恥ずかしい
私は若い頃は、人の目をとても気にする人間だった。だから、恥ずかしいと思って、耳まで真っ赤になることはよくあった。
しかし、色々と価値観が変わっていく中で、人は人、自分は自分になってからというもの、恥ずかしいと思うことは起きなくなった。
だが、二年ほど前に、ポカリと浮かび上がった、恥ずかしいことがあった。
それは、嫉妬することだ。
バイセクシャルの複数婚ともなれば、自分の好きな人と他の配偶者の間に子供が生まれるということが起きる。それを、自分の幸せとして変換できなくてはいけない。
なぜなら、神世の住人とはそれが当たり前なのだから。
しかし、この世に住んでいる人間の私にはできなかった。
恥ずかしいと思った。
彼らの前から消えてしまいたいと願った。
自分の心の狭さを恥た。
自分がどんな感情を抱いていようと、離婚もなく世界は回り続ける。さて、どうしたものかと考えて、ひとつの小さな答えにたどり着いた。
嫉妬というよりは、寂しいという気持ちなのだと。Aさんがこっちを向いていないから、寂しいのだ。ならば、自分は今寂しいのだと、受け入れてしまえばいい。最後に、相手を尊重するのだ。その人にはその人の自由があると。
そうやって、二年近くに月日を得て、今は嫉妬心などカケラもなくなったのである。
そして、こんなこともできるようになったのだ。
光命に、堂々と燿の話をして、
「萌えだ〜!」
と悶絶してる姿を見せている。しかし、彼は優雅に微笑むだけで、嫉妬などしない。それどころか。
「よかったではありませんか」
と言うのだ。
相手のことを気にして、他の配偶者を想えないのは、バイセクシャルの複数婚ではあってはいけないことなのだろう。愛することを我慢するなど、もっての外だ。手放しで喜んでいる相手を見て、自身の幸せに変換する技術が、重複婚には必要だ。
相手のラブラブな話も、快く聞き入れよう。
幸せの連鎖が出来上がってゆくのだから。
2020年2月6日、土曜日
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