第12話 蜥蜴人

 思った通り、タロウ達は岩塩の丘を知って居ました。


 肉や芋の調理方を、緑鬼女性達は完璧とは言えませんが、そこそこ出来るようになって居ます、最悪でも3~4日調理無しで食べられる、大量の魚の干物、干し肉、干し柿で食い繋ぐ事は出来るでしょう。


「大ボスちゃまぁ、わたち達お手伝い、ちゅれて行って!!」

 仲良くなった、緑鬼幼児達が着いて来たがります。

蜥蜴人リザードと戦闘になると思う、危険だからお土産待ってて」

「リジャーロとちゃちゃかうの?」

 一番小さなオマセさんが、不思議そうに聞いてくる。


「アネエサさんは強いのよ!蜥蜴人をちょちょいとやっつけて、お土産いっぱい持って帰るから、皆と仲良く待ってて」

「あねいちゃ?おおぼすしゃまじゃないの?」

「大ボスの私、名前はアネエサよ、名前で呼んでくれたら嬉しいな」

「わかりゃない、なまえ?」


「そうか!名前って無いのね、解らないよね・・・貴女に名前を着けてあげる、そうね・・・「チャメ」今から貴方はチャメよ!」

「チャメ?しゅっごい!なまえくりぇた!うれちい!!!」

 チャメは私に抱き付いて、喜んで居ます。

 何か、可愛い。

 名無しだった私も、名前がついた時は嬉しかった、チャメの喜びは分かるよ。


 この世界での命名は、特別な事だったって普通気付か無いよ、何気無しに命名した事が、岩塩採掘から帰還して驚く事になります。



 ◎◎◎


 私歩くの少し馴れたようです。

 3人も気が付いたよう。

「アネエサさん、ヨチヨチ歩いて無い!」

「俺達と同じ位に歩いてるぞ!」

「でしょ!!何か普通に歩けだしたよ?」


 とは言え、私はポーチを着けてるだけですが、3人は腰に短剣を装備してる、体格的には重いロングソードに見える物です。


「ジロウ、剣術覚えた?」

「分からん、けど忍び突きと寝技も覚えたぞ」

 鐘巻流の寝技は、柔道の袈裟固めとか、上四方固めとかの固め技と違い、寝て居る状態で敵を切り殺す技です。


「ジロウ、二本目の後剣足やって見て!」

 ジロウは、私が教えた通り、右足を出すと同時に剣を半抜き、前の敵を牽制し、瞬間剣を抜く動作で真後ろ向きに体を代え、剣を付出し後に居た敵を殺す、動作はほぼ完璧です。

「上手くなったけど、左右の足を踏みかえ、誤魔化してる」

「踏み代えないと、脚がよじれる」

「良い!ユックリ遣るからよく見てて!左右の爪先と踵を右はこう、左はこう、順にやって行くと踏み代えしないで瞬間、真後ろ向きに体を代えられるでしょ!!」

「えっ?ユックリでも、何をしたか分からん」


 しょうが無いので、剣は無しで体を代える練習、屈み込んでジロウの足を触り、この時右足は爪先で左は踵と何度かやって、何とかユックリなら出来るようになりました。

「これが、普通に出来るようになれば、おそらく剣術スキルが習得出来るよ」

「そうか?頑張る!!」

「この足捌きが素早く出来たなら、もしかすると縮地スキルも習得出来るかもよ」


「そ、それほどの物?」

「私を指導してくれた宗家の話だけど、礼儀作法とか余計な物一切取り入れず、400年以上唯一変わらず伝わった、人を確実に殺す為だけの技とか」

「えっ?姐さん?そんな?今まで何処で何年生きて来た?」

「姉様はみた感じと違うの?」

「姐さんは、何十年もその格好なのか?」

「あっ!つい余計な話してしまった!・・・いつか詳しく話すわ」


 おかしいと思った、戦闘方に魔法、肉や魚の食べ方に保存方、幼女と言うか、赤ちゃんに出来るはずの無い事を、楽々やってた、見た感じじゃ想像も出来ない位長生きなら、納得出来る。


