第16話 変貌のチャメ

「ハナ・・・鬼を倒した時、仇とか言ってたね?」

「うん!」

「「あいつは、俺達の両親を殺した・・・」」

「・・・そう・・・」

「俺達、親父やお袋が・・・殺される隙に、逃げ出した」

「タロウ!違うよ、お母さん達は、私達を逃がす為に、彼奴あいつと戦ってくれたの!!!」


「俺が悪かったんだ・・・俺が黙って殺されて居れば、親父達は・・・」


「ジロウ大体分かった、もう良いよ!皆辛い話、もうしなくて良いから!」


 暫く誰も話す事無く、歩いて行きます。


 この無言状態、いたたまれないよ。

「ねぇ!私の話、信じられない様な話、聞いてくれる?私の秘密」

 皆は無言で頷いてくれました。

「私は、ここで産まれる前、全く違う世界で産まれ生きて居ましたその世界は・・・・・・」

 私が以前どんな世界に居て、どんな暮らしをしていたか、皆が不思議に思う知識はどの様に手に入れたか、どんな死に方をし、この世界に産まれて、どんな事をして来て皆に出合ったか、丁寧に話した為、話終わった頃には、祠の住居が見えて来ました。


「「「やっぱ、アネエサ様は凄い人だった!!」」」

「えっ?今の話の何処が凄かったの?」

「姐さんは、神の国から降臨された!!」

「夢の様な神の世界、そこの住人だったと言うことは確り分かったよ!姉様」

「降臨されて、辛い目に会ったんだな!!でも、流石姐さん!楽々切り抜けてる」


 日本の街並みや移動手段、好きな食べ物や甘味の事、娯楽とか楽しかった事を、リアルに事細かく話し過ぎたかな?

 前世の知識が有るだけの、赤ちゃんだと話したつもりなんだけど。


 そんな話は、吹き飛ぶような出来事が待って居ました。


「あねぇさ様!!お帰りなさぁい!!!」

 120センチ位の美少女に飛び付かれました。

 小さい私は、頭を抱き抱えられる格好です。

「ありぇ?人間が何でいりゅの?」

 人語が理解出来ないようで、反応が在りません。


 訳が分からず、咄嗟に相手を鑑定します。

「えっ!!あなたチャメ?」

「はい!!名付けて貰ったチャメです!!!」

 一番小さくて私と同じ位だったチャメは、急激に成長し緑鬼ゴブリンメイジ変異種と鑑定出来ました。

 明治大正昭和じゃ無いよ、魔法が使える緑鬼の上位種に進化したって事。


 チャメの容姿は緑鬼とは思えない、青白い肌の人間の子供にしか見えません、ただ耳だけ先が上に尖った緑鬼の耳ですが、元を知らないと緑鬼とは分からなくなって居ます。

「ビックリだよ!!美人さんになったね!!!」

「はい!!あねぇさ様のお陰!!!名前付けてくれたから」

 普通は緑鬼メイジって、緑鬼より一層迫力のある醜い顔のはず、可愛い幼女の状態で進化したから、特別な容姿になったのかな?


「皆待ってるよ!」

 私はチャメに引きずられるように、村に入りました。


 この世界の生き物、命名に拘るはずです、名前持ちは特別な存在になる、タロウ達が鬼に進化したのも、私が安易に命名したから。

 これからは、迂闊に名前付けられないね!


 あれっ?私にも名前がついた、けど何か変わった?

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