」

「注文先にしないと、時間遅くなるよ」

「ああ、そうだ。早く食べないと電車来ちゃう」


 あれ? 話が巻かれてしまったというか。

 結局、最後まで膝の上で食す。


 独身の間、燿はどんな食生活をしていたのか気になって、聞いてみた。


「臨海地区に回転寿司あるの知ってる?」

「知ってる」

「行ったことは?」

「そっちには行かないねえ」

「どこに食事に行くの?」

「あの地区にある、居酒屋に行って飲むのが良くてね」

「ああ、なんかおちょこ傾けてる耀さん、想像できるなあ」


 膝の上に乗ったまま、次々に口へと運ぶ。頭の斜め上でもぐもぐ言っているのを聞きながら、私は質問する。


「寿司は何が好きなの?」

「光り物だね」

「渋いね。私は絶対にパス!」


 ビールをぐびっと飲んで、さらに会話を楽しむ。


「子供たち、あの回転寿司好きだから、今度一緒に行ってみるといいんじゃないかな?」

「そうねえ」


 一緒にデザートまで食べて、とっても幸せな時間だった。地球は人が少ないから、膝の上に乗せるをやるが、向こうの世界ではきちんと座って食べるらしい。


 燿のことが少しわかった。結構、甘えてくる人なのだ。帰りの電車で眠ったら、家まで運んでほしいとか言うのだ。お家モードが甘ったるい。人前ではポーカフェイスで過ごしているのに。


 新しい一面を見れて、いい一日だった。


 2021年2月18日、木曜日

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