第2話 エジソンとライト兄弟

 題名で、この2人をあげた理由は、直接は関係してはいないものの、この2人の悪名が密接に関係しているからです。

 一つは、2人への悪名は、彼らのライバルの言であることです。二つ目は特許、特に米国における、事情が反映されていることです。

 エジソンは、とにかく、玩具のようなものであっても、発想を具体化したものを作製して特許をとり、他の人間がその原理に基づくものを作ると、最初の特許を楯に取り裁判を起こし、その間に他人の特許も利用して、不眠不休でより優れた製品を作り上げるという手法を取ったと言います。一つには、需要があると見定める手法だったという見方もありますが。

 また、エジソンには、交流電気潰しのために電気椅子まで作って妨害宣伝をした、映画での独占戦略など芳しくないものがあります。ただし、前者は彼自身が関与したわけではなく、甘言にのせられ利用された面もあり、情状酌量の余地が大いにあります。

 訴訟に話を戻すと、これはエジソンだけの話ではない、ということです。訴訟社会ということ以上に米国は特許について朝令暮改の状態でした。現在でも、米国は国際平準を無視して、自国だけの制度を強要しています。かつ、それが一般人による陪審員にまかされるもののため、常に一定しない状態にあります。NHKの長年の報道、特集を見ると、簡単なアイデアというものですら基本特許として認める、ずっと後になって、ずっと前に発想したという申請を認めると言い出す一方、確かマイクロソフトのことだったと記憶していますが、ある技術について、特許を持っている企業との交渉が双方の行き違いから上手く行かなかったため、その関連技術を持った企業と提携して、別の形式のそれを完成させましたが、当然、基本特許侵害を訴えられましたが、「特許は登山ルートと同じ、違うルートなら別の特許だ」

と反論するという前述と矛盾する行動をする状況が米国にあります。(ちなみに、米国は日本に対して、登山ルートが異なると云うだけでは、特許を逃れられないと何度も主張してきました。)

 エジソンの時代は、現在以上に法令も朝令暮改という状態で、発明の世界でも、誰もが訴訟家だったのです。彼の行動は当時の常識で、「訴訟家エジソン」という批判は、目くそ鼻くそを笑うというものです。

 ライト兄弟は、簡単で広範な特許を申請しました。これは、「世界不思議発見」でいうように無知、純朴ではなく、エジソンと同様なことなのです。しかも、彼らは単に飛ぶと謂うだけのものではない、自由に飛び回れるものを作り、将来の事業化を考えられるものを作ったわけです。パトロンを持たず、米国の特許事情、事業家の社会である米国であってはみれば当然であり、これを「金儲けを企んだ」と批判する航空史か家は、彼らと対立したカーティス達の中傷宣伝にのせられているものでしかありません。ちなみに、ライト兄弟は、法外な特許料をとろうとはしない、交渉次第としたそうです、カーティスは許さないがとしてましたが。

 エジソンとライト兄弟への悪評も、当時の状況から見渡せば、異なるものに見えてきます。

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