第13話 嬉しい誤算

 蜥蜴人リザード酋長は、配下に指示を出し、私達に

「大酋長、着いて来なされ」


 着いて行くと、高床式の、藁で無く木製の小屋に案内されました。

 中に案内され、ビックリ!素焼きの入れ物に入っている物!!

「精米されてる!!!」

 玄米で無く、七分突き位精米された、お米が沢山あります。

「ワシ等も、獲物が無い時は、ワラの実をたまに食べますが、殻を取らんと食べれん面倒な粒々ですじゃ」


「凄い!!蜥蜴人って脱穀だけじゃ無く、精米までやる知識が有るんだ!!!」

「ここの殻付は、刈り取った近くに蒔きますじゃ」

「蜥蜴人って、稲作やってるの?」

「イナサク?よく分からんが、ワラが必要だからやって居りますじゃ」

「ワラの栽培ね·····これからも、この伝統文化を、絶さないよう頑張ってね!」

「はい!ですじゃ、大酋長には此を全て献上します」

「良いの?」

「刈り取ったワラの実は、長期間天日干しして乾かさんと、保存出来んですじゃ」


 以前は、何も考えず、炊飯器でご飯炊いて食べてたけど、お婆さんが言ってたっけ「お米は八十八の手間を掛けた食べ物」って。

 手間を八十八掛けているかは、不明だけど、沢山の行程があるのは確か、蜥蜴人達がやってるって驚きだよ!!人は見掛けによらないね!!!

 目立ち難いけど、素焼きの土器も蜥蜴人達の手作りとの事、ビックリです。


「酋長!有り難く受け取ります」

 私はジャイアンじゃ無いよ、ちゃんとお礼の血抜きした猪を出しました。

「おぅ!!こんなに貰って宜しいのですか?」

「歩いて居ると、いくらでも狩れる!もっと要る?」

「こんな大物3頭も、充分ですじゃ!!!今宵は皆に腹一杯喰わせてやれます!!」



「大宴会を開きますじゃ!!」

 と、蜥蜴人女性達に(男女の見分け出来ん!)指示を出す酋長に、先を急ぐ理由を告げ、岩塩の丘へ向け出発しました。


 酋長も、岩塩の存在は知って居ましたが、危険を犯してまで手に入れる価値は、無いと思って居るよう。

 帰りに、塩味焼き肉振る舞ってやろう、酋長達の驚く顔が見物だわ!蜥蜴人の表情は解らんが。



 私が、スタスタ歩けるようになった為、岩塩の丘に着いたのは、日の暮れるかなり前でした。

「姐さん、野牛がいっぱい岩塩舐めてる」

「毛がボウボウの牛さん、アメリカンバッファローだね、美味しそう!!!」

 私も、この世界で生きてく内に、大概な性格になったよね、牛を見て旨そうなんて、大昔の「すき焼きふりかけ」のCMみたい。


 ヨダレ垂らしながら近付いたけど予想外!岩塩舐めるのに夢中で、私達は無視されました。

 残念!牛肉ゲット成らず。

 多数の野牛のお陰で、余計な魔物も現れず、簡単に岩塩採掘が出来ました。


「ねぇ!この先に在る小鬼の村って、タロウ達が住んでた村?」

「姐さん、そうだけど·····村長むらおさが狂暴、近付かない方が良いぞ」

「周辺の驚異は、盗賊団だけで充分だよ!早い内に潰して置くよ!!」

「姉様、無茶よ!」

「ハナ、あなた達は、自分が思って居る以上に強くなってるの!!狂暴な村長だろうが、あなた達なら楽勝よ!!!」


 取り合えず、小鬼の村に向かいました。

 流石に日が暮れて来ます。


 タロウ達は、中ボスの威厳の為と私の勧めにより、袖無し半天みたいな上着を着て居ます、半天みたいな作りですが、赤ちゃんの肌着だからピラピラです。

 村に近付くなら、脱いだ方が目立たず安全、と言う意見ですが、「そのまま、偉そうにすれば良い、どうせ村長は倒す!!」


 私は強気、タロウ達に敵う者は、小鬼には居ない。


 渋る3人を連れて、狂暴村長を倒す為、堂々と村に入りました。

 魔法使うって普通は最強だよ、近付かれる前に対応すればね。


 私達を迎えた村長は、身長170センチ小鬼の倍からある巨大な者でした。


 私は、思わず鑑定してビックリです。

 村長は、小鬼レッサーオーガでは無く、オーガでした。


 狂暴で無敵のはずです、このオーガに対しタロウ達では勝てない!!

 小鬼の村の村長、侮ってた、今までが上手く行き過ぎ!!

 無謀でした、詰みました。

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