第19話 小竜人

 進化して嬉しいのでしょう、笑顔で賑やかです。

 もう、お手伝い幼児隊って呼べないよね。

 だって、みんな120~150センチ、私が見上ないと皆の顔が見えない位成長してる、歩みも早くなってる、私は遅れないよう懸命に付いて行く感じです。

「おおぼちゅちゃま!おちぇちゅらい」ってまみれ付いてた、可愛い幼児達の変貌は、ちょっと寂しいよ。


 私の気持ちは兎も角、村には歓迎で迎えられました。

 5人のメイジに、2人のウォーリア、1人のアーチャー増加は、群れの戦力大巾アップに繋がるからです。

 9人の幼児達が進化して強くなった!!少し大きい子供達が羨ましそうに見てました。

 次は僕達!とでも思って居るのか、私を期待を込めて見詰めてる。


 ふと思いました、蜥蜴人リザードの幼児に命名してLV上げお手伝い、進化したらどんなになるか、思い付いたら気になって、居ても立っても居られない!!即試したいけど、夕方なのが恨めしいよ。



 夜が明けそう、空が薄明るくなって居ます。

 昨夜夕食の時、ゴブボスには、今日の行動予定を知らせて置きました。


「よっし!行くぞ!!」

 音を立てないように、装備に着替えます。

 装備と言っても、革のワンピースの、腰をポーチで縛っただけです。

 盗賊どもからクスネタ、革の半袖上着、浄化して大切に着てるから、ボロくなって無い。


 村の中心になった、木の根の祠から出ます。

 祠の木を、ぐるり取り巻いた小屋で、タロウ達は寝ているよう、起こさないようコッソリ移動です。


 コッソリ出掛けようと思ったのに、タロウ達とチャメとシャイ、チョキが待ってました。

 昨日帰りに違和感感じてた、私は会話スキルが有るので意識せず話して居ましたが、タロウ達とチャメ達は、小鬼でも緑鬼の言葉でも無い言葉、言うなれば変異種共通語とでも言う言葉で、会話が成立して居るようです。


「「「アネエサ様!!置いて行かないでぇ!!!」」」

 大人みたいな容姿になっても、この子達本質は変わってなかった。

 ちょっと嬉しい♪!!


 タロウ達は常に行動を共にしていたし、チャメは一緒に行きたかったのを、我慢してた。進化して足手まといにはならない、当然付いて来るよね。

「御免皆!私の単なる好奇心の為、皆の手をわずらわせたく無かったの」

「今度は絶対、お手伝いする!!」

「うんうん!!お手伝いだよね!!」

 凄く嬉しい!!!


 おいてけぼり喰らった気持ちになって、私少しすねてたようです、そんな気分が吹き飛びました。


 総勢7人は多いけど、ハナにチョキは残ってなんて、外される子の気持ち考えると絶対言えない。


「今日は、蜥蜴人幼児の命名で変異種進化を試そうと思います!皆!お手伝い頼むね!!」

「「「「「「はい!!」」」」」」

 気持ち良いな!良い日になりそう。



 良い気分で歩いた為か、昼過ぎに蜥蜴人の村に到着です。

 着いてビックリ、酋長って短期間で、レンガ焼いて完成品積み上げてる!!

「凄い!!酋長、もうレンガ出来たの!!」

「あっ、領主様!!ご指導が適切だったので、簡単でした」

「酋長が優秀なんだよ!」

「嬉しいお言葉、頑張った甲斐がありますじゃ」


「酋長のお陰で、頑丈なレンガの家が出来る」

「レンガの使用法を、お聞きしようと思って居りました、家が作れる?おう!粘土で固めながら、積み上げるのですな!!」

「うん!その通り!!話が早い!!焼き物レンガで炉を組めば、製鉄も出来るよ!!」

「ぬぬぅ?セイテツとは?」

「え~と、たしか・・・あった!これ金槌って言うの、これがヤットコ、この鉄材を赤く焼いて、ヤットコで掴み、金槌で打つと、ナイフや武器が出来るの」

「な、何と!!その様な事が・・・」


 わっ!!また引き留められて、話が長くなりそう!

「酋長、今日は蜥蜴人幼児を、変異種進化させようと思って、来たの」

 物思いに浸った酋長に聞こえて居ない様子「酋長!!」

「おっ?失礼したじゃ、セイテツ詳しく・・・」

「今日は、蜥蜴人幼児の変異種進化を試しに来たの!!製鉄は後で」


「変異種進化?!そう言われると!お嬢さん方は?」

「この子達は緑鬼のメイジ変異種だよ」

「緑鬼?おぅ!!子供を連れて来ますじゃ!!」



 連れて来たのは、1メートル以上の蜥蜴人、これで子供?

「酋長!もっと幼い子供は?」

「居りますが、孵化間もない、まだ蜥蜴人になって居ない幼児ですぞ!」

「歩ける?」

「蜥蜴人は、孵化して直ぐに歩けるますが」

「何人居る?」

「二人ですじゃ」


 連れてきた蜥蜴人新生児は、鱗が無く尻尾まで全体つるりとしたピンクの肌、顔もワニみたいになっていない、丸顔で目がクリクリして可愛い。

「この子達が良い!!!男児?」

「女ですじゃ」

「じゃあ、あなたはアニー、君はアリー、覚えた?」

「領主様!流石に言葉はまだ話せませんじゃ」

「言ってる事は?」

「それは理解してますじゃ」


 鑑定すると、ステイタスが出来てる。

「それじゃ、LV上げに行くよアニー、アリー」

 二人は頷いて着いてきます。




 広大な湿地帯が続く、蜥蜴人の棲息地域には森が無い、獲物は魚かカエルになります。

 タロウ達やチャメ達が手分けして、カエルを捕まえて来ます。

 ウサギや猪と違い、柔らかいカエルは刺し易い、アニーとアリーは両手で掴んだナイフで刺します。

 刺し易いだけあって、2~3匹では進化が起きません。

 5匹刺した所で、やっと進化が起こりました。


 流石に新生児の二人には、耐え難い痛みだったようで、痛みに泣き出してしまいました。

 でも、「「うぇ~ん、痛いよぅ!!!」」言葉を話せ出しました。

 メキメキ音を立てて成長してる成長痛、痛いでしょう。

 40センチから130センチに成長して止まりました。

 これは、本当に痛かったでしょう。

 転げ回って、痛がって泣いた、二人の頭をなぜながら、「よく頑張ったね!!おめでとう進化したよ!!!」


 二人の容姿は、鱗の尻尾こそ生えて居ますが、それ以外は人間の少女とかわりません。

 鑑定すると、小竜人変異種レッサードラゴニュートへんいしゅとなっていました。


 孵化したてで、変化し易かったのか、別種族になってる。

 私が命名すると、人間に近づくの?

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