 タロウ達3人ボソボソ話をしてる、転生なんて話して、理解してもらえる?調子に乗って余計な話したの、まずったな。


 湿地帯に入りました。

「こ、この群生してるの!!お米だ!!!」

「わっビックリした!!突然大声出すな!」

「姉様、蜥蜴人リザードに見付かる・・・見つかった!!」


 私の不用意な大声で、蜥蜴人が何事だ!!と、駆け付けてきました。


「グッ、ゲゲゲ、グフ!!(餌が飛び込んだ!!)」

「会話!

 私達、餌さじゃ無い!!!」

「餌どもが!武器を持って意気がるな」

「蜥蜴人!大人しく帰れば、見逃してあげる」

 どうせ、戦う事になる、大声出したら集落の奴等にも聞こえるでしょう。

「見逃す?グッゲゲ!!面白い事を、笑わせるな!!」

「折角見逃してあげようと思ったのに、その態度気に食わない!!皆!火炎弾発射!!」

 私はカマイタチを射ちます。

 蜥蜴人、3人が火達磨になり転げ周り苦しんで居る、2人は胴の所で、切り裂かれ死んだ様です。


「姐さん、蜥蜴人ってこんなに弱かった?」

「蜥蜴人は素早い動きで、尻尾の凪ぎ払い、噛み付き攻撃して来る、油断してたから勝てたと思うぞ」

「違うよ、皆が蜥蜴人より強かったから勝てたの」


 話してる間に、蜥蜴人が20人程やって来ました。


 取り囲まれたら、面倒「この中に蜥蜴人の酋長しゅうちょうは居る?」

 蜥蜴人は1.5~1.8メートル、一際デカイ2メートル越える身長の蜥蜴人が「ワシが酋長じゃ!!ガキども何をして居る!!」


「この5人に襲われたので、返り討ちにした!!酋長大人しく私の配下になれ」

「面白い!配下とな?我らに勝てたなら、考えてやる!!」


 既にタロウ達は、魔法攻撃の準備出来てる。

「皆!気砲発射!!」「大竜巻!!!」

 3人は酋長を集中攻撃、巨大に見えた蜥蜴人が吹き飛びました。

 遅れて、私の大竜巻が20人程の蜥蜴人を、纏めて噴き上げます。

 酋長がヨロヨロやって来ます、残りの蜥蜴人は降ってきた状態で伸びています。


 鑑定でざっと調べた所、蜥蜴人は頑丈、気絶しているだけで、骨折処か傷もついてない。

「死なない様に手加減したけど、これ以上敵対するなら殺す!!」

「いや、降参する!!ワシ等を配下にしてくれ、5人の死んだ部下の状態を見れば、手加減してくれたのは分かる、ワシ等では相手にならんと理解出来た」

(手加減ははったり、全力攻撃したよ、恐ろしく頑丈だな)


「酋長名前は?」

「異な事を言う?ワシは酋長!其だけじゃ!!」

「酋長?あっそうか、命名しないと誰も名前を持って無いのか」

「大酋長様には、名前が有るのかのう」

「大酋長?あっ私か、私はアネエサ、小鬼のこっちからタロウ、ジロウ、ハナだよ」

「何と!!皆名前持ちじゃったのか!!!」


「最初の命令です、お米・・・あそこに生えて居る、小さい実を収穫し献上しなさい」

「えっ?あの粒々が?ワラで無くですか?」

「藁?同じ呼び名だな!藁は何かに使うのか?」

「はい、ワラで家を作りますじゃ」

「ワラは要らん、米と言う粒々が必要です」

「お安い事です、早速皆で刈り取りますじゃ」


 やったぁ!!岩塩の前に、嬉しいお米ゲットだよ!!!

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