第32話 盗賊団の襲撃後編

「くそぅ!!干し肉や乾パン、チビチビ食っても全然腹が膨れん!!!チキショウ!!」

「野郎共起きやがれ!!!」


「「お頭?朝めしは?」」

「そんなもん有るか!!調理場もスッカラカン!お前らが持ってる保存食でも食ってろ!!」

「保存食なんて、持ってねぇ」


「女達ごと根刮ぎ奪って行った、こそ泥から奪い返せ!!移動の痕跡を手分けして探せぇ!!」



「移動の痕跡なんかこそ泥が残すかよ?簡単に見付かるはずがねぇ·····嘘?ぐふっ!見付けた!!!」

 女達と思われる、裸足の足跡が多数見られる「間違いねぇこっちに逃げた、こそ泥ども、欲を出して女達を奪ったのは失敗だぜ!!」


「お頭!!こそ泥どもは、西に向かったようですぜ!!」

「西?そっちは魔物の巣しかねぇぞ?」


 北は険しい岩山が続く逃走は困難、南は人間が入れん魔の森、逃走先として有り得ん、東は儂等が帰った道、誰にも会って居らん!西しかねぇか。


「野郎共!!西に向けて追撃だぁ!!!」

「「「「「「「「「お~ぅっ」」」」」」」」」


 盗賊の頭は、クッキリ残る足跡を追いながら少し不安になって居ます。

「あまりにも追い易い、罠かも知れん」

「えっ?お頭、なんか言いましたか?」


「野郎共!!罠かも知れん!油断するな!!!」

「「「「「へいっ!!お頭!!」」」」」



 ◎◎◎



 盗賊お頭の不安通り、準備万端のアネエサ達が待ち構えて居ます。


「領主様!!盗賊どもがやって来ます!!」

「偵察ご苦労様!!褒美に名を授けます」

「「「わぉ!!光栄です!!!」」」

「昨夜急を知らせてくれた貴方、ハヤテと名乗りなさい、貴方はサスケ、それから貴方はサイゾウ」


「「「有り難う御座います!!!」」」

(えっ!!3人とも凄いステイタス!!名持ち成人蜥蜴人が進化したら、どうなるか楽しみ)


「偵察ごとき任務の報償が、命名とは·····」

「奴らに押し付けず、偵察やれば良かった」

 蜥蜴人リザードの集団から、呟きが聞こえます。


「予定の位置に着け!!」

 蜥蜴人、豚人達が森に消えます。

 サヨと私が中央、右にチャメ達緑鬼変異種9人とアリタとリゲタ2名の小竜人変異種、左にはタロウ達鬼変異種5人、豚人変異種4人、アリーとアニー2名の小竜人変異種、全員人間に見える者が横一列で待ち受けています。


 湧き水の休憩所に、盗賊どもがやって来ました。

 巨大なサヨを見て、一瞬怯いっしゅんひるんだ感じでしたが、女と見て侮ったようです。


「デカイ女!お前が、こそ泥どもの首領か!!」

「答える必要は無いが、勘違いするな!私は領主様の側近にすぎん!!それより、死にたく無ければ武器を捨て、腹這いになれ」


「どこの領主様の依頼か知らんが、見るとベッピンさんが大勢!!性奴隷にしてやる!デカイ女も儂が可愛がってやろう」


 あれ程恐怖を感じた盗賊ボス、改めて見ると弱い!!

「スタン!!」

 盗賊ボスを始め、殆どの盗賊が麻痺で踞って居ます。

蜥蜴人リザード豚人オーク退路を絶て!!!」

「親衛隊は武装解除!!」


 私は麻痺した盗賊どもを鑑定して行きます。


「盗賊ボスとこの30人荒縄で縛って!!」

 次を鑑定します。

「この流民5人と大工2人家具職人2人百姓3人は領民にする」

 大工一人と百姓一人は、殺戮と強姦を繰り返して居て、盗賊に完全に染まってる。

「問題はこの盗賊10人·····強くも無いし悪さも殆どしていない」


 麻痺が治って来たようです。

「くそぅ!放しやがれ!!貴様ら只では置かんぞ!!」

「俺は大工だ!役に立つぞ!!」

「酋長ハジメ、ブウボス、首領含む33人処刑!!森に引っ張って行き処刑せよ」

 サヨに同じ事を人語で言わせます。

「わっ!!何で化物が居る!!!」

「俺は大工だぁ助けてくれぇ~」



 怒号と悲鳴を残し、凶悪盗賊達は森に引っ張って行かれました。

 残った22人は、縮こまり行く末を想像し振るえて居ました。

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