第14話 親密度アップ

 お昼になり着替えて食事をすることにした。天気もいいから庭の木の下にマットを敷いてピクニック風にしようとクレイグが言い出した。


 そういやリストに私が食べさせるって書いてあった。あれか。よくあるあーんってやつ?クソ恥かしいあれか!!


 アマンダさんがサンドイッチを用意してバスケットに入れてくれ紅茶と共に持ち、マットに座る。


「食べさせるんだっけ?じゃあ口を開けて?」

 と言うとクレイグがその通りに従い口を開けたので


「はい!あーん!!」

 と言いながらズボッと突っ込んだ!!

 あれ?何か違くね??


「んーんー!!」

 と苦しそうだ!!息詰まってね!?

 慌てて背中をさすりようやく飲み込むクレイグ。


「ごめん!大丈夫??」


「は、はい…ありがとうございます…。これが嫁からのあーんなんですね…」

 違うと思う…。と言う言葉を飲み込みつつも次はゆっくりと食べさせた。力加減大事だよな。

 自分のは普通に食べた。

 クレイグが何かに気付いて私の頰からサンドイッチのカスを取り除いた。


「ふふ、ついてましたよ」

 と細い目で笑う。なんだか少しいい感じね。暖かい気持ちになったわ。

 畑を作った疲れか暖かい木漏れ日の中で眠くなり目を擦って大欠伸をしていると


「眠いのですか?少し寝られてもいいんですよ」

 と言うから


「ありがとう…じゃあお言葉に甘えて少しだけ…」

 と私は木に寄りかかり寝ようとした。


「……ジュリエットさん…私に頭を預けて下さい」

 えっ!?まさかあの伝説のお昼寝寄りかかりってヤツ!?(伝説でもなんでもねー)

 ちょっとだけドキドキしながらコクリとうなづくと何故かクレイグが一回転し竜になり私の側で丸まった。

 んん?


「さあどうぞ」

 とこちらに尻尾を出した。

 いや、さあどうぞじゃねーよ!!?

 しかし何か言うのもおかしいので私は大人しくクレイグ竜の尻尾を枕にゴロリと寝転んだ。

 もうどうでもいいかとぐっすり眠ってしまう。


 *

 寝入ったジュリエットさんを横目にドキドキしていた。これは…何だろう。竜族の恋人同士の間では眠る時互いの尻尾を絡ませるというのがある。尻尾は戦闘等以外では大切なものであると同時に気のおける者にしか触らせたりしない。


 ジュリエットさんは人間だしお嫁さんだから気のおける者だしいいだろう。彼女が何も言わずによいしょと横になって尻尾に頭を預けてきた時に私は少し興奮してしまった。


 ピンクゴールドの髪が風に少しサワサワと揺れていた。可愛い寝顔かも。と思っていたら突風でゴッとジュリエットさんのスカートがブワリとめくれてしまった!!白い脚がチラ見えた!

 ぎゃっ!!

 と思わず目を逸らし目を瞑り私は寝たフリを続けた!

 数時間後目覚めた彼女が


「ふぎゃっお!!」

 と言いながらめくれたスカートを直していた。


 *


 お昼寝から覚めるともう九時でおやつを食べながら会話を実践…(自分で書いたことに従うことにした)


 しかしおやつを怖い顔したマイルズさんが運んできた。人間の彼女には甘いものを置き、私には当然のようにお肉だ。

 ジュリエットさんはキョトーンとして


「あれ?何でクレイグさんのは肉なの?」


「えっ!?」

 マイルズさんが


「奥様…当たり前のことを…。竜族は虫歯になる恐れがある甘いものを率先して食べたりしやせんよ。バカじゃない奴な限りね」

 と余計なことを言い下がった。

 フルフルとジュリエットさんは震えて


「どういうこと??こないだのクッキー…。わ、私!!?」

 と悟り恥ずかしさで震えていた。


「ち、違うんです!!あれはあれで嬉しかった??ので…一生懸命作られたのでしょう?貴方が竜族のことについて知らないのも当然だし!気にしないで下さい!」

 と言うと


「ごめんなさい…もう甘いものは作らない…」

 と立ち上がり私の所にやってきて


「ひっ膝に…座ればいいの?」

 と言うから私はああ、そうだったと思い出した。


「じゃあ!どうぞ!!」

 と両手を広げ待ち体制で構えると何故かドン引きされたような顔で


「ああ…うん…」

 ととりあえずちょこりんと座る。軽いなぁ…。ジュリエットさんの匂いがする。だ、ダメだ!!ここでジュリエットさんにもドキドキして私のことを意識してもらわないと!

 王子はよくフィリス様を膝に乗せ甘い言葉を囁きつつキスしたりおやつを(肉)食べさせ合っていたのを盗み見していた。

 あれを手本にしようとしたのだ。


 なのに何故私の方がこんなドキドキするのか!

 彼女はナイフで肉をギギギと切り分けていた。結構硬いドードー鳥のお肉だからなぁ。竜族なら簡単だけど、人間の娘にはもしや力がいるのかも!

 と気付いて


「ああ、すみません。私がやりましょうとナイフと一緒に彼女の手を持ち肉をあっさり切り分けた。ジュリエットさんが何かぎこちなく私の方を向くと赤くなっていてかわ…。


「じゃあ…また食べさせるわ…」

 震えながらゆっくり差し出す。私はお肉にパクリとかじりついた。ペロリと口元を舐めたらジュリエットさんはバタバタ悶えた。

 ?


「ジュリエットさんにも食べさせましょうか?貴方の分のおやつ」

 と甘いプリンを救い口元に持ってくとパクリと彼女は食べた。何だろうこの気持ち。

 昔飼ってた犬に膝上でご飯を食べさせ餌付けした記憶が脳内に…。

 って違う!!ダメなやつだこれ!餌付けとか!!ダメですって!!


 しかしおやつが済んでサッサと膝から降りようとご馳走様をする彼女を何となく離したくなく腰に手を回して見るとボフっと煙が噴いたように赤くなり


「な、何??どうしたの??」


「えっ!!?あ、あの…何か…会話をしていなかったので…」


「ええ?このまま話すの?」


「嫌…でしょうか??」


「ううん…べ…別に…」

 あれ…あれ?可愛い。

 少し俯いている彼女が可愛く感じられ私は胸がドキドキした。


「ジュリエットさん…」

 急に思考がおかしくなり手が勝手に伸びて彼女の頰をこちらに向かせた。赤いままの彼女と目と目が合ってしまった。見つめ合い私はゆっくり彼女に近付いたその時…


「奥様ーーー!!!旦那様ーーー!!!」

 とアマンダさんが全力でこちらにかけてきたからジュリエットさんは思い切り凄い速さで膝から飛び退き反対側に座り直した。

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