第9話 高遠小町・小梢の美々しき娘ぶり
翌1月6日未の刻。
兄・徹之助はどちらかと言えば
今日の小梢は
大胆な花柄の着物に合わせて大ぶりな太鼓に結った帯にも、色糸の縫取りがある。
自慢の黒髪は「小梢さま命」の忠義者の女中・梅が、念入りに結い上げてくれた。
「お嬢さま、くどいようでございますが、本当に大丈夫でございましょうか、年頃の娘さんがおひとりで出歩いたりなさって。この梅がお伴をして差し上げても……」
「なにを阿呆らしいことを、いつまでも子どもじゃあるまいし……。万一、わたくしをおそおうとする者があれば、むしろ、この剛腕を試す絶好の機会というものじゃ」
星野家は代々が弓衆を拝命している。
如何なる事態にも即座にお役に立てるよう、男子はむろん、女子も幼い頃から舞踊や武芸の基礎を習い、とりわけ体幹部の鍛練に励むのが、譜代の家訓になっていた。
梅のお節介をやり過ごして、小梢は何度も身をよじって全身をつぶさに点検した。
われながら「ほう!」と目を見張るような、みごとな娘ぶりに仕上がっている。👘
――大丈夫! これならきっと気に入っていただけるわ。
高遠小町と言われる自分を思い出した小梢は、自信満々で出かけて来たのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます