第2話 逃げろ

 夜泣きが五月蝿くて逃亡してたお陰で、私だけ生き延びました。

 殺された赤ちゃん達は可哀想だけど、明日は我が身保身に励むよ。


 亡くなった2人分のオッパイは、私だけの物、でもそんなに飲めないよ。

 しかぁし、いつ私も叩き潰されるか分かったもんじゃない、無理矢理にでも飲んで早く歩けるよう、大きくならなくちゃ!!!

 オッパイ腫るようで、3人の女は頻繁に授乳に来ます。

 亡くなった子の代替えでしょう、私に授乳する事によって、精神の安定を謀って居るよう。本当の所は解りませんが。

 逃げ出せるようになるまでは、せめて女達に育児放棄されないよう、愛くるしい赤子を演じる事にします。

「げふぅ~~」

 が、頑張って飲むぞぅ~。

「グッウ」も、もう無理ぃ。


 女達の不平ながらの雑談で、私を取り巻く状況が、しだいに判明して行きました。

 些細な事でも情報は、私の生死を分ける大切なもの、眠気を我慢して集中です。


 10人程の女達は、炊事洗濯性処理の為、拐われて来て奴隷にされた不運な女達、粗野な50人程の男達は盗賊団だそうで、男達に休む暇無く犯され続け、健康な女性なら当然妊娠します。

 私達は、こうして産まれたようです。


 奴隷は物扱いで、奴隷が産んだ子供も物でしか無く、赤子は泣くのが仕事なのに、泣き声が五月蝿いと叩き潰される、私達はその程度の存在って事。


 妊娠してお腹が目立つ女が居るけど、お構いなしで頻繁に性処理させられてる、流産死産が普通で、私が無事に産まれたのは不思議な位希な事だったようだよ、それも殆ど同時期に3人も無事に産まれたのは奇跡的な珍事だったとか。

 難産で母体も死亡とか、産後の肥立ちとかって無い、この世界の女性はしんじられない位頑丈みたいです。


 私を産んだ女は一番人気美女で、頻繁に男達に連れて行かれます、胎児の時私って精液まみれ?臨月の時なんて、頭を常に突かれて居たことでしょう。

 本当によくも満足な身体で産まれる事が出来たものです。


(あぁ~最悪だよぉ)

 私を産んだ女は美女で、授乳の最中でも、オシメの交換中でも頻繁に引っ張られて行く。

 その時の盗賊どもの、私を見る目が恐ろしいょ!!

 邪魔なゴミでも見るような目、もっと恐ろしいのは、私の股間を凝視して男根だんこんをシゴクのは止めてぇ!!

 うかうかしてるとマジヤバイよ、なんとか逃げなくちゃ!!




 珍しく私一人になってる。


(あっ!そうだ!!余裕も何も無かったもんで、肝心のあれ試してなかった!!)


「うえいあうお~うう(ステイタスオープン)」

(出たぁ!!よだれも出た・・・)

 赤ちゃんだもん、色々締まりが無いのはしょうがないでしょ。


 人族女 名無し LV1

 生命力10 魔力100 体力3 攻撃力2 知力1000

 魔法 火LV0 水LV0 風LV0 土LV0 光LV0 創作LV0

 スキル 身体強化 ステルス 会話 詳細観察


 あれれっ?

 私って凄くない?

 赤ちゃんだから、体力攻撃力が無いのは当然だけど、知力1000って凄くない?流石元偏差値70超えの天才少女!!

 天才美少女って言う程、厚かましくは無いよわたし。


 魔法は・・・オールLV0・・・独自の魔法ツクールのLV0だけど創作魔法まである。

 魔法全種類の潜在能力が在るって事よね?


 それより身体強化!新生児のはずの私が、はいはいで移動出来るのって、身体強化が有ったからでしょ?

 魔力100は身体強化で使ったから増えたんだよね?

 ステルスは、見つからないよう身を潜めたから?

 会話は、話してる事全て理解できる、今は聞き取りのみだけど。

 詳細観察は、頑張れば鑑定に進化しないかな。


 身を守る為に、取り合えず寝ていても出来る事から、地道に始めよう!!


 身体強化で鍛えても、元の体力が貧弱過ぎる·····身体強化で無理矢理歩行出来ても生来絶対がに股になっちゃう、やっぱ今やれるのは魔法だよね。

 魔力100もあるんだから、魔法の練習するべきだよ。

 火は狭い洞窟内じゃ危険、水はオシメ漏れ間違われる、ビチョビチョになるのは気持ち悪いし、うん風が無難だね!


 魔法はイメージが大切って、ラノベ小説の殆どに書かれてたっけ。

(右手掌から、扇風機弱の風出ろ!!)

 ・・・そんな上手くは行かないよね。

 いや違う!イメージが貧弱だったのよ!!だって扇風機の弱スイッチ押してない・・・「ポチッ」とな。


(やったぁ!!えへへっ風LV1風魔法ゲットだよ)

 次は強風よ。

(扇風機、強のスイッチ、ポチッとな)

 あれ?どう言う事?何で強風出来ない?

 ・・・ん・・・あぁそうか!風のLV上げないと、威力は出ないか。


 弱風を30回繰り返す事で、無事LV2になりました。

 風で攻撃が出来るにはまだ弱いよね。


 それからは一人になった時にはずっと、風のLV上げにいそしみました。

 人が居る時には、詳細観察を頑張っています、詳細観察って結構使える、物や人の状態が良く分かる、まるで鑑定みたい。

 それからはいはい探索で、不用品物置の隅、安全に眠れる場所をみつけました。

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