第3話 死神のお仕事(2)

【サンディエゴ・メディカルクリニック】

「初仕事は総合病院とはね、時間かかりそう」

 不満そうにムエが呟いた。

「色んな場所移動しなくていいから寧ろ楽な現場だよ」

 グリムが指示書を見ながら話す。

「ここは3階建ての総合病院だけどそこまで大きくないからそんなに時間はかからないよ」

「まず仕事内容だけど、これから渡す《クロノス》を使って病院内の人間の寿命をチェクする。その中で死に近い人間のリストを作成、報告。後は僕らの巡回中に亡くなった人間の魂や彷徨ってる魂にはこの石を渡して冥府へ導く。以上。」

「楽勝だな!さっさと終わらせて飯でも食いに行こう!」

 ムエが颯爽と車から降りようとした時にグリムが呼び止めた。

「ムエ!くれぐれも人間の死に関与しないように!いいね?」

「わかってるって、グリムも一緒なんだから変なことはしないよ」

 そう話し二人は病院に入っていった。

《小児科》

「ここは子供ばっかだな」

「小児科に大人がいたら可笑しいでしょ?たまに天然だよね君は」

 寝ている子供の枕元でムエがクロノスをかざし表示された時間を確認する。

『56Y8M24D18H45M33S』

「この子はあと56年は大丈夫そうだな」

 ふとムエがグリムに聞いた。

「なぁグリム、分かってるんだけどさこの子たちに俺らの姿って見えないんだよな?

 」

「当たり前だろう。何でそんなこと気にする?」

「いや、もし見えて話し出来たら楽しいだろうなって思ってさ」

「君らしくもない、次行くよ」

 二人は黙々と作業を続けた。

 中には子供なのに寿命がかなり短い子もいたがリストにアップする程の子供はいなかった。

「流石に小児科は寿命が長いな」

 ムエが背伸びをして話した時、ローブの端を引っ張られる感覚があった。

 ムエが振り向くとそこに小さな少女がいた。

「グリムさん?俺らが見えて触れれるお子さんがいるんですが?」

 引きっつった顔でムエがグリムに話しかける。

「また君は訳の分からないことを」

 グリムが振り返ると死神が怯えた顔をして足元の少女を指差していた。

「これは」

 そう言うとグリムは深い溜息を着いた。

「君は魂と人間の区別もつかないのかい?この子は魂だから君に触れられたんだ」

 それを聞くとムエはホッとした表情を浮かべ少女の方を向いてしゃがみ込んだ。

「一人で寂しかったね。もう大丈夫だよ、この石を持って光の見える方へいってごらん」

 そう話し少女に石を渡した。少女は頭を下げると石から発される光の方へ走り見えなくなった。

「あんな小ちゃい子も死んじゃうんだな」

 切ない顔をしたムエをグリムが心配そうに見つめた。

「この後も同じような事続くけど大丈夫かい?」

「やらなきゃ終わらないんだから行くしかないでしょ!」

 そう言うと二人は次の病棟に歩いていった。

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