氷河期みたいな萌え

 いつも夕食の時間帯は、小説を書いている。


 しかし今日は、一緒に食事をした。子供たちが、おかわりをよそって欲しいだの、夜景が綺麗だのと聞きながら、みんなで楽しく過ごしていた。


 久しぶりに、独健と話をして、相変わらずなのを知って、ほっとする。


 燿さんは子供たちに人気で、慣れた感じで食事を一緒に摂っている。


 焉貴はどっちが子供なのかわからない風で、一緒にはしゃいでいた。


 そして、私は見てしまった。光命が子供にあーんをしてやっているのを。


「いや〜! 光さん、策羅さくらみたいに、四歳になっても自分で食べられなくなるので、食べさすのはやめてください!」


 と意見すると、光命は氷河期のような冷たい雰囲気で言ってのけた。


「よいではありませんか。食べたいと本人が言っているのですから」


 ものすごく怒っている……。


 火がついたように怒るんじゃなくて、言い表しようがないほど冷たい声色と視線で怒る、のだ。言葉遣いが丁寧だからこそ、突っぱねられた感が半端ない。


 しかしそれが、妻にとっては萌えなのである。


 いいなあ〜、クールな怒り方が、たまらなく魅了する!


 そして、


 こんな風に怒っている光命をそばで見られることに、感動する。

 どんなに手を伸ばしても届かなかった彼が、心も物理的な距離も本当にそばにいると強く感じるから。


 2021年1月25日、月曜日

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