第56話 魔神の爪痕

 青白く眩い2連の火焔が、南海岸王国の町を舐めて行きます。

 殆どの家が木造建築、一溜まりも無く炎に包まれ、町は一気に燃え上がりました。


「「地獄の業火!!!」」

 石で組まれた王城目掛け、2連の火焔を放ちます。

 炎に巻かれガラガラと、王城が崩れ落ちて行くのが見えました。


「「地獄の業火!!」」

 だめ押しの2連を町に放ち、見届けてる諜報員達に語り掛けます。


「各国の諜報員の皆さん!アネエサ王国に仇なす国は、全てを焼き尽くします!私、魔神アネエサに従え!!と各国の王に伝えなさい!」


 反応が鈍い!更に追い討ちです。

 演出効果!!魔神を印象着ける為、二人で浮遊し高く上がり、サヨの首に跨がり高速飛行で立ち去ります。



「おぅ!!飛んで行った!!!」「魔神か!!恐ろしい!!!」

「赤子にしか見えんが、魔神アネエサか·····」

「アネエサ様と言った方が良いぞ!!一瞬で一国を焼き滅ぼすとは·····」


「南王国の!どう報告する?」

「おぅ、南西王国の!有りの侭報告するしか無かろう」

「俺の王は信用せんだろうな」

「西王国の!信用せんでも敵対せんよう忠告はした方が良いぞ!!」

「南東王国の!敵対すると、結果はこの有り様になる!!」

「どの様に、この荒唐無稽な話を伝えるか·····だな」


「各国の諜報員が、ここに確認には来るだろうが、魔神アネエサ様が一人でやったとは、信じんだろうな」

「もう一人巨人女が居ったが、何かして居たか?」

「魔神アネエサ様の側近、たしかサヨとか言う、恐ろしい豪傑だぞ!!!」

「あの巨人女も魔神なのか?」

「魔神かは知らんが、一人で1000人を殺戮するとか、聞いたぞ!!」

「アネエサ王国には人外の豪傑が、ゴロゴロ居ると聞くぞ!!」

「うちの国にも、噂伝わって居ると良いが·····」


「「「「·····報告に帰還するか、気が重いぞ···」」」」


 諜報員は、互いに接触しない様心掛けて来たが、共通の驚異を目の当たりにし、一致団結の奇蹟が起こりました。

 各国の諜報員は互いを励まし、各々の国に帰って行きました。


 後に残ったのは、南海岸王国だった瓦礫が、燃え盛っているだけでした。

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