第14話 鬼って強い!!

 私達を迎えた村長むらおさは、身長170センチ、小鬼の倍の巨大な者でした。

 私の3倍はある、巨人に見えます。

 密かに鑑定して驚きました。

 村長は、小鬼レッサーオーガじゃ無い!オーガだ!!


 絶望感と後悔、タロウ達に済まない気持ちを、一瞬で振り払い

「カマイタチ最大!!」

 村長の他に誰も居ない、躊躇無く攻撃を命じます。


 火炎弾は見える、避ける事の出来ない、見えないカマイタチなら·····。

 一縷の望みは、はかなく破れ、目に留まらない動きで3人は、纏めて村長に殴り跳ばされて居ました。


「あっ!!死なないで!!!」

 私は、3人に駆け寄り「エリアハイヒール!!!」

 何とかタロウ達は生きて居ました。


「ほう!!逃げて行ったガキどもが変な技を使った、元凶は貴様か!!」

「小鬼の村に何故鬼が居る!!」

「お前?人間?人に小鬼よりチビは居らん?貴様何者だ!!」

 革のワンピースを着た私は、外見は中身程貧相じゃ無い、ただ小鬼より遥にチビですが。


 タロウが立ち上がり

「この御方は!俺達の恩人にして、緑鬼ゴブリンの大ボス様、蜥蜴人リザードの大酋長である!!しかして実体は100年以上生きる精霊様である!!!」

「あれっ?私精霊様?」

「それ以上の想像を絶する存在が、我等の師匠アネエサ様だ!!!」

「アネエサ?オーガの我でさえ名が無いのに、名前持ちか?」

「名無しの村長むらおさ!俺はタロウだ!!」

「俺はジロウ!!」

「私はハナ!!アネエサ様に授かった!!」

 鬼は驚いた表情から、醜く顔を歪め悔しげに呟いた「何故だ!!」


(名前に驚く?名前なんて、勝手につければ良いのに)


「貴様が強敵と言う事は解った!!!」

 私は、油断して居ない!

 ポーチからロングソードを取り出し、瞬間後剣足!!

 真後ろに縮地した村長の下腹に、身体強化して、剣を深々と突き刺しました。

「ジロウ見た!!これが後剣足よ」

「見たよ!!凄い!!!只の形じゃ無かった!!必殺技だ!!!」


 突き立った剣は、鬼に掴まれそれ以上差せません。

「我を傷付けるとは、だが貴様はこれで終わりだ!!!」

「流石は鬼、しぶとい!タツマキ!!!」

 オーガが何か仕掛けて来る!!

 私が咄嗟に出した近距離魔法、避ける事が出来ず、鬼は風に巻かれてクルクル、キリ揉み舞い上がって行きます。


 上手い具合に腹から落ちて、剣は鬼を貫きお尻の上、腰の位置に剣先が見えます。

「殺ったか!!!」

 今言うセリフじゃ無かった!

 鬼はフラフラ立ち上がり「グオオオオオオオオオオオゥ!!!!」

 辺りが振るえる咆哮ほうこうを上げます。


「皆!!カマイタチ発射!!!」

 私も電導ノコをイメージして、叩き付けました。


 皆威力を込めて、私と同じく鬼の首を狙ったみたい。

 オーガの首がボトッと落ちました。

「勝てた?」

「「「やったぁ!!!!!」」」

「姐さんのお蔭!!俺達勝てた·····」

「「「仇が討てた」」」

「仇?よくやったね!!最後のカマイタチ、タロウ達一人でも、首を切り落とせてたよ!!」


 気になる呟きですが、訊ねる間なんて無くなりました。


「あれっ?3人の身体からメキメキ異音が?」

 タロウ達3人が、苦しそうに呻いて居ます。

「大丈夫?怪我?」

 3人の身体に異状は無い·····


「えっ?え~~~っ?」

 3人の身長が伸びてる!

 150センチ位?小鬼の身長じゃ無い!!

「ねぇ!!皆大丈夫?」

「あぁ!!問題ねぇ!!ちょっと苦しかったが、生まれ変わった様に、元気?力が溢れてる!!!」


 鑑定して驚きだよ!!

 タロウもジロウもハナも、小鬼じゃ無くなってる、3人ともオーガLV1

 低LVの小鬼が高LVの鬼を倒して一気に進化した?

 改めて3人を見ると、綺麗に日焼けした様なブラウン肌になってる、額から突き出た立派な角が二本、顔は可愛いままなので、少し安心です。

「おめでとう皆!!オーガに進化してる!」


 3人が同時に言います「「「アネエサ?縮んだ!!!」」」

 3人は不思議そうに互いを見詰め合って「「「あっ!!!オーガになってる!!!」」」

 プンプン失礼な!!私縮んで無い!!皆みたいに大きくなっては居ないけど·····


 暴れる村長から避難していた、村人の小鬼達がゾロゾロ現れました。

 私達の闘いは、隠れて見ていたようで、「「「狂暴な鬼を倒して頂き、有り難う御座います!!」」」

 100人程の村人が、全員正座し両手を高々と上げ、振り下ろすと同時に身体を地に伏せる、アラヨっと踊ってるんじゃ無いよね?

「アラーよ!!!」って拝む様なポーズだもんね。


 伏せた状態から、小鬼の老人が顔を上げました。

「アネエサ様、発言の許可を」

「きょきゃ?」意味を理解出来ず、赤ちゃん言葉になって仕舞いました。

 拝み敬う対象、私?

「・・・あぁ!発言を許す!!」


「私は、鬼がやって来る前まで、村長をさせて貰って居りました」


 オズオズと、長く話す内容を要約すると、小鬼の村単独では先行き不安、緑鬼や蜥蜴人達の様に、私に、この地を統治して欲しいとの事のようです。


「常駐は出来んが、領主は引き受けた!!」

「あぁ?・・・ありがとうございます」

「どうした?不服か」

「いえっ」

「お前達小鬼は、手先が器用だ!そこを見込んで、私の為に働いて貰う、対価は不自由無い暮らし」

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