第25話 お菓子

 村に帰りました。

 タンポポ根にシロップ、恵の森の名は伊達じゃ無いね!!

 ご機嫌な私達と違い、緑鬼豚人達は、巨大な人間に見えるサヨに恐れおののく有り様、私の説明で始祖種豚人エンシェントオークに進化したと理解は出来たようですが、始祖種豚人は恐れ敬う対象とか、村人の中には入れず、結局私の取り巻きの位置に収まりました。


 カツ達に対する豚人達の対応で、予想はしていたようですが、恐れられた事にサヨは落ち込んでいました。

 巨人になっても、中身は幼女です、ちょっと可哀想だよ。


 お菓子食べて、皆でワイワイ話せば、ちょっとは慰めになるかな?


 お菓子の材料·····肝心の小麦粉が無い、卵牛乳バターも当然無い。

 早速詰んだよ!!


 でも諦めないよ!!有るものは、お米、芋(薩摩芋系)、干し柿、猪の脂肪、山葡萄に野イチゴ。


 普通のお米では無理だけど、このお米餅米に近いから、たぶん行ける。


 まず、ご飯を炊きます。

 大量の芋を茹でます。


「アネエサ様!晩御飯には早いよ」

 皆が集まって、不思議そうに聞いてきます。

「お菓子を作ってるの」

「「「「「お菓子ぃ!!!!」」」」」

 甘いお菓子の事、聞いてるサヨ達が歓声を挙げます。

 他の子達は、意味が分かって居ない様子です。


 お芋が茹で上がりました。

「皆!手を洗って、お手伝いお願い!!」

「「「「「「「「「「は~~い」」」」」」」」」」

「お芋の両端を切り取って、皮を剥いて中身を潰して!!え~とチャメ達9人に任せるよ」

「「「「「「「「「は~い!!」」」」」」」」」

「熱いから、火傷しないよう気を付けて!!」



「サヨとヒヨフヨは、山葡萄と野イチゴを潰して、山葡萄はこのツボ、野イチゴはこっちのツボに入れて、水をこれ位入れてかき混ぜる」

「「「はい!!」」」



 ご飯が炊き上がりました。


「タロウ、ジロウ、アリタとリゲタ、4人でお鍋に猪の脂肪入れて溶かして!熱くなるから火傷に気を付けてね!!」

「「「「はい!!!」」」」


「残り全員こっちに来て!!」

 ハナ達が集まって来ました。


「スッゴく熱いから、水で手を濡らし、ご飯を少し、これ位取って手でコネます、こんな感じに、ご飯粒が無くなるまでコネます、仕上がったら平たく潰して、手糞餅の出来上がり」


 聞えが悪いけど、この方法で作るお餅は、手糞餅って言うんだよ。


「「「アチチッ」」」

 皆、訳が分からない作業を、懸命にやってくれてます。

「出来上がった手糞餅は、くっ付かないよう並べてね」


「タロウ、油の表面のゴミをお玉で掬って捨てて、火傷しないよう気を付けて!」

「上澄みの綺麗な油を、この鍋に掬い取って」


 監督さんは忙しい!!

「チャメ綺麗に潰れたね!!では、この布にこれ位の潰した芋を入れ、ぎゅぅっと絞る、固まったお芋を取り出して、茶巾絞りの出来上がり、出来上がりはこのお皿に並べてね」


「次は餅を揚げる」

「餅粉が無いから、お皿を濡らして置いた、うん!お餅取り易い」

「竹制の火バサミ良し、油の温度良し!」

 煎餅を1枚ずつ油鍋に入れます、

「タロウ、皆、良く見て!!直ぐに浮かんで来るから、掴んでひっくり返して、狐色、この色に揚がったら出来上がり、枯れ草で編んだお皿に載っけて、潰した岩塩をパラパラ」

 枯れ草が程よく油分を吸ってくれます。


「この調子でドンドン揚げて!!」

「「「「はい!!」」」」


「後は茶巾絞りの仕上げ」

 凄い量の芋茶巾絞りが出来上がって居ます。

 芋茶巾絞りの上に、トロリカエデシロップを載っけて出来上がり。




「皆!!訳の分からない作業、お手伝い有り難う!!!目の前に並んだお菓子を食べたら、作業の苦労が報われます!飲み物は葡萄とイチゴのジュースが用意されて居ます、好きな方、両方でも好きなだけ飲んで!!」


「芋茶巾絞りは甘く、お煎餅は塩味です、では、頂きます!!」

「「「「「「「「「「「いただきます!!!」」」」」」」」」」」


「僕達が揚げた煎餅旨い!!パリポリ」

「私達が作った芋茶巾絞り、甘~~い!!!」

「熱いの我慢して、コネた甲斐があった!!」


 皆、初めてのお菓子を、夢中になってむさぼって居ます。



「皆!食べながら聞いて!!」


 何事かと皆が注目します。

「皆の見た目は、人間と変わらない、皆には人間の言葉を覚えてもらい、私の人里探索の手助けして欲しい」


「手始めに、東に半日程の所に、50人程の盗賊団が住む洞窟がある、盗賊を退治して、囚われてる女達を救出、人語の教師になってもらう」


「明日から3日皆の攻撃力強化、能力上げをして、盗賊退治に向かう!!危険な事だから無理強いはしない、嫌ならここで待って居てかまわない!!」


「「「「「「「「「「お手伝いさせて!!」」」」」」」」」」


 予想通り、全員協力してくれる。

 でも、何をしてくるか分からない、狂暴な盗賊相手です、作戦をしっかり練らないと、誰も怪我を負わせたくない。

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