第6話 タロウ達との暮らし

 魚を焼くのに凄く時間がかかっています。

 イライラ焦ると、表面が焦げて中が生焼けになるので、遠火でジックリ焙らないと。


 蟹汁は既に出来ていて、量が多いので岩塩3粒使いました。

 ジイタケの量が足らないので、本寄せで増量したぶん、昨夜より味が落ちるかと思いましたが、これは此で美味しい蟹汁になりました。


 3人は、魚が焼けるのが待てない位、お腹が減ってるみたい。

 木のお椀を出し、お玉ですくい、3人に配ります。

「待って!」

 直ぐに食べようとした、タロウを待たせます。

「此からは、食事の前は、手を合わせ「頂きます」と言ってから食べるように、食後は「ご馳走様」と言いましょう!」

「イタダキマス?」

「そう、蟹や魚、食材や料理を作ってくれた人に感謝を込めて言うのよ!」

「「「わかった!」」」

「では、頂きます!」

「「「イタダキマス!」」」

 解ったのかどうか、でも、3人は笑顔で食べ始めました。


 バリバリボリボリ、3人は凄まじい勢いで食べ、あっと言う間に汁を飲み干します。

「お代わりあるよ」

「「「食べて良いの?」」」

「皆で頑張った成果、お腹いっぱい食べて!」

「「「お代わり!!」」」

 作り過ぎと思ったけど、綺麗に食べ尽くてくれました。

「魚焼けたけど、まだ食べられる?」

「「「食べる!!!」」」

 岩塩くすねて来て良かった、お魚の塩焼き美味しい!!


「「「「ご馳走様!」」」」

 流石に焼き魚はかなりの量残りました。


「姐さん!あれは何のオマジナイ?」

「あれ?ああ、干し柿作って、食べるの」

「ホシガキ?あれ渋くて食べられないぞ!!」

「5日程干したら、甘くなるよ楽しみにしてて」

「甘く?姉様が魔法使って甘くする?」

「魔法じゃ無くて、工夫かな」

「クフウ?」

「そう、普通では食べられない物でも、工夫して食べられる様にしたり、便利に暮らせるように考える事よ」


「何かよく分からんけど、姐さんがすげぇって事は分かった」

「工夫ってのは、例えばこれから暗くなって、寝る時タロウはどうする?」

「ん?ここに転がって寝るぞ」

「それも良いけど、気持ちよく寝る方法を考えるの」

「草を敷いてその上に寝るの」

「ハナ考えたね、寝心地良さそう、でも雨が降ったら濡れちゃうね」

「木の枝を拾って来て、小屋を作る!」

「うん、ジロウもっと考えたね、偉い!!」

「と、言うように、安心して気持ち良く寝られる様に考える事が工夫になるの」


「皆で小屋を作りましょう!」

「「「はぁい!!」」」

 木の根の祠を利用して、グルリ取り囲む様に木の枝を斜めに立てます、隙間を葉っぱでうめる様に、ドンドン厚くして行きます。

 簡単なテント風小屋が出来ました。

 後は枯草を敷き詰めたら、寝床も出来ました。


 木の枝は、確り地面に埋め込んであるので、少々の風が吹いても大丈夫でしょう。


 折角小屋を用意したけど、雨が降る事も無く6日が過ぎました。

 タロウ達小鬼と出会えて良かった、一人だったらお魚食べられなかったし、やっぱり寂しくて人里探して、食べ物もあんまり取れず、お腹を空かせてさ迷って居た事でしょう。


 小鬼達との生活やお話が楽しくて忘れて居ました。

「姉様、干し柿甘くなってます?」

「忘れてた!ちょっと待って」

 摘まんで見ると適度な柔らかさ、一個取って食べてみます。

「うん!甘い!!」

 もう3人目をキラキラさせて、ヨダレを垂らしてる。

「枝の所の綱を、こうひねって緩めて柿を取るの、やって見て!」

 3人は、食べたい一心で器用に取っています。

「食べて良いよ、あっ種に気を付けて」

「「「あっ甘~い」」」

「干し柿美味しいでしょ」

「「「うん!!」」」

「面倒だけど、ちょっとの工夫で、渋柿が食べられる様になったでしょう」

「姉様!これからも色々工夫します」

「でも、姐さんは魔法がつかえる!俺達とは違う」

「魔法は簡単だよ、教えようか?」

「いやいや!俺達小鬼は魔法が使えない」

「そんなの、誰が決めたの?」

「昔から·····神様が決めたの」

「ハナ!皆魔法が使えるか、見てみるよ」

「「見るって?」」

 皆のステイタスを詳細監察で確認します。

「やっぱり見える!」


 小鬼族男 タロウ LV5

 生命力100 魔力10 体力50 攻撃力50 知力40

 魔法 火LV0 水LV0 風LV0

 スキル □□ (防御) □□□□(身体強化)


 小鬼族男 ジロウ LV5

 生命力80 魔力20 体力40 攻撃力50 知力70

 魔法 火LV0 水LV0 風LV0

 スキル □□(剣術) □□(縮地)


 小鬼族女 ハナ LV4

 生命力50 魔力30 体力30 攻撃力30 知力80

 魔法 火LV0 水LV0 風LV0 光LV0

 スキル □□(治癒) □□従魔


「3人とも、魔法の潜在力あるよ!!」

「「「えっ?」」」

 さて、どう指導するか·····風からが良いでしょう。

「皆!私が風魔法で色々やってたの、見たでしょう、意外と簡単なんだよ」

「簡単?」

「そうよ!ハナ、今風がソヨソヨ吹いてるの、感じる?」

「うん」

「お臍の下、触るよ!この位置に魔力溜まってるの」

「この位置?」

「そう、温かく感じない?」

「そう·····言われて見ると、少し暖かい」

「その暖かいのを、すーっと、ここ心臓まで上げて、すーっと左手に流す」

「左手に·····来たかも?」

「ハナの顔に感じてる風と同じ物を、掌から出すの!!」

「掌から·····出た?」

「うん!そよそよ吹いてるよ」

「吹いてる!!」

 右手で恐る恐る確認して、風が出て居るのが分かったみたい。

「ね!簡単でしょ」

「こんなに簡単に、魔法が使え出すの知らなかった」

「神様が言ったか知らないけど、使えないと思い込んでたから使えないんだよ」

(知力の高い、ハナから始めて正解でした)

 ハナに魔法が使えるなら、俺達にも使えるってむきになってる。


 しばらくして、ジロウも使え出しました。

 タロウが悔しそう、汗を垂らして本気になってる。

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